母の待つ里

宮本信子(母の待つ里)
宮本信子(母の待つ里)

浅田次郎の小説(小説新潮2020年3月号~2021年2月号連載、2022年1月25日単行本化)を原作として、2024年8月16日・23日20時15分~21時44分にBSプレミアム4Kで放送。全4話。主演は中井貴一。
撮影は2024年4月から1か月ほど、岩手県遠野市で行われた。遠野が舞台だが、普通の東北方言ではなく、原作の浅田が創作した方言を使用している。また宮本の提案で「ちよの家」にはいろいろな所に様々なイスが置かれているセットとなった。

母の待つ里の原作


40年ぶりに帰ってきたふるさとには、年老いた母が待っていた――。
大手食品会社社長として孤独を感じている松永徹。退職と同時に妻から離婚された室田精一。親を看取ったばかりのベテラン女医・古賀夏生。還暦前後の悩みを抱えた3人が、懐かしい山里の家で不思議な一夜を過ごすと……。
家族とは、そしてふるさととは? すべての人に贈る、感涙必至の傑作長編。ふるさとを想う人、ふるさとに帰れぬ人、ふるさとのない人。ふるさとをあなたに――。

読んだ人の感想

ドラマ 母の待つ里

感想

舞台は遠野だが、一輌編成の電車から最初にホームに降りるのは、食品メーカー社長の中井貴一である。宮本信子演じる母親のいる「実家」に一泊するのだが、40年ぶりの帰郷だという中井は、なぜか母親の名前を忘れている。宮本はちよと名乗るが、中井は最初は戸惑い気味に、そして最後は満足して帰途につき、そこで、この村での体験がすべてカード会社が運営する富裕層向けの仮想サービスであり、村の人々も宮本も(テーマパークの)キャストであると明かされて1話目は終わり。

以降、二人目は病院医師の松嶋菜々子、三人目は定年退職し熟年離婚された佐々木蔵之介が村を訪れ、佐々木はここに住みたいと言い始めてキャストたちを困惑させるのだが、3話目の終わりで三人のゲストは宮本の死を知らされる。

4話目は宮本の通夜であり、集まった三人に、四人目の満島真之介(関西の居酒屋チェーンの経営者)も現れて、一同は兄妹として宮本を送りながら、客ごとに母親を演じ分けたちよとは一体何者だったのかと考えをめぐらす。それは母とは何かという問いであると同時に、宮本信子とは何者かという問いでもあるだろう。つまり本作は「海に眠るダイヤモンド」でも重要な役を演じる79歳の宮本信子そのものをテーマとするドラマと言える。だから満島真之介がちよの余計な出自を語るのはやはり蛇足だと思う(原作がそうなのかもしれないが)。

ちよは床についたゲストに、遠野物語の引用と思われる昔語りをするのだが、この部分の人形浄瑠璃が素晴らしかった。

キャスト

村を訪れるゲスト
 松永徹 – 中井貴一
 古賀夏生 – 松嶋菜々子
 室田精一 – 佐々木蔵之介
 田村健太郎 – 満島真之介
村人
 ちよ – 宮本信子
 佐々木サチコ – 中島ひろ子
 ノリスケ – 五頭岳夫
 カンジ – 松浦祐也
 シンコ – 菜葉菜
 バスの運転手 – 藤野棟考
 和尚 – 伊武雅刀
 アルゴス – のこ
その他
 室田怜子(精一の妻) – 坂井真紀
 品川操(徹の秘書) – 入山法子
 三枝里衣(精一と怜子の娘) – 大西礼芳
 吉野(ホームタウンサービスのコンシェルジュ) – 永田凜
 秋山光夫(徹の友人) – 鶴見辰吾(第1話)
 古賀ミドリ(夏生の母) – 根岸季衣(第2話)
 青柳(精一の元同僚) – 矢柴俊博(第3話)
 桐竹勘十郎(文楽場面)

スタッフ

原作 – 浅田次郎『母の待つ里』
脚本 – 一色伸幸
音楽 – 渡邊崇
文楽人形監修 – 桐竹勘十郎
ジオラマ – 木場太郎
演出 – 阿部修英(テレビマンユニオン)、森義隆
プロデューサー – 石井永二(テレビマンユニオン)
制作統括 – 訓覇圭(NHK)
製作著作 – NHK、テレビマンユニオン

観た人の感想

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