地球の静止する日の感想
1951年のSF映画で、のちにキアヌ・リーブスでリメイクされている(地球が静止する日)。ハリイ・ベイツのウイットに富んだ原作があるのだが、ストーリーはまるで変えてある。
ある日、時速6400キロで飛行する未確認飛行物体がワシントンに着陸、中から現れたのは宇宙人クラトゥ(マイケル・レニー)とロボットのゴート。クラトゥは地球人に伝えたいことがあると全国家首脳の合同会議を要求するが、時は50年代の冷戦下、実現は不可能だった。
地球人と偽り下宿屋に身をひそめたクラトゥは天才物理学者バーンハート博士(アインシュタイン?)の力を借りて各国の科学者を招集する。科学者たちを信用させるためにクラトゥは地球を丸ごと30分停電させてみせるが、危機感を募らせた軍は彼を銃撃。
ラスト、ゴートによって蘇生したクラトゥは、自分たちは“警察”であり、原子力を生み出し、今後宇宙の侵略者になりえる地球人に警告を与えに来たのだと科学者たちに告げると、円盤もろとも飛び去ってしまう。
下宿屋の聡明な娘を演じるのは愛らしいパトリシア・ニール。初対面のマイケル・レニーを、生涯に出会った3人のノッポのひとりだと自伝に書いている(今調べると192センチある)。
監督はロバート・ワイズで、パトリシアを何かとひいきにしていたが、彼女は撮影中吹き出しそうになるのを我慢していたそうだ。
音楽はバーナード・ハーマンである。
地球の静止する日 見どころ
冷戦期の核開発競争や宇宙への脅威が意識され始めた時代に作られた、非常にメッセージ性の強い古典的SF映画の傑作。
- 古典SF映画の傑作としてのメッセージ性
冷戦下の核開発競争が激化していた時代背景を色濃く反映しており、人類の争いが宇宙の平和を脅かす存在となることを警告する、反戦と平和への強いメッセージが込められている。クラトゥが伝える普遍的なテーマは現代でも色褪せない。 - 異星人クラトゥの知性と威厳
マイケル・レニーが演じる異星人クラトゥは、威厳があり、感情をあまり表に出さないものの、人類の可能性を信じようとする知的な存在として描かれる。冷静で哲学的な言葉の数々が観る者に問いかける。 - 巨大ロボット「ゴート」の不気味な存在感
クラトゥに付き従うロボット・ゴートは、セリフは一切なく、ただ巨大で不気味な姿と、その圧倒的な力で人類を威圧する。「非常事態の最終兵器」としての機能が、物語に緊張感と恐怖を加える。シンプルなデザインながら、その存在感は後のSF作品に多大な影響を与えた。 - 科学と人類への信頼
クラトゥは軍隊や政治家ではなく、一般市民や科学者に接触しようとする。ケイト・リード博士(パトリシア・ニール)との交流を通じて、人類の中にも平和を望む良心が存在することを見出そうとすることから、科学や知性への信頼が示唆される。 - 「地球が静止する」という衝撃的なデモンストレーション
クライマックスとなる、文字通り地球上の電力が数時間にわたって停止するシーンは、当時の観客に大きなインパクトを与えた。人類がテクノロジーに依存していることを痛感させると同時に、異星人の圧倒的な力を視覚的に表現した。
地球の静止する日のあらすじ
アメリカの首都ワシントンD.C.に銀色の円盤が着陸し、人間の姿で奇妙な服を着てクラトゥと名乗る男が現れ、自分は宇宙人で、地球人には危害を加えないと語るが、警備兵は彼に向かって発砲してしまう。船体からロボットのゴートが現われ、周囲の武器を破壊しようとするが、クラトゥはゴートを制止した。
クラトゥは、地球上の指導者たちが核兵器や戦争による殺戮によって、他の天体の征服を考えるのは、他の星からの攻撃に繋がることを忠告したいと大統領秘書に言った。
彼は地球人を説得する平和の使者だったが、指導者たちが彼と同席することを拒んだため、クラトゥは宿屋に住み街の人々に紛れ込み、科学者バーンハート教授と会って、使命の重大さを認識させるために世界中の電気を止めることにする。
しかしクラトゥの意図は誤解され、逮捕命令が出された。軍に逮捕されたとき、彼は致命傷を負ってしまう。クラトゥは使命を果たすことができるのか。
地球の静止する日を観るには?
地球の静止する日のキャスト
ヘレン・ベンソン – パトリシア・ニール
トム・スティーブンス – ヒュー・マーロウ
バーンハート教授 – サム・ジャッフェ
ボビー・ベンソン – ビリー・グレイ
バーレイ夫人 – フランシス・ベイヴィア
ゴート – ロック・マーティン
ハーレイ大統領秘書官 – フランク・コンロイ
地球の静止する日のスタッフ
原作:ハリー・ベイツ『主人への告別』
脚本:エドムンド・H・ノース
撮影:レオ・トーヴァー
音楽:バーナード・ハーマン
プロダクションデザイン:アディソン・ヘール、ライル・R・ウィーラー
テクニカルアドバイザー:サミュエル・ヘリック