2016年度前期放送のNHK「連続テレビ小説」第94作で、2016年4月4日から10月1日まで放送。主演は高畑充希。
とと姉ちゃんのあらすじ
10歳の常子は結核で亡くなった父の代わりに「とと姉ちゃん」として家族を支えることを誓います。女学校卒業後、タイピストとして働き始めた常子ですが、戦争の影響で解雇されます。戦後、妹たちと共に女性向け雑誌「あなたの暮し」を創刊。初めは苦戦しましたが、花山伊佐次を編集長に迎え、生活に役立つ情報を提供する雑誌として成功します。
雑誌は商品の比較記事や戦時中の生活特集など、読者の暮らしを豊かにする内容で支持を集め、発行部数は100万部を超えるまでに成長。女性が働きやすい職場環境も整備していきます。花山の死後も常子は社長兼編集長として、1988年まで精力的に雑誌を率いていきました。
とと姉ちゃんの感想
暮らしの手帖社社主の大橋鎭子は静岡とも深川とも縁がなく、したがって高畑が戦後に甲東社(大橋が務めたのは日本読書新聞)で働きはじめるまでの物語はNHKのオリジナルである。つまり、戦前・戦中の暮らしの描写でしかないはずなのだが、それを伏線として「あなたの暮らし」が標榜する市井の人々の暮らしとして活かすような仕掛けもなく、後半は、花森安治という人の伝説としてまるで空気の違うものになってしまっていた。
西田征史(台詞のくどい「魔王」「アリスの棘」などを書いた人)が書いた「このご時世、すでに失敗しているようなものじゃないですか」や、花森=花山(唐沢寿明)を口説く「私となら必ずできます」といった高畑充希の台詞は、ドラマの前半と後半を切り替えるための重要な台詞だった。
最終回で高畑充希は自らが書いた3つの誓いの短冊を抽出しにしまい、亡父から母と妹たちを託された長女の半生物語としてドラマは終わるのだが、見ている方は前半と後半を一つのものとして受け止めることは難しいのではないかと思う。
高畑については、傑作「問題のあるレストラン」で、例によってものすごく長いモノローグ(書いたのはもちろん坂元裕二)をうまく演じていたのが印象に残っており、以降、ツンデレが持ち味の女優として認識している。年末に舞台「わたしは真悟」でまりん役をやるらしく(悟役は門脇麦)、これはかなり見てみたい。
とと姉ちゃんのキャスト
小橋 常子(「あなたの暮し社」創業者) – 高畑充希(幼少期:内田未来)
小橋家の人々
小橋 竹蔵(常子の父) – 西島秀俊
小橋 君子(常子の母) – 木村多江(幼少期:宮野叶愛)
小橋 鞠子 → 水田 鞠子(常子の長妹) – 須田琥珀)
小橋 美子(常子の末妹) → 南 美子 – 杉咲花(幼少期:川上凛子、少女期:根岸姫奈)
小橋 鉄郎(常子の伯父) – 向井理
小橋 幸子(鉄郎の妻) – 岩崎ひろみ
遠州・浜松の人々
浜松染工の人々
杉野 栄治(遠州浜松染工の社長) – 田山涼成
山田(竹蔵の部下) – 田中幸太朗
その他の遠州・浜松の人々
大迫 博文(大手企業「西洋紡」の専務) – ラサール石井
玉置 茂雄(常子の幼馴染) – 大内田悠平(幼少期:市村涼風)
玉置 正雄(常子の幼馴染) – 加藤諒(幼少期:上條靖弥)
玉置 幹雄(常子の幼馴染) – 藤野大輝(幼少期:古島裕敬)
渡辺 正則(美子の尋常小学校の担任) – 細山田隆人
田中先生(浜松の高等女学校の常子の担任) – 高橋修
里中(小橋家の主治医) – 田口主将
東京の人々
深川・青柳商店の人々
青柳 滝子(青柳商店の女将) – 大地真央
