まず名乗らない語り手が、オープニング(これは良かった)に登場する3人の女の運命が交錯することを過去形で予言する。
一人はアパレルのプレス深川麻衣(佐藤玲かと思った)、二人目は二世帯同居の主婦前田敦子、そして三人目は強行犯係の所轄刑事石井杏奈(まともに見るのは2017年の「嘘なんてひとつもないの」以来だ)。
前田は相変わらず業の深そうな女を演じ(最後まで見ると本当に業が深くて驚く)、シングルマザーの石井は微妙な屈託の印象を残し(これは一応伏線なのだが、初話を見た時は弟なのかと思った)、ここはかなり期待させる人物配置である。
前田敦子(彼女たちの犯罪)
石井杏奈(彼女たちの犯罪)
語り手は、深川の不倫相手が前田の夫であり、前田が失踪したり、誰かを埋めたり(?)、また3人以外の女が崖から飛び降りたりすることなどをバラバラの時制で語り、そして自らが4人目の女#さとうほなみ であることをあっさり明かす(つまり女は5人いる)。
さとうがなぜ3人の女の「外側」で語り手をつとめているのか、なぜオープニングには姿を見せないのか、にもかかわらず、なぜ各話がさとうの思わせぶりなナレーションで始まり、終わるのか。これらの謎がドラマを牽引するミステリーと言っていいだろう。つまりこのドラマの物語はナラティブのうちにある。
最終回までには、そのミステリーに一応納得のいく結末がつけられ(チェンジリングには現実味がないが)、3人の女の表情演出も相まってなかなか手に汗を握らせた(原作がしっかりしているのかもしれない)。その後3人の女がどうなったのかを省略したのも(エピローグに登場するのはさとうだけだ)、作り手にちゃんと上記のテーマを守る意思があったことを示している。こうした一貫性はドラマとしては珍しい。
もっとも、中だるみがなかったわけでもないので、石井杏奈が出ていなかったら途中で脱落していたかもしれない。
「最高の教師」もそうだが、最近レズの片思いの話が多いな。
#nrt