ざけんなョ!!5(1993年10月22日)

好評なのか、このシリーズばかり再放送しているのである。
一般職OLの悲哀

中森明菜(ざけんなョ!!5)
あまりにもナマな題名の第1話「一般職OLの悲哀」の主演は.なつかしや中森明菜。すごく口が大きくて、やっぱり歌手なのだなと思わせる。
コース別雇用管理制度は85年頃から始まったもので、そもそもは男女雇用機会均等法によって単純に男性(将来の管理職候補)と女性労働者(コピー取り・お茶くみ)を差別できなくなったために導入されるようになったものである。現在でも大企業であるほど導入率は高いが、一般職に求められる職務が多様化しているため、総合職との線引きは一概に言うことはできないとされる。
ドラマ放映時点の93年当時でいえば、総合職は基幹的業務または企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し転居を伴う転勤がある職務、一般職は主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない職務とされた。
中森明菜の務める会社は大手町の建設会社大手と見られるが、食品事業(フィリピンでブラックタイガーの養殖)を展開するという。
バブルの絶頂は89年とされるが、「崩壊」は一律ではなかった。わたしは93年頃にあるクレジット会社の人事部長に取材したが、ゲラの「バブル景気の崩壊」を「景気の退潮」に直してくれと頼まれた。ばかばかしいはなしである。
中森明菜は高卒で勤務10年の一般職らしいが、おそらくバブルの恩恵にあずかっていない。93年に28歳、89年に24歳であったなら、目の前でバブルを謳歌した総合職女性に対するルサンチマンは並大抵のものではなかったはずである。
そんな彼女が華々しい総合職(新規事業の営業責任者)を目指して社内試験を受けるというのがドラマの筋である。
試験内容は、営業プランの企画書、マーケティングについての論文、商法(食品輸入と販売についての知識)問題、語学力、面接で、中森は寝る間も惜しんで勉強してトップの成績をおさめる。
しかし村井国夫の部長が発表した採用者は成績の劣る総合職女性。中森は憤慨するが、無理からぬ話で、企業の側はまだバブルの頭から抜け出せていないのだろう。
最終的に会社を見放した彼女は石野陽子らを引き連れて起業。「人材の流出」という事態ではあるが、そこで着目した商材は英会話胎教のテープ。とても長続きできるとは思えない。やっぱり一般職の浅知恵なのかと、先見性のなさに落胆させられるし、村井国夫(うまくすれば役員になっただろう)を見返すことはできないだろう。彼女もまた、バブルのあとに取り残された「自己実現」(自己責任論へとつながっていく)という言葉に踊らされているのである。
キャスト
石野陽子
村井国夫
井上彩名
石井洋祐
山下容莉枝
矢沢美樹
野村信次
若林万記子
白石 RUTH
TOM DOLAN
劇団白鳥座
スタッフ
脚本 – 倉沢左知代
演出 – 河野圭太
バブル家族・妻の反乱

榊原郁恵(ざけんなョ!!5)
今とまったく同じキャラの榊原郁恵主演。
信じがたいことに、ここで演じている(当時の榊原のイメージ通りの)役柄は、今と同じで、榊原郁恵という人はデビュー以来まったくブレていないということがわかった。うーん。
さて、こちらは夫の益岡徹が証券会社の課長で、残業がなくなったから収入が減るというところが始まる。
今月も赤字だわ…と頭を抱える榊原郁恵に義母の加藤治子が「まあどのくらい? 一千万ぐらい?」と聞く。まさか、10万くらいです、と榊原は答えるのだが、今では考えられないことであろう。
じゃあみんなで倹約しなきゃ、と家族は真顔で頷くが、結局はバブルの時の生活を捨てきれないというペーソスのドラマである。
益岡徹はゴルフと不倫(30万円の時計を贈ったりする)、加藤治子は着物の仕立てと旅行三昧、小学3年生の息子は塾をさぼってゲーセンに入りびたり、塾の行事と偽って友達とスキー旅行に行こうとする。
榊原郁恵はスーパーレジ打ちとラブホテル清掃のパートを掛け持ちし、夫の浮気を発見して怒り心頭に発するのだった。
では、榊原郁恵自身(でも榊原が演じているこの主婦自身でも、どちらでもいいが)は、バブルの時期においてどうだったのか、と振り返ってみると、これが驚くほど手がたいのだ。渡辺徹と結婚した87年の絶頂期とともに「ものまね王座決定戦」司会を13年間にわたって務め、以降もCXで司会仕事を確保し続けて、上述の通りキャラクターを変えずにバラエティで不動の地位をかためたのである。
これが健康の秘訣と言わんばかりにいつもニコニコしながら家族を叱りつけて、しまりやで、貯金はたんまりという安定感。しかもそのキャラがブレていないということ。これは手ごわいと思わざるを得ないのだった。かわいいのに。巨乳なのに。
キャスト
益岡徹
加藤治子
田根楽子
市川勇
山口詩史
鳥居紀彦
佐伯怜子
河野靖
川崎貴子
千喜良寿子
高柳葉子
村上はるみ
黒沢怜良
山崎孝文
大泉翼
東京児童劇団
スタッフ
脚本 – 永井愛
演出 – 佐藤祐市
世界で一番不幸な男

陣内孝則(ざけんなョ!!5)
主演は陣内孝則。このシリーズに珍しい男性主人公である。
陣内は全然現役で、この夏の「崖っぷちのエリー」でもほぼ同じような演技だったので、新鮮味はない。
市役所の生活環境保全向上課、別名「苦情課」の職員で、プライベート(妻と実母の争いに巻き込まれる)と仕事の理不尽な苦情で忙殺され、最後にブチ切れるという話。
舞台劇ふうで、時代に関係なくつねに古臭いと思わせる喜劇である。
キャスト
森尾由美
高田敏江
田島令子
河原さぶ
小高恵美
水城蘭子
渡辺哲
池田成志
水木薫
水野あや
白石貴綱
中上ちか
おやま克博
横田砂選
長棟嘉道
西島愛
劇団ひまわり
スタッフ
脚本 – 清本由紀
演出 – 木下高男
ざけんなョ!!6(1994年4月15日)

良くも悪しくもバブルと切り離せないドラマシリーズであったが、第6弾(1994年春)になり、みごとに浮ついた空気がかき消えた。それにともなって、ざけんなヨ!!とぶち切れるためのストレスが突飛さを失い、つまり、リアルで、簡単には解決しがたいものになってしまい、ドラマが成立するのか危うくなってきている。
子持ちだって働きたい

古手川祐子(ざけんなヨ!!6)
主演は古手川祐子。つい最近まで、こういう普通の若奥さんを演じていたが、「ゲゲゲの女房」ではすっかり老け役になっていたのが感慨深かった。
