小さいおうち

黒木華、松たか子(小さいおうち)
黒木華、松たか子(小さいおうち)

中島京子の小説(別册文藝春秋2008年11月号(第278号)~2010年1月号(第285号)連載、第143回直木賞)を原作として、監督・山田洋次、主演・松たか子により映画化され、2014年1月25日公開。第64回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門選出、黒木華が最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。

小さいおうちの原作

小さいおうちの原作を読んだ人の感想

映画 小さいおうち

映画 小さいおうちの予告映像

映画 小さいおうちのあらすじ

大学生・健史の大叔母タキが亡くなり、遺品に赤い屋根の家の絵があった。また、タキが健史にうながされて大学ノートに綴った自叙伝があった。そんなに明るい時代ではなかったんじゃないの、と健史は言ったが、タキには未来に満ちた時代だった。
昭和11年、タキはおもちゃ会社常務の平井家に奉公することに。東京郊外に建てられたばかりのモダンな赤い瓦屋根の小さいおうちだった。平井と妻・時子、小児まひの息子・恭一らとの穏やかな暮らしが続く。時子は美人でやさしく『風と共に去りぬ』を愛読する聡明な女性だった。
おもちゃ会社の新入社員・板倉は時子と意気投合し、演奏会でも出会う。台風の際にも雅樹の留守中に駆けつけて泊まり、その夜、時子と板倉は接吻してしまう。
おもちゃ会社の存続のために板倉を結婚させたい平井は、時子に板倉を説得するように言うが、板倉の下宿に通ううちに時子の気持ちが揺れて恋愛へと発展するため、タキはその狭間で悩む。
板倉は戦況悪化とともに徴兵され、別れの挨拶に来るがそそくさと帰る。翌日、時子から手紙を託されたタキはある決断をする。その日、板倉は現れなかった。
戦局とともにタキは帰省するが、後に東京大空襲で平井と時子が防空壕で抱き合って焼死したことを知る。その後のことは健史には分からずじまいだった。
タキの死後、遺品の中から封がされたままの手紙が出てきた。大学を卒業した健史は恋人から絵本『ちいさなおうち』をプレゼントされ、「イタクラ ショージ展覧会」のポスターを目にしたことから、板倉が戦後画家になったと知る。イタクラ記念館には赤い屋根の家が描かれた作品があり、板倉は独身を貫いたようだった。
健史は恋人のユキと恭一の住む石川県に向かい、恭一に手紙を読んでもらうと、そこには「今日のお昼過ぎ一時ごろにお訪ねくださいませ。どうしてもどうしてもお会いしたく思います。必ずお訪ねくださいませ」と書いてあった。恭一は「この歳になって母親の不倫の証拠を見るとは」と嘆く。海岸を散歩しながら、恭一は、海が好きだ、昔よく板倉とタキに江ノ島に連れて行ってもらった、二人はお似合いだった、とポツリと語るのだった。

映画 小さいおうちの感想

些細な違いはあっても原作と大体同じ、なんてことはなくて、山田洋次はカットの積み重ねによって物語をサスペンスとして大胆に作り替えている。やはり映画とはそういうものなのだろう。

たとえば、吉岡秀隆が出征前日に松たか子に会いに来なかったと倍賞千恵子が書き残しているのは、原作とは逆なのだが、おそらく映画的ではないという判断があったのだろう。妖しい中嶋朋子黒木華とのシーンがいささか唐突に挿入されることで、サスペンスに奥行きを出している。
そうした手際は、さすがと思わせる。

映画 小さいおうちのキャスト

平井時子 – 松たか子
布宮タキ – 黒木華(若年期)、倍賞千恵子(晩年期)
平井雅樹 – 片岡孝太郎
板倉正治 – 吉岡秀隆
荒井健史 – 妻夫木聡
小中先生 – 橋爪功
小中夫人 – 吉行和子
貞子 – 室井滋
松岡睦子 – 中嶋朋子
柳社長 – ラサール石井
カネ – あき竹城
花輪和夫 – 笹野高史
花輪の叔母 – 松金よね子
平井恭一 – 秋山聡(幼年期)、市川福太郎(少年期)、米倉斉加年(晩年期)
酒屋のおやじ – 螢雪次朗
治療師 – 林家正蔵
荒井軍治 – 小林稔侍
荒井康子 – 夏川結衣
ユキ – 木村文乃

映画 小さいおうちのスタッフ

監督 – 山田洋次
脚本 – 平松恵美子、山田洋次
原作 – 中島京子
製作総指揮 – 迫本淳一
音楽 – 久石譲
撮影 – 近森眞史
編集 – 石井巌
公開 – 2014年1月25日
上映時間 – 137分

映画 小さいおうちを観た人の感想

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