隈井 栄太郎(青柳商店の番頭) – 片岡鶴太郎
青柳 清(滝子の養子で君子の義弟) – 大野拓朗
深川・森田屋の人々
森田 まつ(大女将) – 秋野暢子
森田 宗吉(まつの息子) – ピエール瀧
森田 照代(宗吉の妻) – 平岩紙
森田 富宗吉・照代夫婦の娘) – 川栄李奈
長谷川 哲典(森田屋の板前) – 浜野謙太
高等女学校の人々
中田 綾(常子の級友) → 村野 綾 – 阿部純子
担任教師 – 築山万有美
大倉(同級生) – 三浦萌
女生徒 – 今泉彩良
女生徒 – 来栖梨紗、室井みなみ、仲村風香、片桐はいり
鳥巣商事の人々(常子が新卒入社する文具会社)
山岸 隆一(総務課長) – 田口浩正
早乙女 朱美(先輩タイピスト) – 真野恵里菜
多田 かをる(先輩タイピスト) – 我妻三輪子
諸橋 道子(先輩タイピスト) – 野村麻純
坂田 徳之助 (給士) – 斉藤暁
佃 博文(総務部長) – 斎藤洋介” show=””]
甲東出版の人々(常子の第二の就職先)
五反田 一郎(記者) – 及川光博
谷 誠治(社長兼編集長) – 山口智充
相田良輔(編集員) – 兒玉宣勝
富樫隆彦(編集員) – 笠原秀幸
新入編集員 – 守谷勇人
目黒の人々
三宅 光政(隣組の組長) – 有薗芳記
工藤 せつ(近隣住民) – 西尾まり
真中 稲子(近隣住民) – 三谷悦代
露天商の人々
闇市の売人 – 平田広明
書店の店主 – 住田隆
闇市の男 – 勝俣州和
闇市の男 – 桂正和
闇市のパン屋 – ボブ鈴木
あなたの暮し出版の人々(終戦後、小橋姉妹が創立した出版社)
花山 伊佐次(五反田の帝大時代の先輩) – 唐沢寿明” show=””]
水田 正平(経理担当者) – 伊藤淳史
岡 緑(庶務担当者) – 悠木千帆
扇田 弘栄(社員) – 三谷昌登
島倉 勝(社員) – 島崎俊郎
大塚 寿美子→ 藤ヶ谷 寿美子(新入社員) – 趣里
木立 道久(社員) – 植木祥平
松永 亨(社員) – 石田法嗣
カフェ浪漫の人々
新沼 康恵(綾の先輩女給) – 佐藤仁美
弓子(綾の同僚女給) – 寺島咲
お蝶(綾の同僚女給) – 早織
さくら(綾の同僚女給) – 森絵梨佳
艶子(綾の同僚女給) – 谷澤恵里香
その他の東京の人々
星野 武蔵(帝国大学生) – 坂口健太郎
星野 大樹(星野の息子) – 荒井雄斗
星野 青葉(星野の娘) – 白鳥玉季
弓岡 柳生(星野の義父) – 志賀廣太郎
与那嶺 なみ(星野家の家政婦) – 和泉ちぬ
宇野(青柳商店の得意客) – - おかやまはじめ
田畑(深川の乾物屋) – - 谷田部俊(我が家)
根本(深川の米屋) – - 杉山裕之(我が家)
中田 登志子(綾の母) – - 中村久美
村野 太一(綾の息子) – - 川原瑛都
下宿のおばさん(うの) – - 大島蓉子
兄貴(鉄郎が借金した男) – - キンタカオ
舎弟(チンピラ) – - 村上和成
奥寺(鳥巣商事営業課社員の妻)夫人 – 青木さやか
ナラザワ洋裁店の店主 – 緒方賢一
飯田 末吾郎(深川一の老舗材木問屋で森田屋の得意先の主人) – 有福正志
田所 竜子(不良) – 志田未来
銀太(お竜の仲間) – 中島広稀
陽介(お竜の仲間) – 今野誠二郎
花山 三枝子(花山の妻) – 奥貫薫
花山 茜(花山の長女)→森井 – 渋谷南那、5歳:仙波茜、12歳:笹岡ひなり)
森井 みのり(花山の孫。茜の娘) – 竹野谷咲
