評価が高すぎる、手がたいドタバタコメディ(侵入者たちの晩餐の感想)
バカリズム物を2本続けて見た。
1本は年末放映されて各方面から絶賛されている本作。
もう1本はスタートしたばかりの冬ドラマ「ホットスポット」である。
本作は家事代行会社のスタッフである 菊地凛子が、同僚の平岩紙、その友人の 吉田羊とともに、会社社長・白石麻衣のハワイ旅行中に高級マンションに忍び込む話である。
彼女らの目的は、脱税している(という噂の)白石のタンス預金を盗み出すことだが、予想外に白石が急に帰宅したり、同じ部屋に空き巣の池松壮亮やコンシェルジュの角田晃広も忍び込んでいたりというドタバタになる。
コメディとしてはオーソドックスなもので、バカリズムはオリジナリティも加えて手がたく作劇しているが、あまりに手放しの好評判が多く、どうにも観る側の劣化を感じる。
バカリズムの本領はやはり女性たちの会話劇にあって、噛み合わなさのうちからギャグが浮き彫りになるところがおかしいのだが(本作で言うと、角田晃広がキモいと指弾されるくだり)、「 架空OL日記」で確立されたとおぼしいシスターフッド(共犯者たちの連帯とは違う)がエンディングになっている。
侵入者たちの晩餐のあらすじ
とある年の瀬の夜、家事代行サービス会社の社長・奈津美(白石麻衣)が暮らす豪邸に侵入する三人の女・亜希子(菊地凛子)、恵(平岩紙)、香奈恵(吉田羊)。1か月前、奈津美の会社で働いている亜希子は、社長が脱税をしていて自宅に大量の金を溜め込んでいるという噂を同僚から聞いた。常日頃から会社の方針や待遇に不満のあった亜希子は、友人の香奈恵とともに3人で社長の家に侵入し、そのタンス預金を盗み出すことに。首尾良く侵入を果たした三人を予想外の出来事が待ち受けていた。
侵入者たちの晩餐を観るには?
侵入者たちの晩餐を観た人の見どころ
バカリズムの独特な脚本と、実力派キャストの演技が光る本作は、サスペンスとコメディが融合したストーリー展開や、多層的な視点から描かれる物語構造が見どころ。
- 見どころ1. 巧妙な脚本構成
全15章で構成されており、章ごとに視点や状況が変化することで、物語が二転三転する展開。例えば第5章の「料理」では侵入者の一人が冷蔵庫の食材で料理を始めるなど、サスペンスからコメディへの転換が巧みに描かれる。 - 見どころ2. 女性たちのリアルな会話
女性たちの会話をリアルかつユーモラスに描くバカリズムの手腕が光る。登場人物たちの愚痴や皮肉、共感のズレなどが自然に表現されている。 - 見どころ3. 「正しさ」の境界線を問う
登場人物たちは、それぞれ自分の行動を正当化しようとする言い訳をします。「他にも良いことをしているから」「倫理的には問題ない」などの主張が交錯するおかしさが見どころ。 - 見どころ4. 多層的な視点と伏線回収
異なる登場人物の視点から同じ出来事を描くことで、ミステリーのような構造になっている。巧妙に伏線が張り巡らされており、再視聴することで新たな発見がある。 - 見どころ5. コメディとサスペンスの融合
緊張感のあるサスペンスと、緩やかなコメディが絶妙に融合している。
侵入者たちの晩餐のキャスト
田中亜希子(家事代行会社「スレーヌ」の清掃スタッフ) – 菊地凛子
小川恵(同僚の料理スタッフ) – 平岩紙
江藤香奈恵(恵のヨガ教室仲間) – 吉田羊
■周辺人物
藤崎奈津美(「スレーヌ」CEO、元グラビアアイドル) – 白石麻衣
重松洋介(配達員) – 池松壮亮
毛利貴弘(奈津美が暮らすマンションのコンシェルジュ) – 角田晃広
■その他
刑事 – 野間口徹
荒井秀治(香奈恵の元夫) – 勢登健雄
国税局の査察官 – 日下部千太郎
弁護士 – 角南範子
通行人 – 堀丞
アナウンサー – 渡邉結衣(日本テレビアナウンサー)