無痛〜診える眼〜

浜辺美波(無痛〜診える眼〜)
浜辺美波(無痛〜診える眼〜)

久坂部羊の小説(2006年4月25日幻冬舎刊、2012年2月10日に続編『第五番』幻冬舎刊)を原作として、『無痛〜診える眼〜』のタイトルで2015年10月7日~12月16日の毎週水曜日22:00-22:54にフジテレビ系「水曜10時」枠で放送。小説を原作に、医療ドラマと刑事ドラマの要素を兼ね備えたオリジナルストーリーとなっている。主演は西島秀俊。

無痛〜診える眼〜の原作


見るだけですぐに症状がわかる二人の天才医師、「痛み」の感覚をまったく持たない男、別れた妻を執拗に追い回すストーカー、殺人容疑のまま施設を脱走した 十四歳少女、そして刑事たちに立ちはだかる刑法39条――。神戸市内の閑静な住宅地で、これ以上ありえないほど凄惨な一家四人残虐殺害事件が起こった。凶器のハンマー他、Sサイズの帽子、LLサイズの靴痕跡など多くの遺留品があるにもかかわらず、捜査本部は具体的な犯人像を絞り込むことができなかった。そし て八カ月後、精神障害児童施設に収容されている十四歳の少女が、あの事件の犯人は自分だと告白した、が……。

無痛〜診える眼〜の原作を読んだ人の感想

  • ストーリー自体は、斬新という程では無いのですが、ハラハラ・ドキドキする展開に個性的なキャラクター達と、終始一貫したテーマ性は読み終えた後の満足度が高い作品
    正雪の歌心

  • 新しい薬や手術のための臨床試験は人体実験である。延命治療は時に患者を悲惨にする。安楽死や脳死、デザイナーベビー、、、いわいる”医療の闇”らしい。
    気まま仙人の心のスパイス

  • 現代医療や刑法における矛盾や問題点を指摘する場面などから、現役医師である著者のメッセージを感じる。
    neputa note

ドラマ 無痛〜診える眼〜


あらすじ

町医者・為頼英介には、外見で病気がわかり、犯罪者の兆候(犯因症)を見る不思議な能力をもっていた。ある日、街で暴れる男を通報したことから、刑事・早瀬順一郎は英介の能力に気づき、容疑者たちの顔を英介に見せるようになった。英介の助言で数々の事件が解決したものの、早瀬は刑法39条が絡むと行き過ぎた行為に走り、犯因症も浮かび上がるため、英介は危うさを感じていた。
患者を紹介されていた白神メディカルセンターの院長・白神陽児も英介の能力に気づく。白神は無痛治療の研究に力を注いでおり、先天性無痛症であるイバラのデータを取り続けていることなどを英介に語る。
一方、早瀬は、臨床心理士・高島菜見子がカウンセリングを担当する南サトミが描いた絵を見て愕然とする。それは未解決の一家殺害事件で、被害者が頭にビニール袋を被せられていた現場を描写したものだった。早瀬は現場に残っていた毛髪とサトミの毛髪が一致することを確認し、サトミが真犯人だと確信する。
そんな中、自宅で襲われた菜見子が頭にビニール袋を被せられる事件が発生。犯人は菜見子の交際相手・佐田要造で、犯因症を見抜けなかった英介はショックを受ける。捜査本部は一家殺害事件についても佐田犯行説を疑うが、菜見子のロッカーからバラバラにされた佐田の手が見つかる。佐田を殺した犯人として清掃員・イバラが逮捕されるが、イバラが何も覚えておらず、犯因症も確認できないため、英介はイバラの犯行を疑問う。
留置場を脱走したイバラはサトミと逃走し、英介の診療所へサトミを連れてきて、白神のデスクから持ち出したUSBメモリを英介に託す。その中には白神が無痛治療新薬の治験データが入っていたが、一家殺害事件が起こった日には新薬が過剰投与され、記憶障害や意識混濁、凶暴性増加などの副作用が現われていたことから、イバラが新薬のせいで犯行に及んだことがわかった。そうとは知らず、白神からイバラの危険性を聞かされていた早瀬はイバラを追いつめ、イバラは橋から川に落ちて消息不明に。
早瀬は、「大切な人、大切な場所」というイバラのつぶやきから、ある新聞記事にたどり着き、白神への疑いを強める。そして石川彰子が結婚直前まで白神の弟と交際していた事実をつかんで、白神と対峙し、一家殺害は弟を捨てた石川彰子への復讐ではないかと早瀬と英介が詰め寄る。すると突如イバラが現われ、白神を道連れに窓を突き破って転落。2人は亡くなり、事件は終息する。

感想

西島秀俊伊藤淳史という「 ジェネラルルージュ」コンビによる久々のサスペンス。「 SP 警視庁警備部警護課第四係」の 岡田准一を思わせる特殊能力描写(アクションはないが空気感は似ている)と、先日の実写版「 あの花」の演技が話題になった 浜辺美波が見どころであろう。 石橋杏奈は、というと「カッツアイ」を思い出してしまう。

