2020年10月30日に放送されたオリジナルドラマ。監督・脚本はタナダユキ、主演は竹原ピストルと高畑充希。福島中央テレビ開局50周年記念作品。
浜の朝日と嘘つきどもとの感想
公開中の同名映画の後日譚だという(監督はどちらもタナダユキ)。柳家喬太郎と高畑充希はそのままで、同じ福島県相馬市の場末映画館を舞台に、竹原ピストルが死に場所をさがしにやって来る、という話。高畑が抱える骨壷の「先生」は映画のストーリーに出てくるものか。
日本映画によく出てくるような投げやりな女を高畑が演じるのだが、まるで違う文脈になるところが高畑充希の稀有を表している。
浜の朝日と嘘つきどもと 見どころ
映画館という場所が持つ時間と記憶、そして嘘と本音が交差する人間模様を描いた、シンプルで奥行きのある作品。
映画の見どころ
- 高畑充希が見せる“愛想笑いの奥の怒り”
莉子は、一見、優秀なマネージャー。けれどその言葉の裏には、“過去を埋める嘘”が詰まっている。嘘と本音を行き来する芝居は、抑えた演技の中に激しい感情の対流があり、映画全体を牽引する。 - ローカル映画館を巡る“時の記憶”としての構成
古びた映画館を通じて描かれるのは、震災の傷/町の衰退/人々の忘れられた想い出。映画は映画館を「人と人の嘘が交差し、いつか許される場所」として描かれる。 - タナダユキの脚本・演出の“情緒と間”
すぐに感情を説明しない、短いセリフのやりとりにすべてを込める、静けさの中に「思い出が語りかけてくる」など、“泣かせにいかないのに、心がじんわり温まる”独自のタナダ節が全編に宿っている。
ドラマの見どころ
- 嘘から始まる“自分探し”の物語
莉子は、元は会社員。ある理由で「朝日座の支配人の娘」と偽って南相馬にやってくる。なぜ嘘をつくのか? その嘘を通じて彼女自身が見つめ直す、“本当の自分との出会い”がドラマ版の核である。 - 地元の人々との“ちいさな関係”が織りなす連作短編のような作り
1話ごとに村人たちとのエピソードが展開され、彼らの過去・喪失・希望が浮かび上がる。→ ドラマとしては“地方での人間関係リハビリ”とも呼べるヒューマン群像劇。 - ドラマから映画へ自然につながる設計
ドラマの最終回で、莉子が「本当に映画館を守ろう」とする決意に至る瞬間は、映画版を観る前の“感情の土台”として非常に重要なシーン。
浜の朝日と嘘つきどもとのあらすじ
福島県南相馬に実在する映画館を舞台に、映画館の存続に奔走する女性の姿を描いたタナダユキ監督のオリジナル脚本を高畑充希主演で映画化。100年近くの間、地元住民の思い出を数多く育んできた福島県の映画館・朝日座。しかし、シネコン全盛の時代の流れには逆らえず、支配人の森田保造はサイレント映画をスクリーンに流しながら、ついに決意を固める。森田が一斗缶に放り込んだ35ミリフィルムに火を着けた瞬間、若い女性がその火に水をかけた。茂木莉子と名乗るその女性は、経営が傾いた朝日座を立て直すため、東京からやってきたという。しかし、朝日座はすでに閉館が決まっており、打つ手がない森田も閉館の意向を変えるつもりはないという。
浜の朝日と嘘つきどもとを観るには?
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浜の朝日と嘘つきどもとのキャスト
川島健二(映画監督) – 竹原ピストル
茂木莉子(映画館もぎり嬢) – 高畑充希
森田保造(映画館支配人) – 柳家喬太郎
田中茉莉子(高校教師) – 大久保佳代子
藤田慎二(映画監督) – 小柳友
今村(クリーニング店店主) – 六平直政
松山秀子(資産家の未亡人) – 吉行和子
茂木莉子(映画館もぎり嬢) – 高畑充希
森田保造(映画館支配人) – 柳家喬太郎
田中茉莉子(高校教師) – 大久保佳代子
藤田慎二(映画監督) – 小柳友
今村(クリーニング店店主) – 六平直政
松山秀子(資産家の未亡人) – 吉行和子