【ざっくり解説】グリコ・森永事件とは
1984年3月に始まったグリコ・森永事件は、「かい人21面相」を名乗る犯人グループが江崎グリコ社長を拉致した後、江崎グリコ、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品企業を次々と脅迫した事件。犯人は青酸入り菓子を店頭に置くなど社会不安を引き起こした。
事件の特徴として、「かい人21面相」が挑戦状をマスコミに送り、犯行を公開したことから「劇場型犯罪」と名付けられた。犯人は、要求した身代金の受け渡しで指定場所を何度も変更し、結局、一度も現金を受け取らなかった。
丸大食品脅迫事件では「キツネ目の男」、ハウス食品脅迫事件では不審車両の運転手が目撃されたが、いずれも取り逃がした。ハウス食品事件での失態を苦にした滋賀県警本部長が自殺した直後、犯人から「くいもんの会社いびるのもおやめや」との終息宣言が送られた。
1984年5月、9月、1985年2月と青酸入り菓子が店頭に置かれるなど、社会不安が広がった。2000年2月13日に最後の事件も公訴時効が成立し、警察庁広域重要指定事件として初めて未解決となった。
事件の捜査では延べ130万人以上の捜査員が投入され、12万5千人以上を捜査対象としたが、犯人の正体は不明のままである。
グリコ・森永事件を追ったルポルタージュ作品
キツネ目 グリコ森永事件全真相(岩瀬 達哉)
147通にも及ぶ膨大な脅迫状、600点以上の遺留品、さらには目撃、尾行までされながら、ついに時効の彼方へと逃げ込んだ「グリコ森永事件」犯人グループ。
その中心人物、かつ司令塔となったのが、「キツネ目の男」だった。
グリコの江崎勝久社長を自宅から拉致して監禁、身代金を要求するという「実力行使」から、青酸入りの菓子と脅迫状の組み合わせによって裏取引し、企業からカネを奪おうとする「知能犯罪」、そしてメディアや世論を巻き込んだ劇場型のパフォーマンスまで、日本の犯罪史上に残る空前絶後の事件だ。
しかし、犯人グループは、その「痕跡」を消しきれていなかった。
当時、第一線で捜査にあたった刑事、捜査指揮した警察幹部、犯人グループと直接言葉を交わした被害者、脅迫状の的になった企業幹部など、徹底した取材で事件の真相をえぐり出す。
「少なくとも6人いた」という犯人グループの、役割分担、構成にまで迫る!
「キツネ目と仲間たち」の全貌が、闇の向こうから浮かび上がる――。
未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言(NHKスペシャル取材班)
警察はなぜ敗れたのか。
極秘捜査、キツネ目の男、子どもの声、大津サービスエリア……
今なお謎に包まれた事件の「真相」に迫る!
「かい人21面相」に翻弄された警察。無念の言葉
「あと数秒早く赤にさえなっとったら。犯人にツキを与えてしもうた」
――犯人の車をギリギリまで追い詰めた元捜査員「誰が何を言おうとも、この似顔絵には自信がある」
――「キツネ目の男」の似顔絵を描いた元捜査員「元バーテンの話に、微物捜査のラインを絡ませれば……時効が立ちはだかった」
――滋賀県警の鑑識課に所属していた元捜査員
その男が振り向いた時、捜査員を恐怖が襲った。サングラスの奥に光る釣り上がった目──キツネ目の男だった。「Fがいた!職質したい!」。しかし、捜査本部は尾行を指示。男は姿を消し、犯人逮捕の最後のチャンスは潰えた。日本列島を震撼させた空前の劇場型犯罪。
警察はなぜ敗れたのか。元捜査関係者たちが初めて重い口を開く。NHKスペシャル取材班が総力をあげて迫る未解決の「真相」。
二本の棘 兵庫県警捜査秘録(山下 征士)
「兵庫県警には、”棘”が刺さったまま残っているんや。2本も。これは絶対に忘れてはならん」。
先輩刑事が表現した”棘”とは、「114(グリコ森永事件)」「116(朝日新聞襲撃事件)」の2つの未解決事件のことである。その「2本の棘」は、警察退職後30年を経た今なお、著者の心の中に突き刺さり、後悔の念が強く残っている。なぜこの2事件は解決できなかったのか。また、捜査一課長として指揮を執り、執念の末に「少年A」の逮捕に至った背景とは。昭和・平成に起きた凶悪事件担当の元捜査一課長が初めて明かす事件の全て。
グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人(森下香枝)
グリコ・森永事件の真犯人はいったい誰だったのか? 名古屋で起きたある強盗事件をきっかけに、一人のジャーナリストが、独自の人脈を駆使してグリコ・森永事件の真相に迫る。犯人は何度も現場に姿を現し、しかも犯行を告白していたのだ! 捜査陣もマスコミも投げ出し、闇に葬られた事件に光をあて最終回答を突きつける驚愕の書き下ろしルポルタージュ。




