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コタキ兄弟と四苦八苦

芳根京子(コタキ兄弟と四苦八苦) ドラマ
芳根京子(コタキ兄弟と四苦八苦)
『コタキ兄弟と四苦八苦』は、2020年1月11日(10日深夜)から3月28日(27日深夜)まで、テレビ東京系「ドラマ24」で放送されたテレビドラマ。主演は古舘寛治と滝藤賢一。脚本は野木亜紀子によるオリジナル。不器用にしか生きられない兄弟がひょんなことから「レンタルおやじ」を始めることで、様々な人々からの無茶な依頼に苦しみながらも懸命に生きようとするさまを描く。

コタキ兄弟と四苦八苦の感想

古舘寛治滝藤賢一双方とも怪優であり、このコンビのドラマが見られるとは。しかもクドカンまで出ている。

野木亜希子の1年ぶり以上のカムバック作品だが、つい二人の台詞に伏線を探しても意味は(たぶん)ない。そのまま楽しむだけでいいのだ。

コタキ兄弟と四苦八苦 見どころ

『コタキ兄弟と四苦八苦』は、仏教的モチーフ、当て書き×省略による自然体の会話、伏線の丁寧な配置と回収、余白を持たせる演出設計、ペーソスと笑いのバランスを脚本上で融合したドラマである。
「人は助け合い、苦しみの中にも“ちょうどいい幸せ”を見つける」というテーマを、深夜という余白ある枠内で、心地よく、かつ深く視聴者に届けた。いわば、野木亜紀子脚本の「人間賛歌の構築美」なのだ。

主軸は“12の苦しみ(四苦八苦)”という仏教的メタ構造

各回タイトルには「怨憎会苦」「五蘊盛苦」「老苦」など、仏教の苦しみ12種類が設定され、それぞれの回のエピソードと緻密にリンクしている。
この構成によって、レンタルおやじとしての“外向きな物語”に集中しつつ、兄弟やゲストキャラの内面ドラマも深く掘り下げられる構造であることがわかる。

野木亜紀子による“当て書き&省略のバランス”

本作の脚本は、古舘寛治&滝藤賢一のキャラに合わせた“当て書き”である。このため二人の会話や相性がとても自然。宮藤官九郎も「男二人の関係が女性脚本家に描けるのはすごい」と絶賛しているほどだ。
無駄を極力削った会話と、省略された背景を最低限の描写で補う大胆な手法は、“喫茶店”や“レンタル先”という限られた舞台に **豊かな余白を生む引き算の脚本のお手本と言える。

小ネタと伏線の回収技術

1話完結しつつ、兄弟とさっちゃんの「ささやかな秘密」が散りばめられ、後半で一気に回収されて物語に弾みをつけた。飽きさせない構造が見事。
8話の“夢回”では、ミステリー要素のように見せながら「さっちゃんの心の変遷」を巧みに描写し、ここでも、遊びの中に深さを埋め込む野木脚本の力量が光っている。

人物描写の“丁寧な筆致”と余白の余韻

一言一句のセリフ、しぐさ、長回しなどで、兄弟や依頼人の“生き方のずれ”や不器用さが丁寧に示される。とくに一路の“好意を隠すぎる”仕草や、二路の“逃げ癖”の描写には脚本の細やかさが際立つ。依頼人との対話を通じて、人間の孤独や切実さを丁寧に拾い、視聴者に“それぞれの人生”を想像させる余白のある演出もすばらしかった。

全体を通じて見える“ペーソスとユーモアの共存”

全12話を通じて“ペーソス(哀愁)”と“ユーモア”が絶妙に調和していた。クスリと笑える会話から、別れや孤独に胸が締め付けられる場面まで、感情の幅が豊か。
野木脚本らしい現代人のモラトリアム期的心情を温かく包み込みつつも、無理なく自立と愛を描く構造が、深夜ドラマとして心地よかった。

コタキ兄弟と四苦八苦 あらすじ

元予備校講師の兄・一路(古舘寛治)は、現在無職で独身。喫茶シャバダバの看板娘・さっちゃん(芳根京子)が気になる様子。そんなある日、8年前に勘当したはずの弟・二路(滝藤賢一)が家に転がりこんで来るが、来る途中に事故を起こしたという!慌てて現場に向かうと、倒れていたムラタという男(宮藤官九郎)に“レンタルおやじ”の代理を頼まれる…待ち受けていた美人依頼主(市川実日子)を見て絶句。その理由は…!?

コタキ兄弟と四苦八苦を観るには?

コタキ兄弟と四苦八苦はこんな人におすすめ

  • 緻密な脚本構造と伏線回収を楽しみたい人
  • ユーモアと哀愁のバランスを重視する物語が好きな人
  • 野木亜紀子の“当て書き脚本”と“引き算演出”に注目したい人
  • 深夜ドラマならではの余韻と人間ドラマを味わいたい人

コタキ兄弟と四苦八苦 キャスト

古滝一路〈46〉 – 古舘寛治
古滝二路〈42〉 – 滝藤賢一
笹谷五月〈25〉 – 芳根京子(幼少期:渋谷南那)
ムラタ – 宮藤官九郎
後藤米吉 – 山田良行
古滝有花 – 中村優子
バールくん – 伊島空
ゲスト – 市川実日子 岸井ゆきの 松澤匠 望月歩 樋口可南子 川島鈴遥 門脇麦 吉沢悠 小林薫 手塚理美 北浦愛

コタキ兄弟と四苦八苦 スタッフ

脚本 – 野木亜紀子
監督 – 山下敦弘
音楽 – 王舟&BIOMAN(スペースシャワーネットワーク)
オープニングテーマ – Creepy Nuts「オトナ」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)[7]
エンディングテーマ – STARDUST REVUE「ちょうどいい幸せ」(日本コロムビア)[8]
チーフプロデューサー – 阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー – 濱谷晃一(テレビ東京)、根岸洋之(マッチポイント)、平林勉(AOI Pro.)、伊藤太一(AOI Pro.)
制作 – テレビ東京、AOI Pro.
製作著作 – 「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

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