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シングルマザーズ

沢口靖子(シングルマザーズ) ドラマ
沢口靖子(シングルマザーズ)
シングルマザーズは、NHK総合テレビジョン「ドラマ10」にて2012年10月23日~12月11日に放送。全8回。原作は2002年に政府が決定した児童扶養手当削減方針の撤回を求めて活動したシングルマザーたちの実話をもとにした作品。ドラマは社会派ホームドラマで、主演は舞台版と同様、沢口靖子が務める。

ドラマ シングルマザーズの感想

堤某の愛人であると言われたり、タンスにゴンで変な役をやったり、絶世の美女であった沢口靖子は、謎の女優のまますっかり歳をとってしまったのであるが、芝居はいまだに上手くないのだった。47歳だから、未就学児の母親としてはちょっと老けすぎである。せめて10年前なら、DV被害者としても、もっと感情移入できたのではないだろうか。

原作は永井愛の舞台劇。沢口靖子はそちらでも主役を演じているらしいので、テレビドラマとしては少々過剰じゃないかなあと思いつつ、前半までは、DVとはそこから逃げるしかない存在なのかなどと考えながら見ていた。

DV加害者は一種の人格障害のように思えるが、DVを病気と呼ぶことは本質を隠してしまう、なぜならDVは治らないからだ、とシェルターネットの中の人は語っている。もっとも、これは「DVと向き合ってはいけない」という怨みに満ちた経験則について語っているとも考えられる。向き合うことの困難さ、危険がとても大きいのだろう。もしかしたら、すべての男性に多かれ少なかれ存在する因子と言いたいのかもしれない。それにしても、向き合うことが不可能で手の施しようがないものとは、つまりゾンビのようなものだということだ。DVは、そこから逃げるか、もしくは殺してしまうしか対峙する方法がないのか。 (予告編によると、この「ドラマ10」枠の次作は、DVに反撃して夫を殺した女の話らしい←佳作「いつか日の当たる場所で」である)

後半になって、元DV加害者である山口馬木也が登場する(舞台版では吉田栄作が演じる)。永井愛らしい仕掛けであり、舞台版はここから話が始まるようだ。まさに「治らない」ことに苦しみ、何かできることはないかと助けを求めるていの山口に、団体代表の高畑淳子は、最終回で、苦しまないよりはずっといい、と声をかけつつ、「でも、もうここには来ないでほしい」と突き放す。

ここで語られているのは、DVという犯罪を挟んだ被害者と加害者という関係性であり、もはや家族としてはもちろん修復不可能(それでも子供の父親という関係性は残る)であるばかりか、それぞれが憎しみや畏れの中でどう生きるかというテーマである。 加害者家族に属する満島ひかりと被害者遺族の瑛太が向き合おうとする坂元裕二の秀作「それでも、生きてゆく」(こちらはDVではなく幼女殺害だが)を思い起こさせたが、本作はそれ以上踏み込もうとはせず、田中哲司の父親と息子が定期的に面会しているらしい、修復された関係があっさり描かれるあっさりしたエンディングで終わった。

舞台は架空の街になっているが、水兵服のガイジンが歩いていたり、とんと、横須賀である。夫から離れたい一心で逃げてきたにしては東京に近すぎるのではないか。もっとも、横須賀は近くて遠い異郷だから、意外とそういうこともあるかもしれない。

シングルマザーズのあらすじ

夫のDVから逃れた直は、息子・涼太と一緒に新しい生活を始める。姉御肌の久美やカレーハウス「鴎夢亭」のオーナー夫婦の助けで、シングルマザーとして自立を目指す。直は「ひとりママネット」の代表・高坂燈子の支援を受け、簿記やパソコン検定の勉強に励む。涼太も友達と成長する中、DV被害者の小田と出会い、彼の更生を促す。直は事務局長として活躍し、会員たちの自立を支援するが、社会の無理解や政策の試練に直面。国会への抗議活動に参加するも、元夫に所在が知られることを恐れる。

シングルマザーズのキャスト

上村 直 – 沢口靖子
難波 水枝 – 酒井若菜
斎藤 久美 – 北斗晶
木島 雪乃 – 忽那汐里
小暮 雅子 – 田島令子
小暮 洋輔 – ユージ
大平 初音 – 枝元萌
上村 喬 – 山路和弘
上村 鶴子 – 槇由紀子
園長 – 金沢碧
上村 涼太 – 幼少期:田中奏生→少年期(小学生〜中学生):山崎竜太郎→少年期(高校生):藤原薫
難波 慎之介 – 幼少期:吉田はるき→少年期:松島海斗
斎藤 大 – 上妻成吾
斎藤 なずな – 幼少期:山岡愛姫→少女期:安田彩奈
山田 あさみ – 原舞歌
木島 綾乃 – 幼少期:横溝菜帆→少女期:遠藤璃菜
梶谷 由香子 – 三浦理恵子
小田 行男 – 山口馬木也
青山 信樹 – 田中哲司
青山 路子 – 星由里子
小暮 金治 – 若林豪
高坂 燈子 – 高畑淳子

ドラマ シングルマザーズのスタッフ

原案:永井愛
脚本:相良敦子
音楽:富貴晴美
主題歌:徳永英明「名前のないこの愛のために」(ユニバーサルミュージック)
演出:本木一博松浦善之助
音響効果:久保光男、鈴木希弥
法律監修:垣内恵子、飯田豊浩、高取由弥子
臨床心理考証:棚瀬一代
擬闘:松本真治
取材協力:赤石千衣子
制作統括:藤澤浩一
制作著作:NHK

シングルマザーズの原作


初演:永井主宰の二兎社第36回公演として永井演出で2011年2月20日、同年3月7日発売『悲劇喜劇』2011年4月号掲載

2002年秋。直は派遣社員として働き、12歳の息子を一人で育てながら、シングルマザーの支援団体“ひとりママ・ネット”の事務局長としても活動している。代表を務める燈子と直の目標は、国会を動かし、児童扶養手当の削減を撤回させること。小さなアパートの一室を借りた事務局には、離婚により裕福な家庭から一転して3人の子供を抱えた貧困生活となった初音や、資格の勉強に取り組むギャルママの水枝も出入りしている。そんなある日、事務局に小田と名乗る男が現れる。妻子を捜していると語る小田がDVの加害者であると直は感じ取る。

舞台 シングルマザーズを観た人の感想

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