こうした点から、「伏線が回収されていない」「説明不足」「解釈を丸投げされた」として評価は地に落ちた。
これは「作り手と視聴者が見ていたものが違った」ことから生じている可能性がある。
なぜこうなったのか
『リブート』は、人生再生ドラマとして楽しまれていたはずである。
失敗した人生を送り続けてきた英人が、若き日の光誠として人生をやり直し、自らの過去と向き合いながら未来を変えていく。商店街を救い、失われた人間関係を修復し、愛する人と結ばれる。そうした「やり直しの成功物語」である。
ところが最終回で作り手が描こうとしたのは、どうやら別のテーマだったらしい。
「人生の再生」ではなく、「魂の循環」である。
英人は人生を取り戻したのではない。英人として生き、光誠として生き、再び別の存在へと移り変わる。そこでは個人の幸福よりも、魂が何を学び、何を受け継ぐかが重要になる。
だから最終回で焦点となるのは、「誰が幸せになったか」ではなく、「誰が誰だったのか」でもなく、「人はどのように次の世代へ受け継がれていくのか」という問いだったのだろう。
赤ん坊の英雄も、その象徴として置かれているように見える。
本当に転生したのかどうかは重要ではない。誰かが死んでも、その人生は別の誰かへと受け継がれていく。その曖昧さこそが、作り手の描きたかった余白だったのだろう。
しかし、ここに決定的な問題がある。
ドラマの大半は、商店街再生や恋愛、人生のやり直しという現実的な人間ドラマとして進んできた。視聴者がそのルールを飲み込んで作品を理解したのは当然だったのに、最終回だけが突然、「魂とは何か」「自己とは何か」という哲学的な物語へ飛躍したことになる。
そこで、人生再生ドラマの結末を期待していた視聴者と、輪廻転生の寓話を語ろうとした作り手のすれ違いが発生したわけだ。
この最終回が失敗だったのか成功だったのかは、人によって意見が分かれるとは思うが、最後の最後で、求められた答えと、作り手が提示したかった問いが交差しなかったことは確かである。
『リブート』最大の弱点はここにある
最終回の説明をそのまま受け入れると、
- 元々の2012年の根尾光誠の身体には英人の魂が入っていた
- 現代の英人の身体には光誠の魂が入っていた
- だから両者は長年にわたって入れ替わった状態で生きていた
ということになるのだが、「では元の英人は2012年当時どこにいたのか」という根本的な疑問が残る。
もし英人の魂が若い光誠の身体に入っているなら、若い英人の身体と若い光誠の身体の二つが同時に存在するはずだが、若い英人の存在はまったく描かれていないのだ(ローラー紙の下敷きになって死ぬ場面以外では)。
商店街の過去パートにも「もう一人の英人」は見当たらない。
つまり物語は、二人の人間が存在する世界として描かれていたのに、最終回では突然、魂が循環する世界として説明し始めたわけで、これはどう考えても矛盾する。
タイムスリップ物として考えるなら「英人が過去に行った結果、若い英人と遭遇するはず」だし、転生物として考えるなら
「英人そのものが生まれ直した」ことになるので、若い英人は不要だ。
ところが『リブート』は両方を同時にやろうとしたため、若い英人の不在という穴が生じているのだ。
無理やり解釈するとしたら、
- 世界線改変説(英人が過去へ飛んだ瞬間に歴史そのものが書き換わった。その結果、「英人という存在が消え、光誠として育った」世界になった。つまり商店街時代には初めから英人はいなかった)→現代に英人が存在している理由が説明できなくなる
- 魂循環説(最終回が最も示唆しているのはこちらで、英人と光誠は別人ではなく魂レベルでは同一存在。英人→光誠→英人という輪になっている、だから若い英人を探すこと自体が間違い[若い光誠が英人だから])→第1話から積み上げてきたタイムスリップ設定の大半が不要になる
最終回脚本は、作り手が途中まで構築してきた「タイムスリップによる人生やり直し」の論理を捨て、最後に「輪廻転生による魂の物語」へ着地させる方針変更があったように思う。
だから「若い英人はどこにいたのか」「なぜ商店街に英人がいないのか」という疑問に対して、作中には整合的な説明が存在しないのだ。
こうした疑問が生じること自体、視聴者がタイムスリップ物として見ていた証拠であり、作り手が最後に輪廻物へ舵を切ったことで生じた違和感の正体だ。
つまり、『リブート』の最終回が不評だった最大の理由は、「伏線未回収」ではなく、物語のルールそのものが最終回で変わってしまったことにある。
『リボーン 〜最後のヒーロー〜』を観るには?
『リボーン 〜最後のヒーロー〜』作品情報
キャスト
野本英人(あかり商店街でクリーニング店を営む青年)〈36〉 – 高橋一生(二役)
池谷更紗(印刷工場の一人娘) – 中村アン
友野達樹(「NEOXIS」創業メンバー) – 鈴鹿央士
野本英梨(光誠の秘書) – 横田真悠
野本英治(英人の父親) – 小日向文世
東郷義隆(東郷ファンド代表) – 市村正親
一萬田仁志(ライバル企業「創萬」社長) – 坪倉由幸
池谷金平(印刷所経営者) – 柳沢慎吾
中野加代 – 山野海
室田秀子 – 岸本加世子
猪瀬亘 – 小久保寿人
鹿内徹 – 今井隆文
蝶野守 – 村井良大
土屋大地 – 阿部亮平
財部銀平 – 関幸治




