山田杏奈の泣き顔がいい(リラの花咲くけものみちの感想)
ひきこもりの少女が江別市の酪農学園大学に入って獣医になる話だが、原作序盤にあると思われる継母の非道な振る舞いは省略されているので、風吹ジュン(宮本信子的な役だ)が誰もいない家で少女を発見するくだりの説明が不足している。
全3回と短いので、初話ですでに胎内の仔馬を切断する話になり、たぶん次話ではそのショックで東京に逃げ帰り、3話目で前向きに成長するという展開になるのだろう。と書くと身も蓋もない感じだが。
山田杏奈は「未来への10カウント」「17才の帝国」なども印象に残っているが、やはりアシㇼパさんだろうと思う。本作は、山田杏奈がアシㇼパさんになる物語として読めるのである。
大人しい役より感情の起伏を出る役のほうが良い。今回も「うわーん!!」と泣くのが良かった。
リラの花咲くけものみち あらすじ
3年前まで引きこもっていた聡里は、今は亡き犬のパールだけが友だちだった。見かねて聡里を引き取った祖母・チドリ(風吹ジュン)との生活で少しずつ立ち直り、大好きな動物たちを救うため獣医師になろうと考えた。祖母と離れ、見知らぬ土地で一歩を踏み出した聡里にとっては、見るものすべてが新しい。初めて学ぶ獣医学、初めての共同生活、初めてのアルバイト。初めての友情、初めての恋……。馬・牛などの「産業動物」や、犬・猫などの「伴侶動物」、飼い主や獣医師たちとの出会い、そして喜びも悲しみも分かち合える仲間たちとの出会い。
だが、救いたくとも救える命ばかりではない。命が生まれる瞬間に心震えたかと思えば、無情な死が訪れ心が折れそうになる。時には命の選択を迫られることも……。逃げ出したくなったり、無力感にさいなまれたり、答えの出ない問いに悩んだり。次々に試練が訪れる「いのち」の現場で、頼りなかった聡里はゆっくり、少しずつ成長し、ひたむきに“生きる意味”を見つけていく。
リラの花咲くけものみちを観るには?
リラの花咲くけものみち 見どころ
『リラの花咲くけものみち』は、命と向き合うことの大切さや、家族や仲間との絆、そして自分自身の成長を描いた感動的なドラマで、全3話と短いが、心に残る作品と言える。
- 主人公・聡里の成長と家族との関係
聡里は母の死後、継母との関係がうまくいかず引きこもりになったが、祖母・チドリ(風吹ジュン)に引き取られ、獣医師を目指す。聡里が大学での学びや仲間との交流を通じて成長し、最終的には父との関係にも向き合う姿が描かれる。 - 命と向き合う獣医師の道
獣医学部での学びや実習を通じて、聡里は動物の命と真剣に向き合う。家畜の出産に立ち会うシーンでは、命の尊さや獣医師としての責任を実感する姿が描かれて感動を呼ぶ。 - 仲間たちとの絆と成長
寮生活を通じて出会った綾華(當真あみ)や久保(萩原利久)との関係も、聡里の成長に影響する。最初はぎこちなかった関係が、互いの過去や想いを共有することで深まり、支え合う仲間となっていく過程が丁寧に描かれる。 - 原作との違い
- 映像美と音楽の効果
北海道の美しい自然や動物たちの姿が映像で丁寧に描かれており、視覚的にも癒される。音楽も物語の感動を引き立てている。
原作小説では、聡里の内面や成長がより詳細に描かれているが、ドラマでは全3話という短さから、展開がやや駆け足になっている。
リラの花咲くけものみち キャスト
岸本聡里(北農大学獣医学類学生) – 山田杏奈(幼少期:日下莉帆)
梶田綾華(同級生) – 當真あみ
久保残雪(同級生) – 萩原利久
牛久チドリ(祖母) – 風吹ジュン
北農大学の関係者
加瀬一馬(上級生) – 佐藤寛太
静原夏菜(上級生) – 石橋静河
獣医師
久恒先生(動物病院院長) – 山崎静代
能見正也(獣医師) – 甲本雅裕
リラの花咲くけものみち スタッフ
脚本 – 水橋文美江
音楽 – 平井真美子
主題歌 – にしな「つくし」
制作統括 – 黒沢淳(テレパック)、尾崎裕和、勝田夏子(NHK)
プロデューサー – 室谷拡、三本千晶(テレパック)
演出 – 谷口正晃
制作 – NHKエンタープライズ
制作著作 – NHK
リラの花咲くけものみちの原作
幼い頃に母を亡くし、父が再婚した継母とうまくいかず不登校になった岸本聡里。愛犬だけが支えだった聡里は、祖母に引き取られペットと暮らすうちに獣医師を志す。北農大学獣医学類に入学すると、面倒見のよい先輩、志をともにする同級生らに囲まれ、学業やアルバイトに奮闘する日々。伴侶動物の専門医を目指していた聡里だが、馬や牛など経済動物の医師のあり方を目の当たりにし、「生きること」について考えさせられることに――
リラの花咲くけものみちの原作 巷の感想
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それでも、私は一人で生きていく、獣医になりたくさんの動物を助けるとかのたまい、父に永遠のさよならを宣言するなんてインパクトの強いラストも悪くない。
ひきこもりの少女が、祖母の庇護の下、獣医になっていく物語。獣医学校という特殊な世界が魅力的に描かれている。(武藤吐夢) -
ワンシーンだけ出てくる、異母妹との会話が印象的。ここだけで3回泣ける。
藤岡陽子『リラの花咲くけものみち』(毎日読書メモ(554))(eneo) -
気弱で俯(うつむ)きがちだった聡里が、迷って悩んで立ち止まりながらも歩み続けた十二年の歳月を思う。北の大地に咲く小さな花は忘れられないものになった。
「リラの花咲くけものみち」書評 動物の命とそこにある暮らしと(藤田香織 – 好書好日)