だから殺せなかった

松本若菜(だから殺せなかった)
松本若菜(だから殺せなかった)

一本木透の小説(2019年1月31日、東京創元社刊、第27回鮎川哲也賞優秀賞)を原作として、2022年1月9日~2月6日の毎週日曜日22時~23時にWOWOW製作・連続ドラマWで放送。全5回。主演は玉木宏。

だから殺せなかったの原作


連続殺人犯と新聞記者による緊迫の紙上戦
「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」。大手新聞社の社会部記者の許に届いた一通の手紙。送り主は「ワクチン」と名乗り、首都圏全域を震撼させる連続殺人の凶行を詳述したうえで、彼に紙上での公開討論を要求する。絶対の自信を持つ殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。果たして、犯人の目的は――劇場型犯罪と報道の行方を圧倒的なディテールで描出した、第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。

だから殺せなかったの原作を読んだ人の感想

ドラマ だから殺せなかった

だから殺せなかった Netflix

だから殺せなかった Netflix

玉木宏は文句なしに渋いがストーリーは穴だらけ(ドラマ だから殺せなかったの感想)

主人公と同姓同名の元新聞記者だという原作者は寡作で、本作(2019)以降ひとつしか小説を発表していない。鮎川哲也賞を獲った本デビュー作は、加納朋子ら審査員が高く評価したと伝えられるが、ドラマとしては配役で大体犯人が読めてしまう上、後で書くように説明不足が甚だしい。

玉木宏の新聞記者は、前橋支局にいた19年前に市役所の汚職を暴いて東京本社に転属になったが、その記事によって前橋市の出納長は自殺し、その娘(とても38歳に見えない松本若菜が美しすぎる)との同棲生活が破綻、相手は出て行った。今は取締役である当時の上司に勧められて、その経緯を新聞に発表すると、都内で起こった2件の殺人の犯人は自分だとする手紙が新聞社に届く。こうして連続殺人犯と玉木宏の公開書簡が新聞に連載されることとなったが…という話。

配役でいうと、前橋人脈として取締役の渡部篤郎と、当時の群馬警察のキャリアで現警察庁長官官房審議官の甲本雅裕がおり、まずはこの二人の演技がいかにも怪しいのだが、ドラマは大学生の松田元太に、原作にはないことさらに怪しい動きをさせてミスリーディングし、クライマックスでは、初話から登場するエキセントリックな酒向芳の大学教授に罪を着せる。だが中盤に松田の嫌疑が晴れた時点で、配役的に、犯人はこの人しかいないと誰もが思うはずだ。

中盤、高岡早紀(これも原作にはいない、松田の大学のカウンセラーで、玉木の同窓生という設定)が、松田のことを「昔のあなたに似ている」と言うので、早くも決定的な因縁が察せられてしまうのだが、にもかかわらず、ドラマが完結してもわからないことがたくさんありすぎる。

最大の謎は、19年前に玉木を捨てて失踪した松本若菜は仕事もせずどこで何をしていたかということだ。序盤でさりげなく「失踪してから1年後に死亡が確認された」と曖昧に説明されるだけなのはいかにもおかしい。おまけに、すべてを知った玉木宏がタクシーを飛ばす先は、予想を裏切って松本の墓ではないのだった(普通は松本の墓前に赴くと思う)。松田にも母親への思い入れは皆無。

また、松本の父である出納長は、業者の便宜を図る見返りとして、娘の嫁入り衣裳のための反物を受け取っていたという、本当は悪人ではなかったかのような、鶴女房を思わせる作りものめいた設定にも違和感がある。

犯行の目的は虐待をめぐるものだが、その中からなぜ二人を選んで殺したのかがわからなかったり、被虐待児の名前を呼びながら殺したと言いながら品川駅港南台口での殺人ではそうした描写がなかったり、酒向芳を殺した理由もわからなかったりと、説明不足のまま投げ出された事柄はまだまだあり、せっかく終盤で明かされるタイトルの意味も、わりとどうでもいいと思ってしまうのだった(高岡早紀がすでに中盤で喝破していたから)。

玉木宏の演技は申し分なく、様になっているの一言。役者は全員良い芝居だった。
WOWOWオンデマンド

ドラマ だから殺せなかったのキャスト

一本木透 – 玉木宏
江原陽一郎 – 松田元太(Travis Japan / ジャニーズJr.)
江原茂 – 萩原聖人(幼少期:川口和空
石橋光男 – 古田新太
小川万里子 – 高岡早紀
吉村隆一 – 渡部篤郎
牛島正之 – 甲本雅裕
黛真司 – 長谷川朝晴
望月公平 – 高橋努
大熊良太 – 金井勇太
若山綾子 – 結城モエ
長谷寺実 – 八十田勇一
宮本勇吾 – 白石隼也
江原むつみ – 安藤裕子(幼少期:大島美優
白石琴美 –松本若菜
赤木圭佑 – 松澤仁晶
毛賀沢達也 – 酒向芳
長峰明憲 – 信太昌之
松本誠二郎 – 大石吾朗
後藤田良一 – 井上康
川井俊作 – 松嶋健太
沢田則夫 – ニクまろ
江原清 – 田村泰二郎
沢田隆志 – 正垣湊都
中村香織 – 花澄

ドラマ だから殺せなかったのスタッフ

原作 – 一本木透『だから殺せなかった』(東京創元社刊)
脚本 – 前川洋一
監督 – 権野元
音楽 – 木村秀彬
チーフプロデューサー – 青木泰憲
プロデューサー – 徳田雄久平部隆明白石裕菜
製作著作 – WOWOW
制作協力 – ホリプロ

ドラマ だから殺せなかったを観た人の感想

タイトルとURLをコピーしました