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アイデンティティー

アマンダ・ピート(アイデンティティー) 映画
アマンダ・ピート(アイデンティティー)
『アイデンティティー』は2003年製作のアメリカ映画。ジェームズ・マンゴールド監督のサスペンス。原題は「Identity」。まだ観ていない方は、Amazon Prime Videoで今すぐ視聴できます!
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あっと驚く巧妙に練り込まれた映画(アイデンティティーの感想)

そして誰もいなくなった」にインスピレーションを得たという映画(ある作中人物はそれに言及するだけでなく、真犯人の名前も口にしてしまう。それ自体が伏線になっている)。

かなり練られた脚本を書いたのはマイケル・クーニーという人で、ジュリアン・ムーアのオカルト映画「シェルター」なども書いている。
2003年の映画なので、以下はネタバレである。

豪雨による洪水で道(ルート10号?)が寸断され、通信が遮断されたモーテルに次々と客が舞い込む。交通事故で瀕死の妻を抱えた夫と息子、落ち目の女優と運転手(ジョン・キューザック)、ラスベガスからフロリダに向かう娼婦(アマンダ・ピート)、結婚したばかりの夫婦、囚人を護送中の刑事であり、モーテル支配人を含めて11名。全員訳ありである。

長い夜の中で10人は一人ずつ殺されていき、死体の傍らには部屋番号のついたキーが置かれ、その番が「10」から「1」へと遡っていく。生き残ったアマンダとキューザックらは疑心暗鬼になり、さらに終盤になるとなぜか死体すら消え失せてしまう。

映画では、上記と並行して、やはり豪雨下で、ある死刑囚の再審議が行われる様子を描く(豪雨にミスリーディングの役割を果たしている)。この死刑囚は多重人格であり、死刑に反対する弁護士と精神科医によって、人格を一人ずつ抹殺していく治療(つまりモーテルで起こっていることはこの死刑囚の妄想)を行っていたのである。モーテルの11人の誕生日が全員同じで、姓が合衆国の州名になっているというのが伏線だった。

モーテルで生き残ったのはアマンダで、サイコパスでない人格が残ったことで、死刑囚も刑を免れる。

ところが、映画はさらなるどんでん返しで終わる。
フロリダで念願のオレンジ農場を始めたアマンダは土の中に「1」のキーを発見。実はある人格が死んでおらず、アマンダも、死刑囚(ではなくなっていたが)を移送中の刑事たちも、その人格によって殺されてしまう、という、あっと驚くオチで映画は終わる。

考えてみればクリスティの長編と同じオチなのだが、多重人格の種明かしにあっけにとられているうちにこのどんでんを持ってきたところに、作り手の自信を感じさせる。

アイデンティティー あらすじ

人里離れた1軒のモーテル。激しい豪雨が降り続く夜、ある男性は息子を伴い、交通事故で大けがをした妻をそこに運び込む。救助を要請しようとするが電話は不通。彼女をはねたのは女優の運転手で元警官の男性だった。彼は助けを呼びに病院へ向け車を走らせる。

アイデンティティーを観るには?

アイデンティティー 考察ポイント

本作は、単なるスプラッターやホラーではなく、サイコロジカルな謎解きと人間心理のメタファーが巧みに融合した作品である。『ファイト・クラブ』や『シャッター・アイランド』と並ぶ多重人格系ミステリーの金字塔として、考察好きから今も評価が高く、ラスト5分の衝撃が作品全体の印象を一変させ、「2回観て初めて真価がわかる映画」と言われる。

  • 多重人格をテーマにしたプロットの巧妙さ
    登場人物は実在の人間ではなく、すべてマルコム・リヴァースという死刑囚の中に存在する“人格”であるというどんでん返しが、「サイコスリラー」としての完成度を高めている。
    モーテルで起きる殺人事件の順番=人格の排除であり、精神内の「治療」が物理的な死として描かれるというメタ構造。
    「どの人格が“悪”で、どれが“善”か?」という観点で観ると、2回目以降の視聴で違った印象を受ける。
  • ジョン・キューザック演じる“エド”の役割
    エドは「良心」「正義感」を象徴する人格として位置づけられ、視聴者が最も感情移入しやすいキャラに設定されている。
    彼が最終的に“悪”の人格・ティモシーを倒すように描かれるが、それが本当の終結ではなかったというラストが、さらなるどんでん返しにつながっている。
  • ラストの解釈
    最後に生き残っていたのは「無邪気そうに見えたが最も邪悪な人格」であり、“一件落着”かと思われた直後に新たな殺人が起きる展開が、「悪はそう簡単には消えない」という深いテーマを象徴している。
    人格統合というテーマは幻想にすぎず、真の“病理”はもっと根深い?
  • 映像と編集
    フラッシュバックや視点の切り替えを巧みに使いながら、観客をミスリードする演出。
    殺人が起きるたびにキーアイテム(鍵の番号など)が意味深に変化していく「伏線回収」

アイデンティティー キャスト

エド・ダコタ(Edward “Ed” Dakota、元LA市警の警察官) – ジョン・キューザック
カロライン・スザンヌ(Caroline Suzanne、落ち目の女優) – レベッカ・デモーネイ
サミュエル・ロード(Samuel Rhodes、囚人を移送中の刑事) – レイ・リオッタ
ロバート・メイン(Robert Maine、移送中の囚人) – ジェイク・ビジー
パリス・ネバダ(Paris Nevada、娼婦) – アマンダ・ピート
ラリー・ワシントン(Larry Washington、モーテルの支配人) – ジョン・ホークス
ジニー・バージニア(Ginny Virginia、ルーの妻) – クレア・デュヴァル
ルー・イジアナ(Lou Isiana、ジニーの夫) – ウィリアム・リー・スコット
ジョージ・ヨーク(George York、アリスの夫) – ジョン・C・マッギンリー
アリス・ヨーク(Alice York、ジョージの瀕死の妻) – レイラ・ケンズル
ティミー・ヨーク(Timothy “Timmy” York、アリスの連れ子) – ブレット・ローア
マルコム・リバース(Malcolm Rivers、死刑囚) – プルイット・テイラー・ヴィンス
マリック医師(Dr. Mallick、マルコムの担当医) – アルフレッド・モリーナ

アイデンティティー 作品情報

監督 – ジェームズ・マンゴールド
脚本 – マイケル・クーニー
製作 – キャシー・コンラッド
製作総指揮 – スチュアート・ベッサー
音楽 – アラン・シルヴェストリ
撮影 – フェドン・パパマイケル
編集 – デヴィッド・ブレナー
製作会社 – コロンビア ピクチャーズ、コンラッド・ピクチャーズ
配給 – アメリカ コロンビア映画、日本 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開 – アメリカ 2003年4月25日、日本 2003年10月25日
上映時間 – 90分

『アイデンティティー』は、単なるスプラッターやホラーではなく、サイコロジカルな謎解きと人間心理のメタファーが巧みに融合した映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。

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