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お母さん、娘をやめていいですか?

4.5
波瑠(お母さん娘をやめていいですか?) ドラマ
波瑠(お母さん娘をやめていいですか?)
『お母さん、娘をやめていいですか?』は、2017年1月13日から3月3日までNHK総合・ドラマ10枠で毎週金曜22時 – 22時49分に放送。主演は波瑠で、井上由美子作のオリジナル脚本。全8回。娘がある男と出会ったことがきっかけで、親友か恋人のように仲のよかった母娘の関係が次第に変化していく様をサスペンス的に描くモンスターホームドラマ。
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お母さん、娘をやめていいですか?の感想

紗江子のように、優秀な子種を得た上に巨額の慰謝料をせしめて離婚し、裕福な実家に出戻るという(母と娘の双方にとっての)最高峰の勝ち組人生は、今さらのようだが、私のような3兄弟の親の想像を絶している。
思えば幼稚園でも男の子の親と女の子の親とは別な世界の住人であった。こうした母娘を最近はピーナツ親子と呼ぶのらしいが、共通項としては父親の影の薄さがあるらしい。
女系家族の娘と結婚して(当然同居)、さらに我が子が2人とも女、という不幸な男を知っているが、3人目の妊娠時に超音波映像に影がある!と一縷の望みをかけたものの、生まれてみれば結局やはり女で、ほとんど人生が終わったかのようであった。

斉藤由貴波瑠という無敵のピーナツ親子は美しくも苦すぎる設定である。十円禿を静かに母親に隠す波瑠は、「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」から抜け出たサイコパスに見えるし、斉藤由貴はどこまでも美魔女である。

NHKならではの異色サスペンスとして注目したい。

お母さん、娘をやめていいですか? 見どころ

本作は、親子の「共依存」の関係に焦点を当てつつ、サスペンスを通じて自立を描いた秀逸な作品である。サイコ要素がありつつも、「家族の会話が共感できる部分も多い」とバランスされた評価が高く、“中毒性がある”“ゾクゾクした”という声が目立つ。
『お母さん、娘をやめていいですか?』は、母と娘の過剰なまでの依存関係、“毒親”という名の愛の形を演出する名演技、自意識の再生をもたらす第三者の存在、家族関係の再構築という社会的希望を重層的に描いた、サスペンスと感情の両立が光るドラマだ。「信じるほど怖い、けれど逃げられない」という母性の構造を、演技と脚本が丁寧に紐解いた意欲作と言える。

「異常なほどに密着する母娘関係」

母・顕子(斉藤由貴)と娘・美月(波瑠)は、まるで恋人のように密接している。中学受験・就職も二人三脚という関係だ。顕子の尾行や服装や意見に対する暗黙の支配は、“その支配が愛”と錯覚させる怖さを伴う異常性として撮られている。
波瑠の「すべて母に委ねた結果、気づけば自我が消えていた」という気づきの瞬間が、ドラマ全体の構造を支えている。

斉藤由貴による“毒親”演技の迫力

母親・顕子の、「美しさ」の中に“制御できない狂気”を親和的に融合させた演技は、視聴者をゾッとさせ、同時に惹きつける。ドール作りやスマホの待ち受けなど、優雅で自然な仕草に隠された執着心は、“癒し”と“恐怖”の境界で揺れる絶妙なバランスである。

松島(柳楽優弥)という触媒――娘の自立の契機に

松島の存在が美月の意識変容に繋がり、「一歩踏み込む勇気」を引き出すトリガーとなる。彼は「君の本当の気持ちは違うんじゃないか?」と娘に迫ったことから、美月は自分と母との関係に揺れを感じ始めるようになる。

家族と“毒関係”の対話によるクライマックス

父・浩司(寺脇康文)が妻と娘の関係に介入し、最後に家を出てインドネシア赴任を申し出るまでの構造には 家族内部の“正常化”が描かれている。美月が自分の意志で“母の呪縛”から離れようとする葛藤は、親子関係再構築のドラマなのである。

本作には4つの“毒”が描かれている。

  1. 愛”と“支配”の境を曖昧にする描写:親の過干渉が愛情と錯覚される中毒性
  2. 狂気すら演技に昇華する斉藤由貴:優雅さと狂気を紙一重で行き来する存在感
  3. 娘の自我再生を導く外部刺激:“他者との対話”が内省のきっかけになる構造美
  4. 家族の再構成に向かうクライマックス:父親と娘が「母から離れる勇気」を示し、家族に新たな姿を提示

お母さん、娘をやめていいですか? あらすじ

早瀬美月は母、顕子と共に中学受験や大学受験、就職の時もいつも二人三脚で頑張ってきた。美月は完璧な母のサポートで順調に育ち、今は女子高の英語教師となり、母であり一番の親友である顕子を全面的に信頼していた。2人はまるで恋人同士のように仲の良い母娘だった。この母娘の密着を父、浩司は気にかけていたものの、仕事一筋で2人の関係に踏み込むことができないでいた。ある日、新築中の早瀬家を担当するハウスメーカーの松島が、不思議な人懐っこさで2人と親しくなる。顕子は彼を気に入り、美月と付き合うように背中を押すが、美月は松島と会うことで、自分が無意識に母親の顔色を見て生きてきたことを自覚していく。顕子は娘が次第に変わり、自分から離れて行くことに動揺し、自分の一番大切なものを奪われたくないと思い始め、徐々に凶行に及ぶようになる。

お母さん、娘をやめていいですか?を観るには?

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お母さん、娘をやめていいですか?はこんな人におすすめ

  • “親からの呪縛”を感じる人
  • “愛”と“支配”の微妙な境界に興味がある人
  • 母娘ホラーと自立劇の二重構造を観たい人
  • ゾクゾクする心理ドラマ、斉藤由貴の怪演に惹かれる人

お母さん、娘をやめていいですか? キャスト

早瀬家
早瀬 美月〈25〉 – 波瑠
早瀬 顕子〈50〉 – 斉藤由貴
早瀬 浩司〈54〉 – 寺脇康文
オアシスハウジング
松島 太一〈28〉 – 柳楽優弥
立原 真紀 – 壇蜜
私立女子高
後藤 礼美 – 石井杏奈(E-girls)
太田 和幸 – 眞島秀和
早瀬浩司の同僚
雪村 勝治 – 棚橋真典
御手洗 孝史 – みのすけ
村主 栄三 – 佃典彦

その他
牧村 文恵 – 麻生祐未
川端 玲子 – 大空眞弓
川端 貴之 – 中村靖日
川端 和子 – 太田彩乃
後藤 佳代子 – 池津祥子

お母さん、娘をやめていいですか? スタッフ

作 – 井上由美子
音楽 – 富貴晴美
主題歌 – サラ・オレイン「Little Doll」
演出 – 笠浦友愛(チーフ演出)、佐藤譲大橋守(NHK名古屋放送局)
制作統括 – 櫻井壮一(NHK名古屋放送局)
制作 – NHK名古屋放送局

『お母さん、娘をやめていいですか?』は、「毒親ホラー」から“自立と再生”への極上密室劇です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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