やすらぎの郷の感想
ファーストインプレッション
テレビ草莽期(というのは黄金時代とイコールである)から脚本を書いて老境に至った石坂浩二が、テレビに功績があった者だけが入れる謎の老人ホームに入るという展開の昼帯ドラマである。
シルバータイムドラマと銘打っており、ある意味、ほかにない実験的なド企画と言える。
導入の1週目を終え、今週から浅丘ルリ子、有馬稲子、五月みどり、野際陽子、藤竜也、ミッキー・カーチス、八千草薫、山本圭といった面々が登場するらしい。
倉本聰の書いた台詞がメンドクサイだの覚えるのが大変だの、役者たちは大騒ぎとの由。
追記
伏線をすべて投げ出していきなり最終回⁉︎と思われた(誰でもそう思ったはずだ)月曜だったが、何ごともなかったかのように津川雅彦が登場。「忍の庭」って「光子の窓」のことか。
(さらに追記)
野際陽子逝く。ちょうど冨士眞奈美の葬儀の回(それも新宿で飛び降り自殺という辛辣なもの)に重なっており、このドラマの凄さがあらためて浮き彫りになった。
野際と八千草薫と男優陣はまだ現役と言えるが、冨士真奈美、石坂浩二も含めて、レギュラー陣は本作が「最後の出演作」になっても不思議ではない。
おそらく5年後、6年後には不可能な企画なのである。
まさに番組自体が事件と言えるドラマならん。
(さらに追記)
浅丘ルリ子が28歳年下の男性と交際していたとさらりと告白するシーンがあるが、石坂や小林旭は同世代。石原プロ(浅岡は一時石原プロ所属だった)の後輩、金児憲史とのロマンスが伝えられるが、これはなんと38歳年下だ。
ところで上記のシーンは石坂、五月みどり、山本圭と麻雀卓を囲んでのもの。全員プロ並みで知られ、牌回しが早くて異様だ。もう少しで「インファナルアフェア」みたいな名シーンになりそうだった。
(さらに追記)
2クール129回、とうとう終わってしまった。劇中では三人の女優が亡くなったが、本当に亡くなったのは野際陽子だけで、最後まで役を全うした形で終わった(終盤に孤独死した女優の話が出てくるが、これは大原麗子のことだろう)。
後半はトリトメのないエピソードが多かったが、佐々木すみ江がハマーで高速道路を派手に逆走するシーン(合成だったのか?)など、サービス満点だった。
来週からの昼休みは「トットちゃん」を見る。
(さらに追記)
佐々木すみ江逝く。本作は遺作ではなく、昨年も水川あさみのオムニバス「我が家の問題」に出ていた。が、本作のハマー暴走は忘れがたい。
やすらぎの郷のあらすじ
テレビ業界の黄金期を支えた脚本家・菊村栄は、認知症を患った元女優の妻・律子を介護し、彼女の死後、仕事も生きがいも失う。そんな中、テレビ業界の「都市伝説」的な施設「やすらぎの郷」に入居を決意。そこでは、かつて人気を博した女優たちや業界関係者たちが、コンシェルジュの行き届いたサービスを受けながら、人生の終末期を過ごしていた。栄は、九条摂子や白川冴子ら女優たちから脚本執筆を依頼され、現役時代のように呼ばれるようになる。施設では、理事長の名倉修平や総務理事の名倉みどり夫妻から信頼され、女優たちの意外な一面を知り、騒動に巻き込まれるなど、多忙な日々を送る。栄は、施設での新たな人間関係や依頼を通じて、失った生きがいを取り戻していく。
やすらぎの郷を観るには?
やすらぎの郷 キャスト
菊村律子(元舞台女優) – 風吹ジュン
白川冴子(国民的人気女優) – 浅丘ルリ子
水谷マヤ(女優) – 加賀まりこ
三井路子(歌手、女優) – 五月みどり
九条摂子(戦前から活躍する女優) – 八千草薫
川添夕子(摂子の付き人) – 松本ふみか
真野六郎(個性派男優) – ミッキー・カーチス
岩倉正臣(時代劇男優) – 山本圭
井深凉子(女優)/濃野佐志美 – 野際陽子
及川しのぶ(シャンソン歌手) – 有馬稲子
貝田英信(ピアニスト) – 藤木孝
高井秀次(伝説の男優) – 藤竜也
三角寬次(老優) – 山谷初男
堺田俵介(老優) – 毒蝮三太夫
原田剛(大部屋俳優) – 伊吹吾郎
那須十三郎(元殺陣師) – 倉田保昭
中井竜介(コミックバンドメンバー) – 中村龍史
茅野大三郎(元美術担当者) – 伊藤初雄
亀山〔茅野〕順子(元タイムキーパー) – 長内美那子
白鳥洋介(トランペッター兼作曲家) – 上條恒彦
岡林 谷江(女優) – 佐々木すみ江
「やすらぎの郷 La Strada」の職員
名倉みどり(「やすらぎ財団」総務理事) – 草刈民代
名倉修平(「やすらぎ財団」理事長) – 名高達男
松岡伸子(コンシェルジュ) – 常盤貴子
加納英吉(芸能事務所創業者) – 織本順吉
財前ゆかり(バーテンダー) – 松岡茉優
三枝奈々(伸子の部下) – 東松史子
風間ぬい子(みどりの秘書) – 広山詞葉
宮下一馬(総務担当職員) – 平野勇樹
中里正(保安部主任) – 加藤久雅
進藤秀夫(施設主任) – 山下澄人
橋本忠吉(食堂主任) – 納谷真大
野村伊三郎(介護主任) – 芳野史明
菅野平助(食堂担当職員) – 西岡ゆん
村松豊(食堂担当職員) – 福崎峻介
冲正之(保安部職員) – 熊澤洋幸
千倉和夫(保安部職員) – 森谷勇太
竜村剛(介護士) – 橋爪遼
荒木実(介護士) – 関健介
正岡治(施設担当職員) – 池田絢亮
田辺三郎(施設担当職員) – 湯川尚樹