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リメイク元に及ばない失敗作(ショウタイムセブンの感想)
韓国映画「テロ、ライブ」のリメイクで、アマプラで見られるようになるのがいやに早いと思ったら、やはり失敗作であった。
ラジオ番組に爆弾犯がリスナーを装って電話してくる発端はリメイク元と同じだが、こちらの阿部寛は局の看板テレビ番組のメインキャスターを下ろされたばかりで、舞台は早々にテレビスタジオに移動する(生見愛瑠は番組アシスタントである)。このため放映中の日曜劇場と見た目が同じになり、そういえばドラマの阿部寛も何やら裏がありそうだったから、こんなことなんじゃないかと思いながら見ていた。
電力会社の社長に謝罪させろ、ダメなら総理大臣だ、という押し問答もリメイク元とほぼ同じだが、なぜか犯人の高校の恩師と称する平田満が出てきて、「お前は裏口入学の口利きをしていたじゃないか」と糾弾されて逆ギレし、マイクが爆発する。実はフェイクなのだが、阿部寛のシャツカラーに血しぶきが飛ぶのが芸が細かい。リメイク元に倣っただけだが。
その後、阿部寛におしのけられた現キャスターが犯人にそそのかされて、阿部寛の賄賂疑惑を糾弾しはじめるあたりからストーリーが崩れ、雲行きが怪しくなる。最初から俺が目的だったんだなという阿部寛の独白があり、最終的に、犯人の怨恨の根である電力会社の工事事故隠蔽を当時取材していたが、メインキャスターの座と引き換えに公表を控えた過去を自ら暴露する展開に。そんなことなら、ごく初めの方でこういう成り行きになると予測できたはずなので、前半のストーリーが崩壊する。
リメイク元では政府が一方的に悪だったのに対し、本作では政府と企業、メディアによる隠蔽が攻撃されている。かつdボタンによる視聴者アンケートを乱発して、気軽に参加できる「世論」(つまり視聴者)も攻撃対象となる。
最後に自分のLIVE or DIEを投票させて阿部寛は爆弾のスイッチを押すのだが、爆発の瞬間は映らない(画面が切り替わりロンドン地下鉄の同時多発テロの臨時ニュースが流れる画面になる)。そのままPerfumeのPVになりクレジットで終わりなのだが、リメイク元と比べて、なんと薄らぼけたエンディングであることか。
リメイク元ではハ・ジョンウがみごとな壊れっぷりを見せていたのだが、本作ではストーリーが崩壊しているため阿部寛のクライマックス熱演は響かず。
ショウタイムセブン 見どころ
- リアルタイムで進行する緊迫のサスペンス
生放送中の1時間という時間制限の中で展開。登場人物たちと同じ時間軸を体感できる。スタジオから一歩でも出れば爆破されるという極限状態での心理戦と駆け引き。 - 極限状況に追い込まれたスタジオの密室劇
閉ざされた空間での心理戦。判断ミスが命取りになる状況で、登場人物たちがどう行動するのか。 - 阿部寛演じる元キャスターの再起ドラマ
過去の失敗から転落した主人公・折本が、再び表舞台に立つ姿が見どころ。報道マンとして、一人の人間として、彼がどんな決断を下すのかが物語の大きな軸となる。 - 予測不能な「ラスト6分」
映画の終盤、特に「ラスト6分」で予測不能な衝撃の結末が待ち受けているとされ、最後まで緊張感が続く。 - メディアと視聴者の倫理を問うテーマ性
「視聴率のために命を張るのか?」「メディアの使命とは何か?」といったメッセージが込められている。報道のあり方やメディアリテラシーについて考えさせられる。 - 豪華キャスト陣の演技対決
竜星涼、生見愛瑠、井川遥、吉田鋼太郎といった豪華キャスト陣が登場。阿部寛と竜星涼の共演は「VIVANT」以来。
ショウタイムセブン あらすじ
4月1日、元人気キャスターの折本眞之輔はラジオ局で番組中、ウスバカゲロウを名乗る男から大和電力城東火力発電所の爆破予告を受ける。予告は現実となり、折本はテレビ局NJBのプロデューサー東海林剛史に協力を要請し、犯人との通話を生放送する。犯人は大和電力と政府への不満を訴え、父親の事故死を隠蔽した内閣総理大臣水橋孝蔵の謝罪を要求。折本は交渉人として犯人と対峙し、自身の過去や収賄疑惑を暴かれながらも、真実を追求する姿勢を貫く。最終的に、犯人は折本の祖父であり、折本は自身の過ちを告白し、犯人は逮捕される。折本は最後の世論調査を行い、起爆装置を押して番組を終了。事件はメディアで大きく取り上げられるが、すぐにロンドンでのテロに注目が移る。
ショウタイムセブンを観るには?
ショウタイムセブン キャスト
安積征哉 – 竜星涼
結城千晴 – 生見愛瑠
矢吹一平 – 前原瑞樹
頓宮豊 – 平原テツ
兼子健祐 – 内山昂輝(声の出演)
ラジオスタッフ – 小澤雄志
記者 – 野川慧
水橋孝蔵 – 佐野史郎
四方田勇 – 石丸謙二郎
川崎のルージュ – 原ふき子(声の出演)
Perfume – Perfume(本人役)
園田綾香 – 安藤玉恵
繁藤大作 – 平田満
伊東さくら – 井川遥
繁藤寛二 – 錦戸亮
東海林剛史 – 吉田鋼太郎
ショウタイムセブン スタッフ
監督・脚本:渡辺一貴
音楽:照井順政
主題歌:Perfume「Human Factory – 電造人間 -」(UNIVERSAL MUSIC)
製作:牟田口新一郎、髙敏弘、和田佳恵、中村高志、佐藤一哉、清原寛、鶴丸智康、小松幹夫、森田篤
エグゼクティブプロデューサー:豊島雅郎
プロデューサー:井手陽子、土橋圭介
アソシエイトプロデューサー:坪井あすみ、CHOI BYUNG-HWAN、LEE YONG-JIN
撮影:大和谷豪
照明:後閑健太
サウンドディレクション:矢野正人
録音:加来昭彦
美術:柳川和央
装飾:高橋寛
スタイリスト:前田勇弥
ヘアメイク:梅原さとこ
スクリプター:尾和茜
編集:鈴木翔
コンポジティングスーパーバイザー:白石哲也
音響効果:伊藤瑞樹
音楽プロデューサー:安井輝
助監督:清水勇気
ラインプロデューサー:天野恵子
宣伝プロデューサー:大木麻友子
配給:松竹、アスミック・エース
制作プロダクション:アスミック・エース、NHKエンタープライズ
製作幹事:アスミック・エース
製作:『ショウタイムセブン』製作委員会(アスミック・エース、松竹、テレビ東京、NHKエンタープライズ、JR東海エージェンシー、テレビ大阪、ハピネット・メディアマーケティング、精美堂、UNITED PRODUCTIONS)
『ショウタイムセブン』は、韓国映画『テロ, ライブ』を原作に、日本ならではのオリジナル展開を加えたサスペンス映画です。この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。