2011年7月9日~9月24日に日本テレビ系列「土曜ドラマ枠」で放送。主演は松田翔太と高橋克実。松田翔太は本作が同局およびゴールデン枠の連続ドラマ初主演。スポンサーのうち、花王は第1話の提供クレジットを自粛した(2009年の『銭ゲバ』以来の対応)。第2話は提供クレジットを表記した。味の素は3ヶ月ぶりの復帰となる。京浜児童相談所など、殆どのシーンが京浜工業地帯の神奈川県川崎市川崎区で撮影されている。
ドン★キホーテのあらすじ
草食系のひ弱な児童相談所職員の青年・城田と、任侠集団の武闘派親分・鯖島の二人が、ある日謎の天変地異によって、身体はそのままで魂だけが入れ替わり、闇の中で苦しむ子供たちを救う正義のスーパーヒーローになって行く。かくして現代のドン・キホーテ&サンチョと化した、2人の行く末はいかに…。
ドン★キホーテの感想
なぜ、ドン・キホーテなのか。ドラマの公式サイトは普通SEO対策ばっちりで、「Q10」であろうが「リバウンド」であろうが「仁」であろうが、必ず検索トップに来るのだが、今回、トップは総合ディスカウントストアのドン・キホーテで、2位はその店舗情報、4位はそのwikipediaページ、3位はセルバンテスの小説で、ドラマの公式サイトは5位という異例の事態となった。さらにドラマのWikipediaページにいたっては、「ドン・キホーテ 松田翔太」で検索しないと見つからなかった。ここまで無理をして「ドン★キホーテ」という題名を付けなければならなかったのだろうか(どうも、松田翔太が最後まで改題にこだわったために、SEO対策が遅れたらしい)。
「ドン」は言うまでもなく総長にひっかけられたものだろうが、まさかまさか、それだけのダジャレで3ヶ月もの間、視聴者をつなぎとめられると思うほど、楽観的な作り手はいないと信じたい。
高橋克実の魂が乗り移ったことによって、ガニ股で歩く松田翔太は、ラ・マンチャの男になぞらえられているとおぼしい。そうすると、松田翔太の魂が乗り移った高橋克実がサンチョ・パンサということになる。ロシナンテらしきキャラクターの姿がないのはいかにも物足りない。
セルバンテス原作の児童書をひもとく成海璃子のシーンがなければ、このバラエティすれすれのドラマをドン・キホーテになぞらえようとは、誰も思わないだろう。
ドン・キホーテの物語である以上、松田翔太と、高橋克実の理想は残酷に挫折せねばならない。それがこのタイトルの意味だと思う。
高橋克実は人の良いキャラで、泣く子も黙る…という組長の凄みに欠ける。父親譲りの人相の悪さである松田翔太は、逆に、ゆとり世代の児童福祉司には見えない。このふたりが入れ替わって、ようやくバラエティのコント並みになり、タバコに噎せたり、腕力がなくなっていたりといったくすぐりが効いてくるのだが、これはお約束のような期待の範疇で、それを上回るものではなかった。
成海璃子と小林聡美の因縁でどのくらい展開に深みが出るだろうか。やはり、なぜドン・キホーテなのかという問いに答える以外に道はないと思うのである。
スペイン後のナレーションなど入って、制作側はドンキホーテに結びつけるのに必死なようだが、松田は、どうやらこのドラマを、挫折する騎士道物語になぞらえるつもりはなかったようだ。
言われてみると、今回など、たしかに松田がかなりこのドラマに入れ込んでいるのがわかる。
ストーリーは松田の演技次第でどちらにも転ぶ、微妙なところをさまよっており、どちら側に落ちることになるのか視聴者は手に汗を握るのだが、それが成立していること自体が松田の狙い通りである。
だからギャグにしかならない高橋克実のシーンは退屈で、二人の人間が入れ替わるのがドラマの骨子であるにもかかわらず、メインは松田の側にしかないというあからさまな不均衡が、ここにはある。
松田がひとりでどこまで支えきれるか、この後の展開に注目しておきたい。と言っても、まあ、高橋克実側のストーリーにも松田が介入することになるのは目に見えているのだが…
藤原薫は「鈴木先生」で、クラスで吊るし上げられてゲロを吐いていた学級委員を演じていて、ジコチューな子を演じるのがとてもうまいので感心する。
3話まで観て、このドラマが扱うのは、非常にビミョーなスケールの事件であることがわかった。
ほぼ、川崎のある地区限定の事件というか。第1話の児童虐待は遍在的なモチーフとして扱っているふしがあったが、第2話・第3話はほとんど町内事件レベルだ。全編ロケ撮影なのでそういうことになるのだと思うが、このビミョーなスケールはドラマの空気に不思議な陰影を落としていると思う。
3話では冒頭で松田翔太と高橋克実が病院の内科を訪れ、「中身の入れ替わり」をなんとか直してくれと懇願していた。しかし、これはあきらかに松田翔太のドラマで、入れ替わりという均等な関係にはない。その証拠に、どの場面でも、松田のふるまいが、ほんらいの高橋のふるまいであるようには、とても見えないではないか。むしろ猫なで声でトカゲを可愛がる松田翔太の姿の方が、何かに乗り移られたかのように不自然なのだ。
松田翔太が相談員としての使命感とは無関係にたまたま事件を解決し、少年を更生させる話も、3回がいいところと思われる。
ドン★キホーテのキャスト
主要人物
城田 正孝 – 松田翔太 / 高橋克実
鯖島 仁 – 高橋克実 / 松田翔太
京浜児童相談所
水盛 ミネコ – 小林聡美
難波 亜希 – 市川実和子
児玉 恭子 – 紺野まひる
野口 楓 – 田村愛
大森 真治 – 渡辺憲吉
山田 – 信川清順
その他
松浦 幸子 – 成海璃子
エリ – 河北麻友子
ヒカリ – 上田眞央
明石 一哉 – 菅田将暉
京浜連合系ヤクザ組織
鰯原 修三 – 鈴々舎馬風
兎田 亀男 – 白竜
鯖島組
鯖島 あゆみ – 内田有紀
兵頭 大介 – 松重豊 /
ヤス – 山根和馬
ケン – 青木健
鯵沢組
鯵沢 卓巳 – 小木茂光
ナターシャ – アナスタシャ・シュストワ
秋山 – 松永博史
組員 – TOMO(DA PUMP)
ドン★キホーテのスタッフ
脚本 – 大石哲也、根本ノンジ
演出 – 中島悟、大谷太郎、松永洋一、松原浩
音楽 – 金子隆博
サウンドデザイン – 石井和之
アクションコーディネイト – 佐々木修平
ブレーン – 根本ノンジ
タイトルバックイラスト – スズキコージ
OPナレーション – デビッド・キンテーロ
プロデューサー – 山本由緒、渡邊浩仁(AX-ON)
協力プロデューサー – 松原浩
制作協力 – 日テレアックスオン
製作著作 – 日本テレビ
ドン★キホーテを観る
ドン★キホーテを観た人の感想
- 松田翔太:50代に入れ替わる難役に高橋克実からオヤジくささ学ぶ ドラマ「ドン★キホーテ」(MANTAN WEB)
- 「ドン★キホーテ」 最終回まで見て 感想だゴルァァ!(橋本リウ詩集)
- ドン★キホーテ#9「鉄仮面VS.ダメ親父」(そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに)