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どんだけ行き当たりばったりの無計画な暗殺計画なのか(ニック・オブ・タイムの感想)
30年近く前の映画だが、なぜか意外と古臭さはなかった。
サンディエゴからアムトラックに揺られてロサンゼルス駅に降り立った税理士ジョニデと5歳の娘は、謎の男女(クリストファー・ウォーケンとローマ・マフィア)に拉致され、女性知事を暗殺しろと脅されるが、というサスペンス映画。
劇中の時間と上映時間がほぼ同じリアルタイムムービーなので、暗殺当日の、それも90分前に、ウォーケンらがのんびり駅で暗殺者を物色していたのはいかにもおかしい(どんだけ無計画なのか)。しかもウォーケンは暗殺現場のホテルに同行し、ジョニデをこづき回しながら終始くっついているので、暗殺したいなら自分で殺ればいいじゃん…とは誰もが思うところだ。しかも知事の夫(選挙参謀)やSPも含めて取り巻きはみんなグルなのだから、いつでも暗殺できる状況なのである。
ウォーケンに見張られたジョニデは、目つきだけは鋭いのに驚くほど非力なのだが(途中で銃を乱射して悪人たちをなぎ倒す奇妙な夢想シーンがある)、ウォーケンはなぜか「お前はただ者ではない」と買いかぶっている。中盤時点での唯一味方は知事の秘書グロリア・ルーベンだけ(偶然にも2日続けてこの女優の映画を見てしまった)で、それもすぐに殺されてしまうので、その八方塞がりでサスペンスが盛り上がるのだが、ジョニデの動きが頭悪すぎのために納得がいかない。
なぜ知事が暗殺されなければならないのか、ウォーケンはどういう組織の人間なのか、黒幕らしき老人は誰なのか、といったことが明らかでないのは、まあいいのだが、ジョニデ父娘がサンディエゴに行っていたのは前妻の葬儀のためだとか、要らん情報も多い(伏線ですらない)。背景不明のまま、ただ90分のnick of timeにハラハラするだけの映画なのだった。
ニック・オブ・タイムのあらすじ
娘リンとロサンゼルス郊外のユニオン駅に着いた会計士のジーン・ワトソン(ジョニー・デップ)は突然、警官を装った不審な男女に娘を人質にとられ、カリフォルニア州知事候補(現知事)のエレノア・グラント暗殺を強要される。「90分以内に暗殺しないと娘の命はない。」と謎の男(クリストファー・ウォーケン)に脅迫され、終始監視される中、ジーンは知恵を絞り、あの手この手で警備や関係者に助けを求めるが、知事の警備陣にも暗殺グループが潜り込んでおり、うまくいかない。味方は暗殺される知事自身だけだと考えたジーンは知事の部屋に侵入し、協力を依頼する。時は刻一刻と迫り、ジーンは暗殺を遂行しようとするが…。
ニック・オブ・タイムを観るには?
ニック・オブ・タイム 見どころ
原題は「Nick of Time」(Nick =「刻み」「溝」、Nick of Time = (その瞬間の)時の刻み =「際どい時」という意味)。映画の中の時間と実際の時間がほぼ同じく流れるリアルタイム進行の演出や、ジョニー・デップの新たな一面が見られる映画である。90分と短尺だがテンポよく進行して飽きさせない。リアリティに欠ける部分やツッコミどころもあるものの、それらを含めて楽しめる。
- 見どころ1:臨場感
劇中の時間と上映時間(約90分)がほぼ一致しており、臨場感がある。手持ちキャメラの多用も相まって、緊張感が持続している。ただし、素人である主人公が暗殺を強要される設定や、警備の甘さなどはリアリティに欠ける。 - 見どころ2:俳優の演技
ジョニー・デップは本作で初めて父親役を演じたり、スーツ姿で登場したりして、従来のイメージを一新した。また敵役スミスを演じるクリストファー・ウォーケンの冷酷な演技が緊張感を与える。 - 見どころ3:ストーリーとテーマ
州知事の政策に反対する勢力の陰謀に主人公が巻き込まれるという設定は面白い。平凡な市民が突如として非日常の事件に巻き込まれる展開は、ヒチコック的でもある。
ニック・オブ・タイムのキャスト
Mr.スミス – クリストファー・ウォーケン
ヒューイ – チャールズ・S・ダットン
Ms.ジョーンズ – ローマ・マフィア
エレノア・グラント州知事 – マーシャ・メイソン
ブレンダン・グラント – ピーター・ストラウス
クリスタ・ブルックス – グロリア・ルーベン
リン・ワトソン – コートニー・チェイス
謎の男 – G・D・スプラドリン
ニック・オブ・タイムのスタッフ
脚本 – パトリック・シーン・ダンカン
製作 – ジョン・バダム
製作総指揮 – D・J・カルーソー
音楽 – アーサー・B・ルビンスタイン
撮影 – ロイ・H・ワグナー
編集 – フランク・モリス
公開 – アメリカ 1995年11月22日、日本 1996年5月18日
上映時間 – 90分
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