Mの悲劇の感想
ファーストインプレッション
見るものがないので、よせばいいのに、レンタルで借りてまで、ドラマを見始めてしまった。
2005年当時、気になっていたのに見そびれていたのである。
1988年のドラマではない(あちらは夏木静子の悲劇シリーズを神代辰巳が脚本化し、演出しているもので、主役は名取裕子と原田芳雄だそうだ。み、見たい。。)。
さてネタバレにならないように薄眼でレビューをいくつか見たところ、きちんと筋が折り重ねられたサスペンスであるらしいので、ちょっと楽しみ。
吾朗ちゃんもハセキョーもあまりうまくないということが最大の難点で、楽しみは脚本・演出、小道具、ロケ地などのスタッフ仕事のほうになる。
異常に用心深いはずの男が狙い撃ち的に巻き込まれていくさまを、ピアスなどの小道具を使ってジリジリと撮っていく展開、世田谷、横須賀、みなとみらいなどのロケハンもうまく、まあ続けて見てもいいと思った。
また来週、続きを借りてこよう。
第3~4回|ダレ場だ~
とりあえず、ハセキョーがなんでこんなことをしてるのかを説明する3・4話なのだった。
逆恨みもいいとこで、とても感情移入できるようなものではないので、このへんは、怪物にロックオンされてしまったホラー的恐怖を頼りに見るが、あんまり怖くないのでちょっと興ざめ、泣くべきシーン(ウェディグドレスを見つけるところ)で涙すら流せないハセキョーの芝居下手もあって、すっかりダレ場に。
3話の終わり、六本木の公園入口で、1000万円にベンジンをかけて燃やしてしまうシーンは、衛がもっと大きく絶望して、たとえば発狂してしまうような演出がほしかった。
吾郎ちゃんじゃ、それもダメかなー。
衛はもうずっと呆然としているばかりなので、ちょっと飽きてきた。
予告篇によれば、まだしばらく続くらしい。記憶を取り戻すシーンも、もう少し劇的にできたのではないか。
そもそも、平和な人生を送ってきた衛なのだから、チンピラに絡まれてこっぴどく殴られた経験をすっからかんと忘れているのはちょっと不自然に過ぎる。
何にしても、次の巻から後半になるので、早く次の展開に移ってほしい。
美沙が瞳に話した内容と、衛が突き止めた事実がビミョーに違うのは、何かの伏線になっているのかな…?
第5~6回|展開が遅すぎる
自分をはっきりと憎んでいる女の顔を、正面から見ることほど恐ろしいものはない。
相変わらず逆恨み女の話で、早く逆転しないかなあ、と思いながら見るわけだが、ハリウッド映画とは違って、どうもそういう方向へは展開しないらしく、専務や恋人、敵だと思っていた成宮寛貴、大川刑事、と次第に真相を知る人間が増え、代わりに長谷川京子の絶望への同情票がだんだん高まる方向に。
話の進展がなさすぎて、水増しな展開、ダレ場もいいとこである。
進展がないと言っても、ゴローちゃんと長谷川京子の関係が変わりつつあるわけなので、そのへんの見せ方というものがあるだろうと思うのだが、これまでの延長である。
そして、ようやくのこと、佐々木蔵之介が怪しい動きをしはじめる、というのが後半への伏線だろうに、その展開にダイナミズムがまったくなく、ノロノロしていて、やる気が感じられない。
ここまで引っ張るということは、もしかしたら、どうもひどくつまらないオチになるんじゃないだろうかと不安になってきた。
成宮寛貴は、なんだか今と少し顔が違うような気がするな。
警備員役で、さすがに金髪じゃないからかなあ。
第7~8回|くるりと一転
久しぶりに鑑賞再見。思えば秋ドラマが始まるまでのつなぎと思って見始めたのに時間切れとなったのだった。
結局全部終わるまで棚上げになっちゃってたなー。
