君の手がささやいているの感想
90年代後半、菅野美穂は“元気で明るく、少し天然”というキャラクターであり、バラエティ番組での飾らない笑顔、CMでの快活な表情によって「親しみやすい若手女優」として定着し、深い役柄やシリアスなテーマに挑む女優ではなかった。そこで転機となったのが、1997年にスタートした本作と言える。
本作で彼女が演じるのは、生まれながらに聴覚障がいを持つ女性・志村美栄子である。
難役であることは言うまでもなく、「明るい女の子」的なイメージとは一線を画す、内省的で感情の機微を繊細に表現が求められる。
セリフの大部分が手話で進行する。声を使わずに「語る」ことの可能性と説得力が求められ、深く豊かな内面を表現できる女優として評価されたのである。
本作はまた社会的マイノリティを描いた「感動ドラマ」とされるが、脚本と演出は、聴覚障がい者の不自由さというよりも、日常で積み重なるすれ違いや理解の難しさを描いたものであり、それが菅野の芝居をよりリアルに際立たせている。
ドラマの成功は、「菅野美穂は本当に耳が聴こえないのでは?」と思わせるほどの“説得力”にこそあった。
第1章 1997年12月15日(90分)
97年から01年まで年1回のペースで続いたシリーズとのこと。
脚本は岡田惠和、演出は新城毅彦。しかし第1章だけ唐突に再放送されても困るな…
ハタチの菅野美穂がなんとも美しく、記念碑になるドラマとおぼしい(イグアナの娘」でドラマ初主演)。
武田真治と菅野が働く商社?は西新橋にあるらしく、菅野はモノレールで通勤している。届け物を頼まれた菅野が電車事故に遭遇し、遅れることを先方に連絡できずに往生するというエピソードは、携帯メールのない時代ならではと言える。有楽町、日比谷あたりも映り、人がいっぱいなのだが、聾唖の菅野が全力で走るシーンが何度かありヒヤヒヤする。手話が重要な役割を果たす古典的なドラマで、字幕はつかない。
第2章 1998年10月1日(96分)
第3章 1999年10月7日(98分)
第4章 2000年10月5日(91分)
最終章 2001年12月26日(122分)
君の手がささやいているを観るには?
君の手がささやいているのキャスト
野辺博文 – 武田真治
野辺千鶴 – 舞(谷口舞)
中田(旧姓:坂井)奈保子 – 中村麻美
中田義章 – 斎藤陽一郎
武田晴子 – 木内みどり
武田功 – 本田博太郎
遠藤聡子 – 高樹沙耶
野辺靖彦 – 石田太郎
野辺正江 – 加賀まりこ