関元 和四郎(珈琲店「巴里」の店主) – 寺田農
長澤 健造(花山の友人) – 飯田基祐
男1 – 磯部勉
男2 – つまみ枝豆
小山内 節子(日の出洋裁学校の校長) – ふせえり
東堂 泰文(チヨの夫) – 利重剛
桑原 正晴(桑原印刷の主人) – 谷本一
袴田 辰紀(料理学校の校長) – 並樹史朗
袴田 久(料理学校の副校長) – 山崎画大
宇田川 徳二(星野の上司) – 中野剛
鈴木 与志夫(作家) – 戸田昌宏
平塚らいてう(作家) – 真野響子
若松 永正(らいてう担当の編集者) – モロ師岡
水田 國彦(水田の父) – 筧利夫
水田 むめ() – 高橋ひとみ
水田 正一(水田の兄) – おさる
水田 民子(水田の姉) – 斎藤静香
水田 たまき(常子・美子の姪) – 吉本実憂(4歳:稲垣来泉、13歳:蒔田彩珠)
水田 潤(常子・美子の甥) – 山下真人(5歳:山下心煌)
南 大昭(キッチン森田屋の従業員) – 上杉柊平
南 真由美(常子・鞠子の姪) – 吉岡千波(4歳:上杉美風)
堀内(新聞記者) – 金剛地武志
岸野 英隆(民間検査機関職員) – 水橋研二
テレビ司会者 – 川田裕美
田中 利一(中小電化製品メーカー社長) – 螢雪次朗
楊(ヤン)(料理人) – 陳建一
沢 静子(司会者) – 阿川佐和子
その他の人々
赤羽根 憲宗(「アカバネ電器製造」社長) – 古田新太
村山 健太郎(「アカバネ電器製造」社員) – 野間口徹
酒井 秀樹(「アカバネ電器製造」社員) – 矢野聖人
国実 恒一(新聞記者) – 石丸幹二
西村電器店の店長 – 片桐仁
澄浦電機の社員 – 近江谷太朗
広海電機工業の社員 – 森下亮
東築電機製作所の社員 – 中嶋ベン
日本家庭電器の社員 – まいど豊
とと姉ちゃんのスタッフ
作 – 西田征史
音楽 – 遠藤浩二
主題歌 – 宇多田ヒカル「花束を君に」(Virgin Records)
語り – 檀ふみ
副音声解説 – 松田佑貴
演出 – 大原拓、岡田健、藤並英樹、松園武大、橋本萬葉、堀内裕介、安藤大佑、深川貴志
プロデューサー – 盆子原誠
制作統括 – 落合将
衣装監修 – 黒澤和子
製材指導 – 馬田勝之
弁当指導 – 持田和之
注染そめ指導 – 二橋教正
染工指導 – 安井彰
裁縫指導 – 小林操子
医事考証 – 酒井シヅ
植物学考証 – 田中伸幸
植物画 – 吉田桂子
タイプライター指導 – 林忠良
とと姉ちゃんを観る
とと姉ちゃんを観た人の感想
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当時は誰も戦争に負けるとは思ってもいなかったし、思っていても口にすることはできなかった。その代わり、大学を卒業した後、文学の道を諦めて工場に就職した鞠子(相楽樹)や、青柳商店が経済的に追い詰められていく姿を具体的に見せていく。
『とと姉ちゃん』登場人物は“戦争”をどう捉えたか? 同志との出会い描かれた十二週目(Real Sound) -
これは西田征史の脚本の問題もあるが、どちらかというと演技指導の責任だ。
『とと姉ちゃん』商品試験の描き方はなぜ批判されたか 元編集者への取材記事から考える(Real Sound) -
<陰>の運命の中で、いかに失敗や挫折や後悔とどうやって折り合いをつけていくかを見せる少女たちが、僕にはとても魅力的に映るのだ。
NHK朝ドラ『とと姉ちゃん』感想と考察 ~三姉妹の色彩について~(無印都市の子ども)