『マリアの恋人』ってどんな映画?
第二次世界大戦後の復興に沸くアメリカを舞台に、地獄の戦場から帰還した男と、彼を待ち続けていたはずの美しき恋人。二人の間に横たわる、決して埋めることのできない心の深淵と、壊れゆく愛の行方を切なくも残酷に描き出す。ロシアの巨匠アンドレイ・コンチャロフスキー監督が、ジェラール・ブラッシュやポール・ジンデルらとともに、人間の魂に刻まれた戦争のトラウマと、すれ違う男女の純愛ゆえの狂気を冷徹なまでに美しく映像化。1984年に製作され、甘美なノスタルジーの裏側で歪んでいく愛憎のパズルを情感豊かに紡いだ名作エロティック・文芸映画だ。
見どころは、壊れそうになりながらも夫を愛し続けようとするマリアと、男としてのプライドを失い奇行を繰り返すイヴァン(ジョン・サヴェージ)が、自らの情念に追いつめられていくプロット。愛されながらも満たされない孤独に苛まれるマリア(ナスターシャ・キンスキー)の前に、彼女の美貌を狙う魅力的な放浪のギタリスト、クラレンス(キース・キャラダイン)や、どこか怪しげな男(バッド・コート)が現れ、夫婦の運命を大きく狂わせ始める。
壊れてしまった過去の幻影にしがみつき、愛という名の精神的拘束のなかで共倒れの破滅を迎えるか。それとも、傷だらけの現実を剥き出しの意志で受け入れ、すべてを失うリスクを背負ってでも、真実の愛の再生へ向けて魂の決断を下すか。
ナスターシャ・キンスキーの神々しいまでの美しさと、ジョン・サヴェージが体現するリアルな狂気が奇跡の化学反応を起こした、観る者の五感を揺さぶる至高の人間ドラマだ。
あらすじ
第二次世界大戦が終結し、復員兵のイヴァン(ジョン・サヴェージ)は、地獄のような戦場を生き延びてようやく故郷のペンシルベニアに帰ってきた。彼の心の支えは、幼い頃から一途に愛し続けてきた幼馴染の美女マリア(ナスターシャ・キンスキー)の存在だった。再会を果たし、燃え上がるような喜びのなかで二人は結婚する。しかし、戦場での過酷な体験から重度のPTSDを抱えるイヴァンは、マリアを「聖女」として神聖視するあまり、彼女を肉体的に抱くことができないという絶望的な嘘の壁に直面し、激しい焦燥と自己嫌悪に狂わされていく。
キャスト
感想
そう、ナタキンを見るならこの映画だろう。美しさに滂沱の涙。まったくもう、なんという美しさなのか。ため息の嵐、絶美である。
キース・キャラダインの甘い甘い歌「in your eyes」がいい(作曲はキース、作詞はコンチャロフスキー監督)。
コンチャロフスキー(黒澤明の遺稿をもとに「暴走機関車」という映画を撮った)によるこの映画はなかなか悪くないものなのだが、しかし、この映画の星は、やはりナタキン(とキース・キャラダイン)に捧げる。
『マリアの恋人』を観るには?
『マリアの恋人』作品情報
監督 – アンドレイ・コンチャロフスキー
脚本 – ジェラール・ブラッシュ、アンドレイ・コンチャロフスキー、ポール・ジンデル
製作 – ボスコ・ジョルジェヴィッチ、ローレンス・テイラー・モートーフ
製作総指揮 – メナハム・ゴーラン、ヨーラン・グローバス
音楽 – ゲイリー・S・リマル
撮影 – ファン・ルイス・アンシア
編集 – ハンフリー・ディクソンズ
製作会社 – キャノン・フィルムズ
配給 – 松竹富士
公開 – 1985年12月14日
上映時間 – 109分

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