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疑惑

3.5
疑惑(米倉涼子・黒木華) ドラマ
疑惑(米倉涼子・黒木華)
『松本清張ドラマスペシャル 疑惑』は「テレビ朝日開局60周年記念」として同局系列「日曜プライム」枠にて2019年2月3日の21時~23時5分に放送。事件の舞台を熱海市としている。2018年8月4日に逝去した津川雅彦の遺作、最後の出演作品となった。

疑惑の感想

2月に放送したものを「令和元年度文化庁芸術祭参加作品 」と銘打って再放送。せこいぞ。

中身は米倉涼子の清張シリーズ7作目(「黒革の手帖」「けものみち」「わるいやつら」「熱い空気」「強き蟻」「かげろう絵図」)なのだが、なぜかクマ子役ではないというところがポイントである。

そもそもこの話を女二人のドラマにしたのは野村芳太郎の脚色で、原作では新聞記者が主人公である。
岩下志麻桃井かおりの映画以降、この原作は5回もドラマ化されているが、クマ子はいしだあゆみ(92年)、余貴美子(03年)、沢口靖子(09年)、尾野真千子(12年)が演じているが(つまりクマ子役は女優にとって特権的な役なのだ)、弁護士役が女だったのは映画の岩下志麻と尾野真千子の相手を務めた常盤貴子だけで、あとは男優か、役自体が存在しない。今回の脚本は竹山洋という人だが、同じ人が書いた09年版では弁護士役を田村正和が演じている。

なぜ米倉がクマ子ではなく黒木華なのかということが気になり、黒木の悪女役(悪いものではない)を褒めるより、米倉の座りの悪さ(画面的にはどうみてもこちらがヒロインだ)が気になった。そして案の定、結末も出来の悪い原作の誤読に終わったのである。

なぜこうしたことが起こったのか考えてみると、ドラマ界(?)においては、クマ子役の特権性とは、女優としての到達点を表すのではなく、なにか挑戦の踏み台としての意味を持っているからなのだろう。そんなものに付き合わされる視聴者はいい面の皮だと思う。

疑惑のあらすじ

有能な弁護士でありながら、ブラック企業を弁護して勝訴する機会が多いため“最低の弁護士”とやゆされる卓子(米倉)は、入院することになった原山(津川雅彦)からある依頼を受ける。それは、保険金目的で夫の福太郎(中村梅雀)を殺害した疑いのある球磨子(黒木華)の弁護だった。世間では“希代の悪女”のように扱われていながら無実を主張する球磨子は、傷害罪で別件逮捕されることに。そんな中、検事正の秀子(余貴美子)は球磨子を有罪にすべく画策を行う。

疑惑を観るには?

疑惑 キャスト

佐原卓子 – 米倉涼子(民事専門の有能な弁護士)

白河球磨子 – 黒木華(福太郎の後妻)

前田健次 – 勝村政信(球磨子の元夫)

秋谷茂一 – 板尾創路(ゴシップ記者)

豊崎勝雄 – 永山絢斗(球磨子のマネージャーを名乗る興行師)

野田さかゑ – YOU(球磨子の秘密を握る女)

大木暁子 – 堀田茜(球磨子に顔を焼かれたキャバクラ嬢)

佐々木佳子 – 宮田早苗(「梅花楼」仲居頭)

河崎三郎 – 高橋努

藤原好郎 – 前野朋哉(事件の目撃者)

菊池一郎 – 福本伸一(「菊池雑貨店」店主)

安田龍一 – 岡部たかし(刑事)

山田康一郎 – 長谷川朝晴(静岡地方検察庁 検事)

小坂直美 – 山田真歩(静岡地方検察庁 検事)

佐原淳彦 – 依田司(卓子の亡夫)

大貫由紀 – 萬田久子(美容クリニック「オオヌキ・クリニック」院長)

白河福太郎 – 中村梅雀(球磨子の現夫。熱海の老舗レストラン「梅花楼」3代目社長)

木下保 – 伊武雅刀(福太郎の親友)

加藤正義 – 平泉成(裁判長)

原山正雄 – 津川雅彦(ベテラン弁護士。卓子に事件を依頼) ※2009年度版も同じ役で出演。テレビドラマ遺作

小田秀子 – 余貴美子(静岡地方検察庁 検事正)

ナレーション – 遠藤憲一 ※2009年度版も担当

疑惑 スタッフ

原作:松本清張「疑惑」

脚本:竹山洋

演出:松田秀知

音楽:住友紀人

法律監修:本山信二郎

警察監修:石坂隆昌

カースタント:タカハシレーシング

技術協力:テイクシステムズ、バスク

VFX・美術協力:テレビ朝日クリエイト

照明協力:共立

音響効果:スポット

スタジオ:緑山スタジオ・シティ

チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)

ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)

プロデューサー:峰島あゆみ(テレビ朝日)、菊地裕幸(ザ・ワークス)、伊賀宣子(ザ・ワークス)

制作協力:ザ・ワークス

制作著作:テレビ朝日

疑惑の原作(松本清張)


その女は本当に殺ったのか――
海に落ちた車から男の遺体が。妻は夫を殺したのか? 稀代の悪女と書き立てる記者、闘志を燃やす弁護人の対決。「不運な名前」収録。

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