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ドラゴン・タトゥーの女(2011年)

4.0
ルーニー・マーラ(ドラゴンタトゥーの女) 映画
ルーニー・マーラ(ドラゴンタトゥーの女)
『ドラゴン・タトゥーの女』

(原題:The Girl with the Dragon Tattoo)は、2011年のアメリカのミステリー映画。2009年に公開されたスウェーデン版映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』に次ぐハリウッド映画化である。

ドラゴン・タトゥーの女の感想

2011年公開だから、10年以上も遅れて「そういえば見ていなかった」と鑑賞。

後半になると眉毛がうっすらと生えてくるルーニー・マーラは有能すぎ、恰好良すぎである。
続編はキャスト交代したそうだが(もう子どももいるし無理と断ったそうだ)、このリスベットを超えるのは難しいのでは。

ブルムクヴィストとかヴェンネルストレムとか、字幕で覚えられないようなスウェーデン人の名前が並ぶややこしい原作を、フィンチャーはおそろしく手際よく撮っている。

原作のテーマはミソジニーということらしいが、リスビットのパートも含めて、非常によくできているのではないか。40年前の連続レイプ事件の最中に失踪した少女が最後に現れるというストーリーを文字通りロス・マクドナルド的に撮っているのが心地よかった。

ドラゴン・タトゥーの女 見どころ

  1. ルーニー・マーラ演じる「リスベット・サランデル」の衝撃
    最大の魅力はルーニー・マーラが演じるリスベット・サランデルというキャラクター。型破りな外見(ピアス、タトゥー、全身黒のファッション)と、天才的なハッキング能力、そして感情を表に出さないクールな言動の裏に、深い心の傷と人間的な弱さを秘めている多面性が惹きつける。ルーニー・マーラは本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
  2. デヴィッド・フィンチャー監督によるスタイリッシュな演出
    『セブン』『ファイト・クラブ』などで知られるデヴィッド・フィンチャー監督らしい、徹底的にスタイリッシュで冷徹、かつ緻密な映像表現が際立つ。北欧の陰鬱な風景、ヴァンゲル家の閉鎖的な雰囲気、そして残酷な場面がフィンチャー的に洗練され、作品全体にダークな美しさを与えている。オープニングシークエンスも評価が高い。
  3. 複雑で重厚なミステリー
    40年前の少女失踪事件、一族の秘密、そして過去の連続猟奇殺人事件が複雑に絡み合い、謎が謎を呼ぶ重層的なミステリーが展開。ミカエルとリスベットが、膨大な資料や情報の中から手がかりを見つけ出し、真相に迫っていく過程は知的でスリリング。
  4. ダニエル・クレイグとの異色バディ
    ジェームズ・ボンド役でおなじみのダニエル・クレイグが、不器用ながらも正義感を持つジャーナリスト・ミカエルを演じ、リスベットとの間に生まれる奇妙な信頼関係がドラマの核。互いに足りない部分を補い合いながら、巨悪に立ち向かう二人のコンビネーションが見どころ。
  5. 社会の闇と人間の暴力性
    性的虐待、家族内の確執、企業犯罪、そして社会の腐敗といった、人間の深い闇と暴力性が生々しく描かれる。単なる娯楽としてのミステリーに終わらず人間性の醜さを問いかける。

ドラゴン・タトゥーの女 あらすじ

記者ミカエル・ブルムクヴィストは大物実業家ヴェンネルストレムの武器密売をスクープし、名誉毀損で訴えられ裁判で敗訴し全財産を失う。失意のミカエルに、別の大物実業家から電話がかかってくる。一族の謎を解明して欲しいとの依頼で、見返りに裁判判決を逆転させるような証拠を渡すという。謎とは、40年前に行方不明になった16歳の少女のことであり、一族の誰かに殺されたという。
依頼を引き受けたミカエルは、猟奇連続殺人に関わる一族の秘密を知ることになる。ミカエルは、彼に興味を持ったドラゴンの刺青をしたフリーの天才女ハッカーであるリスベットとともに捜査を進め、すべての謎と事件を解決していく。

ドラゴン・タトゥーの女を観るには?

ドラゴン・タトゥーの女 キャスト

ダニエル・クレイグルーニー・マーラクリストファー・プラマーステラン・スカルスガルド、スティーヴン・バーコフ、ロビン・ライト、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、ジョエリー・リチャードソン

ドラゴン・タトゥーの女 スタッフ

監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:スティーヴン・ザイリアン
原作:スティーグ・ラーソン
製作:ソロン・スターモス、オーレ・センドベリ、スコット・ルーディン、セアン・チャフィン
製作総指揮:アンニ・ファウルビエ・フェルナンデス、ミカエル・ヴァレン、スティーヴン・ザイリアン

ドラゴン・タトゥーの女の原作

ドラゴン・タトゥーの女の原作はスウェーデンの作家スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』(Millennium)の第1部。『ミレニアム』は全10部という構想だったが、作者は2004年11月、第1部の出版を待たずして心筋梗塞で死亡。その後、2005年に『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』、2006年に『ミレニアム2 火と戯れる女』、2007年に『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』が出版され、世界的大ヒットとなった。その後、ダヴィド・ラーゲルクランツ (en:David Lagercrantz) が続編として3作書き、2015年に『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』、2017年に『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』、2019年に『ミレニアム6 死すべき女』が出版されている。


月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。全世界で6000万部の売り上げを記録した驚異のミステリ三部作第一部。電子書籍版が上下合本で登場。
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