『張込み』(2011年)ってどんなドラマ?
単調な日常の影に潜む、女の残り火——。名刑事たちの張り込みが、封印された愛と欲望を暴き出す!
松本清張の不朽の傑作短編を、若村麻由美主演、小泉孝太郎・渡辺いっけいらの共演でドラマ化した2時間サスペンス。
強盗殺人犯の身柄を追い、かつての恋人の家を見張る刑事たちと、地味で静かな生活の裏に情熱を秘めたヒロインの心理戦を描くサスペンス・ドラマ。
あらすじ
東京・世田谷で男二人組による強盗殺人事件が発生。主犯の山田(掛田誠)が逮捕されたが、手引きをして実際に命を奪った共犯者の石井久一(忍成修吾)は拳銃を持ったまま逃亡してしまう。
警視庁の若手刑事・柚木哲平(小泉孝太郎)と先輩刑事の下岡有作(渡辺いっけい)は、石井のかつての愛人・横川さわ子(若村麻由美)の元へ向かうと踏み、長野県松本市へ急行する。
さわ子は現在、年の離れた後妻として後妻に入り、3人の子供を育てながら平凡で几帳面な主婦として暮らしていた。向かいの旅籠に身を潜め、さわ子の家を昼夜分かたず張り込みを続ける柚木と下岡。
一見すると退屈な日常を淡々と繰り返すさわ子だが、張り込みを続けるうちに柚木は、彼女の心の奥底に燃え残る「女としての情念」と「密かな焦燥」を感じ取り始める。果たして石井は彼女の前に現れるのか——。
キャスト
柚木哲平 – 小泉孝太郎
石井久一 – 忍成修吾
下岡有作 – 渡辺いっけい
高橋洋二 – 六平直政
井上広 – 田山涼成
児玉梨奈 – 上原美佐
旅館の女将 – 大島蓉子
横川仙太郎 – 塩見三省
横川貞次 – 高澤父母道
山田明信 – 掛田誠
刑事 – 坂田聡
堂島浩二 – 菅田俊
本屋の客 – 野村昇史
バス運転手 – 越村公一
警官 – 岸端正浩
由夏、高橋慶子、渡辺力、千濱汰一、江畠蓮、中村高華、鈴木伸、伊藤竜二、渡辺貴啓、門田真幸 ほか
感想
張込み(映画)に続けて最新(と言っても2011年)のドラマ版を見てみた。
もちろん原作とも映画版とも大分違っていて、舞台は松本、若村麻由美演じる貞子目線の展開である。刑事役は小泉孝太郎だが、監視対象の若村に肩入れするあまり、捜査を撹乱したり夫婦別れを唆したり、何かとやりすぎていて、映画版の無口な大木実との違いが際立っている。
それはまあいいとしても、若村の忍成修吾(元恋人)に対する感情がわかりづらいのが難点である。現夫を演じる真面目一辺倒な塩見三省がすごく良いのだが、若村はラスト近くで3年間の夫婦生活の虚しさを吐露する。夫が柱時計の針を遅らせた後で妻が針に進ませるというシーンが序盤にあったのだが、若村は、あれは耐えがたい日常を早く終わらせる習慣だった、となんだかピンとこないことを言い、翌朝夫を送り出し、洗濯物を干してから出奔する。
この夫婦は3人も子どもがいるのに毎年海外旅行に行くらしいのだが(塩見はただの電器屋親父なんだが…)、次の予定はスペインで、だから若村は前半でスペイン語講座のカセットで勉強していたのだが、最後に講座のテープを回したまま出ていくというのがいかにもヒドイ。
当時43歳の若村麻由美はおそろしいほどの美貌で、清張ドラマにもよく出てくる人なのだが、いつも、他に使いようはないのかと思ってしまう。
張込み(2011年ドラマ) スタッフ
監督:星田良子
ロケ協力:松本市、松本観光コンベンション協会、松本東急イン、コナカ府中西原店、共立女子大学、ブックファースト、はとバス ほか
技術協力:フォーチュン、バスク、Kカンパニー
照明:サンライズアート
編集・MA:ワインド・アップ、バウムレーベン
音響効果:スポット
美術協力:山崎美術
音楽協力:テレビ東京ミュージック
プロデューサー:橋本かおり、小畑良治、椿宜和、椿宜和
チーフプロデューサー:小川治
張込みの原作
推理小説の傑作短編集。殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される「張込み」。判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た「一年半待て」。ほかに「声」「鬼畜」「カルネアデスの舟板」など、全8編を収録する。




