2021年4月10日(9日深夜)~6月26日の毎週土曜0時12分~0時52分(金曜深夜)にテレビ東京系「ドラマ24」で放送。主演は吉田羊と國村隼。原作はジェーン・スーのエッセイ(新潮社『波』連載2016年3月号~2017年8月号、2018年5月18日刊)。
生きるとか死ぬとか父親とかのあらすじ
ラジオ番組『トッキーとヒトトキ』のパーソナリティであるトッキーこと蒲原トキコ(吉田羊)は、毎週リスナーから寄せられる「お悩み相談コーナー」で大人気。しかしそんなトキコにも悩みが…父親の蒲原哲也(國村隼)である。自由奔放な父に振り回されるトキコだが、ある日、父について“エッセイ”を書こうと決める。そこには亡き母の人生と、父への愛憎が入り混じる娘の秘めたる思いがあって…。可笑しくもほろ苦い家族の物語が今、幕を開ける!
生きるとか死ぬとか父親とかの感想
原作者の「生活は踊る」を大体毎日聞いているのだが、基本的に常識的なことしか言わないにもかかわらず、なぜかおおむねテレビより知的に感じられるラジオというメディアの雰囲気を、ドラマはうまく再現している。
大原麗子/原田芳雄の1979年のドラマ「たとえば、愛」(ソフト化を心待ちにしているのだが、日本映画専門チャンネルで放映したらしい、しまった!)などを思い浮かべるせいかもしれない。
年齢非公開の吉田羊は原作者と同年代と推定され、屈託にリアリティがある。台詞はかなり多いが、ヒツジストにはたまらないだろう。
(と書いて、3話目以降を録画したまま1年以上放置し、ようやく視聴して)
落ちぶれたダンディの國村隼をからかう吉田羊(トッキー=ジェーン・スー)の父娘エッセー的なドラマと思わせて、國村を許したわけではないと心の中で呟かざるを得ない理由が、後半明らかになる。
20代の吉田を松岡茉優が演じ(國村はそのまま)、母親(富田靖子)をめぐる屈託の物語があるのだが、松岡と吉田が同時に画面に現れて織りなすカタルシスのシーンが美しい。
ドラマの最後で「相談は踊る」が金曜深夜から月金昼帯に移動した事情もストーリーに織り込まれているのは、これがあくまでも相談者の物語だということを示しているが、それは「遠ざかる背中」に寄り添おうとする、不可能な物語でもある。
生きるとか死ぬとか父親とかのキャスト
蒲原哲也(トキコの父) – 國村隼
蒲原トキコ(20代) – 松岡茉優
トキコの母(回想) – 富田靖子
東七海(TBXアナウンサー)- 田中みな実
今西(トキコの担当編集者) – DJ松永
中崎(ラジオディレクター) –
近田純(編成作家) – 森本晋太郎
遠山(ラジオ音響) – ヒコロヒー
ゲスト
バーバ(トキコの叔母)- 松金よね子
滝沢さん(バーバの生徒) – 相築あきこ
平子祐希(本人役)- 平子祐希(アルコ&ピース、友情出演)
栗島ミナミ(トキコの友人) – 石橋けい
北野カオリ(トキコの友人) – 中村優子
川瀬陽太
沼田(哲也のかつての友人) – 菅原大吉
ケイコ(トキコの伯母) – 三林京子
エミコ(トキコの従姉) – 渡辺真起子
青柳タツヤ(トキコの元パートナー) – 岩崎う大(かもめんたる)
佐久間宣行
島田一輝(テレビ東京アナウンサー)
池谷実悠(テレビ東京アナウンサー)
田中瞳(テレビ東京アナウンサー)
「あの人」/小滝さち子(哲也の愛人) – 内田慈
木下(看護師) – 福田麻由子
松本(医師) – 大槻修治
北野カオリ(トキコの友人・20代) – 大友花恋
栗島ミナミ(トキコの友人・20代) – さいとうなり
生きるとか死ぬとか父親とかのスタッフ
原作 – 山戸結希(シリーズ構成)、菊地健雄
脚本 – 井土紀州
OP主題歌 – 高橋優「ever since」(unBORDE / Warner Music Japan)
ED主題歌 – ヒグチアイ「縁(ゆかり)」(ポニーキャニオン)
音楽 – Vampillia
医療監修 – 堀エリカ
チーフプロデューサー – 阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー – 佐久間宣行、祖父江里奈(テレビ東京)、半田健(オフィスアッシュ)、平林勉(AOI Pro.)
制作 – テレビ東京、オフィスアッシュ
製作著作 – 『生きるとか死ぬとか父親とか』製作委員会
生きるとか死ぬとか父親とかを観るには?
生きるとか死ぬとか父親とかを観た人の感想
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このシリーズ、来週が最後だが、最初から見直したくなるドラマである。さまざまなエピソードに自分の人生を重ねてみていくと色々といらないことまで思い出す感じだからだろう。
「生きるとか死ぬとか父親とか(第11話)」父親との確執を描くという難しさ(陽向走太(谷口浩之)) -
“不倫した父親を許せない娘”というのは、なにも新しいテーマではなく、昭和の名脚本家・向田邦子も繰り返し描いてきたテーマだ。
『生きるとか死ぬとか父親とか』は“娘版『俺の家の話』”? リアルベースの人間ドラマに期待(小田慶子 – RealSound) -
実話をもとにしたドラマだけに、都会で生きる現代の女性の姿を、誇張せず自然に再現できているのも、吉田羊が持つリアリティーあってこそのように思えた。
吉田羊が体現する現代女性の生き様 『生きるとか死ぬとか父親とか』で見せる“軽さと重さ”(西森路代 – RealSound)
生きるとか死ぬとか父親とかの原作(ジェーン・スー)
いずれ後悔しないために、私は父について書こうと決めた――
誰もが家族を思い出す、父と娘のリアルストーリー。
母を亡くして約二十年。私にとって七十代の父はただ一人の肉親だ。だが私は父のことを何も知らない。そこで私は、父について書こうと決めた。母との馴れ初め、戦時中の体験、事業の成功と失敗。人たらしの父に振り回されつつ、見えてきた父という人、呼び起される記憶。そして私は目を背けてきた事実に向き合うーー。誰もが家族を思い浮かべずにはいられない、愛憎混じる、父と娘の本当の物語。