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女系家族

4.0
宮沢りえ(女系家族) ドラマ
宮沢りえ(女系家族)

キャスト

スタッフ

脚本 – 大薮郁子
音楽 – からさき昌一
演出 – 大山勝美
プロデューサー – 不破敏之
制作協力 – 日放、KAZUMO
制作会社 – PROTX
制作 – 阿部恵司
製作 – テレビ東京

2005年ドラマ版「女系家族」

2005年7月7日~9月15日の毎週木曜22:00~22:54にTBS系で放送。全11回。
舞台を戦後間もない大阪・船場から、2005年の東京・日本橋に置き換えた。

感想

一番の見どころは、ほぼ10年前に高島礼子が演じた浜田文乃を米倉涼子が演じ、対決するというキャスティングである。内容は2005年という時代に合わせてアップデートされていたが、米倉涼子の強い意志、長女・藤代(前作では岡江久美子)に回った高島礼子の嫉妬と執着にかられた演技は圧巻。火花を散らすような演技は本当に見応えがあった。
瀬戸朝香、香椎由宇をはじめ、橋爪功、沢村一樹など実力派が揃い、それぞれのキャラクターの欲望や葛藤が緻密に描かれていた。単なる遺産争いを超えた「女の群像劇」として十分な見応えがあった。中でも瀬戸朝香の意地悪さは長く記憶に残るものである。
老舗の伝統と莫大な金銭に翻弄され、人生を狂わせていく女たちの姿を通して、金銭欲や嫉妬、見栄といった人間の普遍的な「業」が浮き彫りになっていた。
登場人物それぞれの秘められた感情や過去の因縁が徐々に明らかになっていく過程で、裏切りや策略が横行する中での心理戦も楽しめた。誰が何を考えているのかを推理しながら見るのも面白かった。

キャスト

浜田文乃 – 米倉涼子
■矢島家
矢島藤代(長女) – 高島礼子
矢島千寿(次女) – 瀬戸朝香
矢島雛子(末娘) – 香椎由宇
矢島良吉(千寿の夫、婿養子) – 沢村一樹
矢島嘉蔵(矢島商事の社長で三姉妹の父) – 森本レオ
矢島芳子(三姉妹の母・松子の妹) – 浅田美代子

■矢島商事
大野宇市(専務) – 橋爪功
木村かおり(経理部) – 田丸麻紀
小林君江(宇市の内妻) – 伊佐山ひろ子
梅村芳三郎(日本舞踊・梅村流の家元の息子��� – 高橋克典

■その他
矢島かね – 佐々木すみ江
三浦陽子 – 山下容莉枝
和田甚 – 六平直政
鈴木店長 – 山下真司
石田隆介 – 神保悟志
坂上道彦 – 長谷川初範
三宅医師 – 村岡希美
戸塚太郎吉 – 石田太郎
内田正一郎 – 小市慢太郎
中原有美子 – 朝加真由美
小森常次 – 三波豊和
京雅堂 – マギー司郎
米治郎 – 齋藤康弘
金正六郎 – 海東健

スタッフ

脚本 – 清水曙美
音楽 – 栗山和樹
演出 – 酒井聖博竹村謙太郎伊藤寿浩
主題歌 – 今井美樹「愛の詩」(EMIミュージック・ジャパン)
チーフプロデューサー – 貴島誠一郎
プロデューサー – 森川真行荒井光明
制作協力 – ファインエンターテイメント
制作 – ドリマックス・テレビジョン
製作 – TBS

2021年ドラマ版「女系家族」

宮沢りえ(女系家族)

宮沢りえ(女系家族)

2021年12月4日・12月5日の21時~22時55分にテレビ朝日系にて、2夜連続のスペシャルドラマとして放送。宮沢りえと寺島しのぶのダブル主演で、舞台設定は「2014年の大阪、矢島商店という老舗木綿問屋」。

感想

寺島しのぶ(女系家族)

寺島しのぶ(女系家族)

本作を見た後に山崎豊子の原作を読み始めてしまったので時間が経ってしまった。

まず、船場言葉にうるさい視聴者がいるとわかっているはずにもかかわらず、なぜ米倉涼子版(2005年)のように舞台を東京に変えなかったのか。ロケ場所ですら、あれは東京のどこそことを指摘されてしまう始末だったわけだが。

その理由は、おそらく渡辺えりの怪演をメインに据える意図が先にあったからではないかと想像できる。

渡辺えり(女系家族)

渡辺えり(女系家族)


渡辺によって矢島芳子(映画では浪花千栄子、ドラマでは中村芳子、荒木雅子、浅田美代子が演じてきた)という人物をクローズアップし、三姉妹を「細雪」的な滅びの美学の構図におさめることが、7度目の映像化の肝だったのではないかと思われるのである。

見どころ

  1. 宮沢りえの「静かなる闘志」
    宮沢りえが、妾の子という逆境にありながらも、品格と内に秘めた強い意志を持つ文乃を、静かで抑制された演技の中に、確かな存在感を持って表現。激しい感情のぶつかり合いの中で、彼女の冷静沈着な姿が際立る。
  2. オールスターキャストによる重厚な女たちの群像劇
    正妻・藤代役の水野美紀、三姉妹役の寺島しのぶ、室井滋、そして末娘役の芦田愛菜(末娘を演じるには若いという意見もあったが、演技力でカバーしている)といった、世代を超えた豪華な女優陣が顔を揃え、壮絶な女たちの群像劇を演じ切った。それぞれが持つ欲望や執着が、ドラマに深みとリアリティを与えた。
  3. 「遺産争い」を超えた人間ドラマ
    単なる金の争いだけでなく、家柄、血筋、プライド、そして秘められた愛憎が複雑に絡み合っている。女たちがなぜそこまで遺産に執着するのか、その背景にある心理や、過去の因縁が丁寧に描かれ、人間の本質を深くえぐる。
  4. 絢爛豪華な美術と衣装
    老舗の木綿問屋という設定にふさわしい絢爛豪華な屋敷のセット、登場人物たちの着物など、美術や衣装にも非常にこだわっている。その華やかさが女たちの泥沼の争いと対比され、独特の世界観を作り出した。
  5. 二夜連続スペシャルならではの壮大なスケール
    スペシャルドラマとして、通常の連続ドラマでは描ききれない詳細な描写、壮大なスケール。原作の持つ重厚な世界観を存分に味わえる。

キャスト

浜田文乃(矢島嘉蔵の愛人) – 宮沢りえ
矢島藤代(長女) – 寺島しのぶ
矢島千寿(次女) – 水川あさみ
矢島雛子(三女) – 山本美月
矢島芳子(三姉妹の叔母) – 渡辺えり
矢島米次郎 – 有福正志
矢島為之助 – 古川慎
矢島良吉(千寿の夫) – 長谷川朝晴
戸塚太郎吉 – 勝矢
小森常次 – 松角洋平
山徳社長 – 井上肇
前田医師 – 前田一世
坂上五郎 – 神尾佑
出目金(薬局の奥さん) – 山村紅葉
梅村芳三郎(日本舞踊の若師匠) – 伊藤英明
小林君枝(大野宇市の愛人) – 余貴美子
矢島家の大番頭である。
矢島嘉蔵 – 役所広司(特別出演)
大野宇市(大番頭) – 奥田瑛二
金正六郎(雛子の恋人) – 片岡信和
他 – 田村泰二郎渕野陽子山崎紘菜
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