ホリデイラブの感想
ファーストインプレッション
問題作「あなたのことはそれほど」でも「サレ妻」ぶりが怖かった仲里依紗は、実は子どももいる人妻だということを今知った。
仲がコワイのは「逃げる女」を見ているからだが、結婚・出産後もブランクをおかず「昨夜のカレー 明日のパン」などでも好演しているこの女優を、こんなドラマに使うのはモッタイナイと言える。
このドラマの原作は何話か読んだことがあるのだが、ハニートラップであることがミソなのに、1話目からネタバレしているのは、「サレ妻」という言葉同様に頭が悪いと思う。
最終回まで観て
これまでぱつとしなかった松本まりかが怪演したことで記憶に残りそうなドラマだが、一方で、驚くことに原作はまだ完結していない。
大枠では人物配置は変わっていないものの、原作では延々と里奈が純平を呪縛し続けており、松本が演じるモンスターとはちょっとニュアンスが異なる。
そして、車にはねられた松本を「命はとりとめたらしいよ?」とすましている塚本高史は、あまりに雑な造形すぎて、今後の役者人生に影響しやしないかと心配になってしまう。
誰もが認める、そのようなネタドラマだったといえばそれまでなのだが、出演俳優全員がバカに見えてしまうから、あまりそういう見方は好きではない。
ホリデイラブがヒットした理由
本作は「サレ妻」が夫婦関係の再構築を目指して奮闘するという、それまでになかった物語である(それまでの不倫をテーマにしたドラマは、不倫をする側の「道ならぬ恋」を美化して描くものが主だった)。
幸せな家庭から一転、夫の裏切りに直面し、苦悩しながらも立ち向かっていく主人公・杏寿の姿が強い共感を呼び、SNSを中心に大きな反響を呼んだ。
特に話題になったのは、浮気相手・井筒里奈を演じた松本まりかの「怪演」である。ぶりっ子で可愛らしいルックスの裏に潜む、狂気と執念に満ちた里奈のキャラクターが強烈なインパクトを与えた。これは「松本まりか劇場」と称され、この女優がブレイクするきっかけとなった。
里奈の夫であり、モラハラ気質の井筒渡を演じた中村倫也も、そのミステリアスな魅力と演技力で注目を集めた。
主役である仲里依紗、塚本高史の演技を抑えるほどの、脇を固める松本まりかや中村倫也といった個性的な俳優たちの熱演が、ドラマのドロドロとした愛憎劇を一層盛り上げ、話題性を高めたことになる。
本作は先の読めないスリリングな展開や、キャラクターたちの強烈な言動が、SNS上での「ツッコミ」や「実況」を誘発した。リアルタイムでドラマを視聴しながらSNSで感想を共有する文化を定着させたのはこのドラマがきっかけかもしてない。
「怖い」「ヤバい」といった感情を視聴者が共有し、盛り上がることが、ドラマ自体の話題性をさらに増幅させる循環を生み出した。
ホリデイラブ あらすじ
京都府の自宅でネイルサロンを営む主婦の高森杏寿は、夫の純平と娘の七香と幸せな家庭を築いていた。しかし、純平は会社の同僚である井筒里奈と浮気をしていた事が判明する。杏寿と純平は別れるべきか、やり直すべきか、それぞれの想いを模索する。一方、自身も夫と子がいる身でありながら純平を想う里奈は、二人を別れさせるために様々な策謀を巡らせる。
ホリデイラブを観るには?
ホリデイラブ キャスト
高森 純平 – 塚本高史
井筒 渡 – 中村倫也
井筒 里奈 – 松本まりか
黒井 由伸(志賀 拓巳) – 山田裕貴
小泉 駿 – 飯島寛騎
一ノ瀬 真人 – 岡田龍太郎
坂口 麗華 – 壇蜜
春田 龍馬 – 平岡祐太
橘 亜沙美 – 三津谷葉子
ホリデイラブ スタッフ
脚本 – 渡辺千穂
音楽 – 横山克、Evan Call
主題歌 – ポルノグラフィティ「カメレオン・レンズ」(SME Records)
演出 – 松田礼人(ドリマックス・テレビジョン)、山本大輔(アズバーズ)、小野浩司(MMJ)
ゼネラルプロデューサー – 大川武宏(テレビ朝日)
プロデューサー – 飯田爽(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)
制作 – テレビ朝日、MMJ
ホリデイラブの原作
自宅でネイルサロンを開いている、30歳の主婦・杏寿。優しい夫と子供にも恵まれ、幸せな毎日を送っていた。そんなある日、見知らぬ男からかかってきた一本の電話が、その全てを壊し始める……!!