しかし再開しても思ったよりちゃんと覚えているものだ。前回まででお話が折り返したということもある。
展開が遅いと思っていたが、ハセキョーの心は急に折れ、加害者ではなくなったとたんに精彩を失う。
迷惑顔だった佐藤二朗の刑事が今さら頼もしくなり、専務の娘である岡本綾もゴロちゃんに捨てられて、背景の人物になっていく。
最後まで疑惑が残ったのは成宮寛貴だが、これも良い人であることがわかった。
金貸しの大西滝次郎まで何やら親切になってしまうのがおかしい。
みんな良い人で、悪者が佐々木蔵之介だけではバランスが悪く、残り話数をもたすためには、何か裏があるはずと勘ぐるのが普通だろう。
佐々木は珍しくワル顔を熱演していたが、それと、伊武雅刀の専務とハセキョーとの因縁、なにやら屈託がありそうな吉岡美穂のキャラだけでもう2話ひっぱるのは、少々無理があるのではと思わされる。
もっとも、最近のドラマのように最終回ですべての難問が解決してしまうのも、さすがにちょっと興ざめであるのだが。
そう思えば、早々に黒幕との対決に話を絞ってしまうのも好感がもてる。
第9~最終回|因縁は解け、余裕しゃくしゃくの最終回
最終回近くにいたって、美沙と衛以外にMの頭文字をもつ3人目の人間が判明する。
佐々木蔵之介の演じる久保の名は「松本」だった。(改名したの?)
そして言うまでもなく、Mとは、美沙の携帯にぶら下がるW(亘の頭文字)の逆さ文字でもある。
公式サイトには、Mystery、Man、Mindなどがこじつけられているようだが、なーんか、なぜ「悲劇」であるのかということの説明がつかないような気がするなあ。
少なくとも前半では、マゾヒズムのMであったはずである。
(前半のハセキョーはとりわけサディスティックに描かれている)
すべての謎は最終回前に明らかになってしまう。
なんと驚くべき狭い世界での出来事で、泥棒に入られた吉行和子夫婦の連帯保証人として借金を肩代わりしたのが「松本」氏。
その息子が佐々木蔵之介で、借金を背負った「松本」氏は工場を潰して夜逃げ、血迷って信用金庫に強盗に入り、伊武雅刀の警備員の目の前で、ハセキョーの両親を巻き添えに焼身自殺したのだった。
こうなると、そもそもの泥棒も誰だったのか気になってしまうが、それ以上はさすがに遡らなかった。
プチ因縁ということでは、吉岡美穂がもともと柏原収史の追っかけだった(それだけなのだ!)、なんてのもあったけど。
で、因縁が解けて、最終回は佐々木蔵之介祭り。
しかしこれは第7回での演技ほどではなく、最終回はかなり時間を余してしまったので、衛と美沙の別れが何度も繰り返されることになった。
海岸に現れた亘と再開する夢を見る美沙、亘に別れを告げるために実際に海岸を訪れ、同じように現れた衛。
(携帯に登録されたWataruとMamoruは韻を踏んでいるのだろう、ちなみに美沙もMisaと登録されている)
しかし美沙は「これで本当にさよならですね」(あれ? 1,100万円返すとか言ってなかったっけ?)
残された衛は、しかし何か消化不良な面持ちで、「いつでも僕は君を見守っている。僕はいつでも君の味方だ!」と叫んでしまう。
美沙の頬を流れる涙、しかしそのまま去っていく。
というところで終わるはずなのに、なぜか、「それから1年後」。
プロジェクトの仕切り直し発表会(一社員の不祥事ごときで、1年も中断されてたの?)、パーティを抜けだして亘の墓参りをする衛、さらに美沙が働く養護施設を覗きに行き、そして島谷専務に「遅れるなよ」と言われていた商談へ急ぐ道すがら、
遭遇してしまったのは、チンピラに襲われるサラリーマンの姿!
これは新たなる因縁が、という終わり方である。