2015年秋ドラマは、本作以外に「 破裂」という久坂部羊原作のドラマがあったのだが、本作では犯因症と無痛治療、「破裂」ではペプタイド治療、とプロジェクト:天寿という具合に、複数の大ネタをぶち込んで来るのが原作者の特徴らしく、ネタがどう関係してくるのかという興味がストーリーを牽引する仕掛けである(「破裂」はプロジェクト天寿の荒唐無稽さがNHKとミスマッチだったこもあり、途中であえなくドロップアウトした)。
本作は上記ネタの他に「神の診察眼」「猟奇殺人」「先天的無痛症」「声を失った少女」などかなりの盛り沢山で、おそらく収拾つかなくなるだろうと予想しつつストーリーを追っていたが、終盤にいたって一応の種明かしはされたものの、案の定、「痛みは私だ」というキーワードはうまく活かされず、神の眼も犯因症も投げ出されたまま終了という幕切れ(時間切れ)となった。
ダラダラした場面も多く、例えば、最終回の、まるで舞台劇かと思わせる段取り感満載のシーンなどひどかった。挙句に 伊藤英明中村蒼があっさり心中するのだが、原作では死なずに続編に続くらしいから、効率よく構成できなかった脚本の力不足だと思う。残念である。

冒頭にも書いた通り、西島秀俊と伊藤淳史と言えば「ジェネラルルージュ」コンビなのだが、伊藤は「 家族狩り」に引き続き、危険性を秘めたシリアスな役どころで、「 理系の人々」(MXの不定期放送が楽しみなのだが、今調べたらなんと42話もある!)のナハハ系キャラとのミスマッチ感が面白い。あとは、眉毛まで剃った異相の中村蒼、声が出るようになったとたんに存在感を放ち始めた浜辺美波(当時15歳で、翌年に「 咲-Saki-」、3年後に「 賭ケグルイ」とぐんぐん年頃になり、「 ウチの娘は彼氏が出来ない!!︎」はまぶしい限り)なども楽しめた。

キャスト

主要人物
 為頼 英介(神の診察眼をもつ医師) – 西島秀俊
 早瀬 順一郎(港中央警察署刑事課強行犯係・巡査部長) – 伊藤淳史
 高島 菜見子(白神メディカルセンター臨床心理士) – 石橋杏奈
 白神 陽児(白神メディカルセンター院長) – 伊藤英明
主要人物の関係者
英介の関係者
 井上 和枝(英介の義姉) – 浅田美代子
 久留米 実(元・明都医大教授) – 津嘉山正種
 久留米 大(実の孫) – 須田瑛斗
 久留米 真理子(実の息子の妻) – 高橋美津子
 為頼 倫子(英介の亡妻) – 相築あきこ
港中央警察署
 仁川 康男(刑事課課長) – 兵動大樹
 太田 武司(刑事) – 馬場徹
 涌井(捜査一課係長) – 戸田昌宏
白神メディカルセンター
 伊原 忠輝 / イバラ(清掃員) – 中村蒼(少年時: 五味渕元
 南 サトミ(菜見子が担当している患者) – 浜辺美波
 橋本 広子(看護師長) – 和泉佑三子
横井 清美(白神の秘書) – 宮本真希

スタッフ

原作 – 久坂部羊『無痛』
脚本 – 大久保ともみ香坂隆史丑尾健太郎小川智子
演出 – 佐藤祐市木下高男山内大典
音楽 – 塩谷哲
主題歌 – Superfly「黒い雫」(ワーナーミュージック・ジャパン)[55]
挿入歌 – ミソッカス「闇夜のキャラバン」(avex trax)[56]
編成企画 – 清水一幸
プロデューサー – 貸川聡子(共同テレビ)
アソシエイトプロデューサー – 稲田秀樹(共同テレビ)
制作 – フジテレビ、共同テレビ
制作著作 – 共同テレビ

ドラマ 無痛〜診える眼~を観た人の感想

  • 医師の前に人間である。この物語で為頼が出した答えは、どうしようもできない痛みを持つ人を否定しないこと。尊重すること。痛みはその人自身だ。それは心の痛みも含め、人間として大切なことだと思う。
    幸坂かゆり

  • ちょくちょく気になる所はありましたが、見応えのあるドラマだったと思います!
    各キャラクターがしっかりとしていて、毎回じっくりと魅せてくれていたと思います。
    emitanの心にうつりゆくもの

  • 痛みを抱えながら生きるのが人間らしいだなんて、改めて人間の複雑さを考えさせられるドラマですよね。
    犯人と動機は何だった?ヒントや伏線があったのかも紹介!(懐かしドラマ名鑑)

タイトルとURLをコピーしました