映画1940年代の映画1958年の映画

めまい

4.5
キム・ノヴァク(めまい) 映画
キム・ノヴァク(めまい)
1958年のアメリカ合衆国のサスペンス映画。原題は「Vertigo」。監督はアルフレッド・ヒッチコック、出演はジェームズ・ステュアートとキム・ノヴァクなど。
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めまいの感想

ジェイムズ・スチュアートにいっぱい食わせたからくりが、後半に入ってすぐ、キム・ノヴァクの回想によって明かされる。
終盤まで種明かしはしない方がいい、とスタッフはさんざん進言したそうだが(ボワロー=ナルスジャックの原作からしてそうなのだ)、ヒッチコックは頑としてこの構成を変えなかったという。
結果、前半と後半で主客が転倒し、サスペンスの内容も異なる映画になった。
上映時間も2時間を越え、前半と後半の美しいノヴァクの心の動きをバーナード・ハーマンの音楽がつないでいる。

有名な「めまいショット」は横倒しにしたミニチュアセットをドリーズームしているそうだが、やはり映画は縦の運動を表現するのに向いていないということか、とあらためて思ったり。

めまいの見どころ

  1. “視覚と心理”を操る演出の極み
    ヒッチコックは「高所恐怖症による“めまい”」を表現するため、映画史上初の「ドリーズーム(めまい効果)」を使用。観客もスコッティの恐怖や混乱を“体感”することに。
    また、色彩、構図、鏡や影といった視覚表現を駆使し、「見ること=知ることではない」というテーマを強調。映像美と心理の融合が圧倒的。
  2. “愛と執着”の境界線を問う物語
    スコッティはある女性に恋をするが、彼の愛は次第に「理想の女性像を相手に押し付ける執着」へと変化する。この映画の根底には、本当の愛とは何か? 男性が女性に投影する幻想とは? “死”と“美”をめぐる欲望といった深いテーマが流れており、観れば観るほど異様な“ロマンスの危うさ”が見えてくる。
  3. ヒッチコック映画の中でも異色の“悲劇性”
    『裏窓』や『サイコ』のようなサスペンス要素はあるものの、『めまい』はミステリーというより純然たる悲劇。ラストに向けて、サスペンスの謎が解けていく快感、その一方で深まる「後戻りできない破滅感」という、感情的カタルシスと心理的痛みの両方が訪れる。
  4. 世界映画史における圧倒的評価
    2012年 英Sight & Sound誌「史上最高の映画」1位(長年トップだった『市民ケーン』を抜く)、そして映画監督たちの投票でも絶大な支持、ブライアン・デ・パルマ、デヴィッド・リンチ、クリストファー・ノーランなどが影響を受けたと公言しており、映像、構成、サウンド、テーマ性のすべてが高く評価され、“すべての映画好きが一度は観るべき一本”と言われている。
  5. 音楽にも注目
    作曲はヒッチコック常連のバーナード・ハーマン。不穏で美しいスコアが、「官能」「不安」「哀しみ」といった映画全体のムードを彩り、観る者の記憶に強烈に残る。

めまいのあらすじ

スコティことジョン・ファーガソン刑事は、高所恐怖症により警察を辞め、友人エルスターから妻マデリンの監視を依頼される。マデリンは曾祖母カルロッタの亡霊に取り憑かれているとされ、スコティは彼女に恋をする。マデリンは自殺を図り、スコティは彼女を救うが、彼女は鐘楼から転落死する。スコティは精神衰弱に陥り、マデリンそっくりの女性ジュディと出会う。ジュディはスコティの要望でマデリンに変貌し、2人は関係を持つ。しかし、ジュディはマデリンの殺害計画に加担していたことが判明。スコティは真相を知り、ジュディを鐘楼に連れ出すが、彼女は転落死する。物語はスコティの狂気と愛、そして悲劇的な結末を描く。

めまいを観るには?

めまいのキャスト

ジョン・“スコティ”・ファーガソン – ジェームズ・ステュアート
マデリン・エルスター/ジュディ・バートン – キム・ノヴァク
ギャヴィン・エルスター – トム・ヘルモア
マージョリー・“ミッジ”・ウッド – バーバラ・ベル・ゲデス
検死官 – ヘンリー・ジョーンズ

めまいのスタッフ

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