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國村隼の演技が圧巻。(哭声/コクソンの感想)
ナ・ホンジン連続視聴の続き。
今回はバイオレンスアクションではなく、オカルトである。
映画はルカによる福音書24章37-39節を掲げてから本編に入る。
37 彼らは恐れ驚いて、霊を見ているのだと思った。
38 そこでイエスが言われた、「なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。
39 わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ。
クライマックスで、ほぼ同じ台詞を國村隼が口にする。
その姿は悪魔そのものなのだが、「人は見たいものしか見ない」という監督の言葉通り、村の助祭の目を通した描写なのだろう。
実際は掌に聖痕をもつキリストなのである(映画にはキリスト教のモチーフが散りばめられている)。
その名も谷城(コクソン)という名の村で家族惨殺事件が立て続けに起こり、幻覚性のキノコが原因とされる。クァク・ドウォン演じる主人公はごく普通の警官なのだが、娘がやがて発症する(憑き物、湿疹の症状)。
この現象をめぐって3人の霊能力者が登場する。一人が國村で、旅行中だと語る日本人。もう一人がドウォンの義母が呼んだチャラい祈祷師。そしてちょくちょく姿を見せつつ最後に急にクローズアップされる白い服の女(チョン・ウヒ)。
誰が何のために呪いをかけているのかは最後までわからない仕掛けになっていて、途中、「謗法」に出てきたような祈祷師と國村の祈祷合戦などもあるのだが、実は二人はグルであり、それぞれ異なる相手に術をかけていたことが後でわかる。
國村の演技は圧巻。毎朝「オードリー」で森繁久彌のようなチョビ髭の國村を眺めているのだが、つくづく年季の入りまくった役者である。
哭声/コクソン 見どころ
韓国の山間の村・谷城(コクソン)を舞台に、得体の知れない「よそ者」の出現とともに起こる連続殺人事件を描く。國村隼の怪演が大きな話題となった。宗教的モチーフや人間の内面に潜む恐怖が描かれており、一度観ただけでは理解しきれないほど複雑で何度も観返すことで新たな発見がある映画である。
- 見どころとトリビア1. 國村隼の怪演と日本人役の設定
國村隼が演じる「よそ者」の日本人が物語の鍵を握る重要な存在。外見は韓国人と似ていながらも異質感を持たせるために日本人の設定になったという。國村は青龍映画賞の男優助演賞と人気スター賞を受賞した。 - 見どころとトリビア2. 宗教的モチーフと象徴性
キリスト教の聖書や韓国のシャーマニズムなど、宗教的な要素が随所に散りばめられている。冒頭に引用されるルカによる福音書の一節や、登場人物たちの行動には宗教的な象徴が込められている。 - 見どころとトリビア3. 撮影地・谷城(コクソン)と村人の反応
舞台・撮影地でもある谷城(コクソン)の村人たちは、当初「悪霊の村」というイメージがつくことを懸念して反対していたが、映画の大ヒットにより観光客が増加し、最終的には歓迎ムードに変わった - 見どころとトリビア4. ナ・ホンジン監督のこだわりと撮影秘話
ナ・ホンジン監督は、細部にまでこだわることで知られ、撮影現場では厳しい指導が行われた。國村隼は監督の指示に応えるため過酷な撮影に全力で取り組んだ。
哭声/コクソンのあらすじ
何の変哲もない田舎、谷城(コクソン)で、村人が家族を惨殺する事件が続けて発生。いずれも動機はなく、幻覚性の植物を摂取して錯乱したための犯行と発表されたが、謎の発疹を発症するなど不可解な点もあり、村人たちの中では山中で暮らす謎の日本人が関わっているとささやかれはじめる。警察官のジョングは当初噂をまともに取り合わなかったが、数々の異常事態を目撃して徐々に疑念を抱き、一度は断念した通訳の神父らとともに男の家を訪れた。そこで得体の知れない祭壇や事件の現場を写した写真などと娘ヒョジンの靴を見つけ、疑いを決定的にする。ヒョジンは高熱を発したもののすぐに回復したが、苦手なはずの魚を食らい、父親に罵詈雑言を吐くなどの奇行を繰り返し、一連の容疑者と同じ発疹が現れた。
家族が呼んだ祈祷師のイルグァンは、日本人をこの世のものではない悪霊と断じ、抹殺のための儀式を行うが、苦しむヒョジンを見かねたジョングはイルグァンを追い出してしまう。一方、同じ時間に男も山中で儀式を行っていた。その後、ヒョジンの容態はさらに悪化し、発疹も全身に広がっていく。娘を案じる一心で仲間とともに山中の家に押しかけたジョングは、ついに男を追い詰めるが…
哭声/コクソンを観るには?
哭声/コクソンのキャスト
哭声/コクソンのスタッフ
脚本:ナ・ホンジン
撮影:ホン・ギョンピョ
音楽:チャン・ヨンギュ、タルパラン
プロダクション・デザイン:イ・フギョン
衣装デザイン:チェ・ギョンファ
編集:キム・ソンミン
録音:キム・シニョン
照明:キム・チャンホ
『哭声/コクソン』は、ナ・ホンジン監督による2016年の韓国サスペンス・スリラー映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。