1998年のアメリカ映画。原題は「The Truman Show」。6月1日にロサンゼルスでワールドプレミアを開催し、6月5日に北米で公開された。
トゥルーマン・ショーのあらすじ
離島シーヘブンで保険会社に勤める青年トゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)は、子供の頃、ヨットで海へ出て一緒に乗っていた父を亡くしたため水恐怖症を患っているため、一度も島から出たことがない。
ある日いつものように出勤しようとすると、空から突然、「シリウス(おおいぬ座)」と書かれたライトが降ってくる。ラジオでは「航空機からライトが脱落した」と報道された。その後、トゥルーマンは雑踏の中に、死んだ父にそっくりのホームレスを見かけるが、瞬く間に何者かに連れ去られてしまった。母に伝えたが、見間違いだと言って取り合ってもらえない。
実はトゥルーマンは人生を24時間撮影され、世界220か国で放送るリアリティ番組『トゥルーマン・ショー』の主役だった。彼の住む世界は巨大なドーム状のセットで、太陽や月、星々も照明装置に過ぎず、雨や雷鳴などの気象も人為的な演出。トゥルーマン以外の人物は全員俳優である。この番組にはCMがないため、番組中にプロダクトプレイスメント広告が入り、親友マーロン(ノア・エメリッヒ)や妻メリル(ローラ・リニー)も日常の中でさりげなく宣伝を行っていた。
妻との乾いた生活の一方で、トゥルーマンは学生時代に出会ったローレンが忘れられないでいた。彼女は虚構の世界に生きる彼を不憫に思って砂浜に連れ出し、ローレンとは役名で本名はシルヴィアであること、世界は偽りであることを伝えようとしたのだが、そこに彼女の父を名乗る男が現れて連れ去ってしまい、それ以後彼女とは会えなくなった。彼はいつか島を出て彼女を探すことを夢見る。
そんな中、番組側のミスが重なり、周囲の異常さを確信したトゥルーマンは真実を知るために島から出ようとするが、不可解な理由やトラブルにより、どうしても島から出られない。マーロンはトゥルーマンを連れ出し、指示された通りの台詞で彼を慰めると、父が実は生きていたといわれ、再会させられる。感動の再会に世界中の視聴者は涙し、父と抱き合うトゥルーマンの姿に番組スタッフも安堵する。
トゥルーマンの違和感に気付いた番組プロデューサーがマーロンを向かわせると、トゥルーマンの姿はなく、放送は一時中断に。やがて見つかったトゥルーマンはヨットで島から出ていた。番組が嵐を発生させて引き返させようとするが、トゥルーマンは諦めない。彼の覚悟を知った番組が嵐を止めさせ、やがてヨットは書割りの空に激突。トゥルーマンはついに世界の端へとたどり着き、出口の扉を開けたのだった。
トゥルーマン・ショーの感想
初見。ジム・キャリーの演技というより、その内容によって今も有名な映画だが、私の世代(脚本を書いたアンドリュー・ニコルは3歳下で同世代だ)は、60年代からこういうものを見まくり、読みまくってきたわけなので、さほど驚かない。ジムの妻メリルを演じるハンナを演じるローラ・リニー(良き妻を演じながらさりげなくキッチン用品を宣伝)の作り笑顔がたまらない。
問題は、単に世界が書き割りであるというだけでなく(本作は、外側の世界に退場するという楽観的なハッピーエンドで終わる)、自分がショーの主人公として監視されてきたのだという2つの妄想が重なり合っているという点だ。
これとて、例えば「地上のアリを踏みつけている人間をはるか上から踏みつけようとしている巨大な足(創造主の箱庭で生かされているペットとしての人間)」というように、いくらでもある構図なのだが、神と人の視点というか、人格化された超越論的存在という発想は、少し興醒めなものだと思う。
不世出のアイディアマンだったリチャード・マシスンの短編も、鮮烈な出だしに比べると常にオチは弱かった(例外のひとつは「激突!」だが、スピルバーグは映画で変なオチをつけてしまった)。本作も終わりに近づくにつれ、面白さが失われていく。
トゥルーマン・ショーのキャスト
トゥルーマン・バーバンク – ジム・キャリー
クリストフ – エド・ハリス
メリル・バーバンク / ハンナ・ジル – ローラ・リニー
マーロン / ルイス・コルトラン – ノア・エメリッヒ
ローレン・ガーランド / シルビア – ナターシャ・マケルホーン
アンジェラ・バーバンク – ホランド・テイラー
カーク・バーバンク – ブライアン・ディレイト
過去のトゥルーマン – ブレア・スレイター
ローレンス – ピーター・クラウス
ヴィヴィアン – ハイジ・シャンツ
ロン – ロン・テイラー
ドン – ドン・テイラー
ディレクター – ポール・ジアマッティ
ディレクター – アダム・トメイ
マイク・マイケルソン – ハリー・シェアラー
クロエ – ウナ・デーモン
ネットワーク・エグゼクティヴ – フィリップ・ベイカー・ホール
ネットワーク・エグゼクティヴ – ジョン・プレシェット
キーボード・アーティスト – フィリップ・グラス
バーのウェイトレス – オーラン・ジョーンズ
日本人視聴者 – ユウジ・オクモト
トゥルーマン・ショーのスタッフ
監督 – スコット・ルーディン、アンドリュー・ニコル、エドワード・S・フェルドマン、アダム・シュローダー
製作総指揮” show=””]
音楽 ブルクハルト・ダルウィッツ、フィリップ・グラス
撮影 ピーター・ビジウ
編集 ウィリアム・M・アンダーソン、リー・スミス
製作会社 スコット・ルーディン・プロダクションズ
公開 アメリカ 1998年6月5日 日本 1998年11月14日
上映時間 103分