GOLD

長澤まさみ(GOLD)
長澤まさみ(GOLD)

2010年7月8日~9月16日の毎週木曜日22:00-22:54にフジテレビ系「木曜劇場」枠で放送。主演は天海祐希。女手一つで4人の子供たちを育て上げた女性を通して、究極の家族愛を描くホームドラマ。

GOLDの感想

台詞は野島伸司らしく過激なもので、現実にはありえない、ドラマ言語とでも言うべきものであろう。これは天海祐希にぴったり、というか、「女王の教室」で慣れているというか。
かと思うと、「私はとても複雑な気持ちよ。」という信じられないセリフを武井咲が発していたりする変なドラマなのだが。

3話まで観たところで、どこに着地するのかがよくわからなくなった。

  • どうやら半ば本気と思える過激な育児論・教育論
  • エキセントリックな育児評論家の子供として生まれ育った息子と娘たちの思春期
  • オリンピックメダルに懸けられた二代にわたる人生
  • まだ明らかにされない理由によって妻と別居して自堕落に暮らす夫
  • 「プラダを着た悪魔」ふうの社長と社長秘書の軽妙なコント

書き出してみると、意外とうまく収斂しそうな気もするが、実際には、奇妙なバランスでこれらがつながっていて、何をやりたいのかが見えない。エド・はるみの扱いなど、今後よほど大きくかかわってこないとおかしいのだが、どの部分でからむのか、予想がつかないのである。
長澤まさみはやっぱり整っているのだが、このドラマに必要なのかどうかするわからないというのはどうよ。

ひとつの見方は、ビジネス哲学的なやり方で人生に打ち勝っていく天海祐希の生き方を示すドラマというものだ。
少なくともドラマの中心は毎回の天海祐希(左右が完全に対称な完璧な顔である)のスピーチシーンにある。背筋をぴんと伸ばし、「この人間は一体何を自分に言ってるのかしら?」むっという顔で相手をまっすぐ見つめているところは、恰好よすぎるのだが、相手の感情を支配するスピーチは、ウィットや起伏に富んでいるようでいて、本質的には恫喝であり、結論はどちらに転がっても不思議がない、あまり中身のないものである。
たとえば5話のスピーチは、男性と女性の関係についてであった。
男性は弱くて見栄を張る生き物であり、だからこそ女性は男に見栄を張らせ、働かせ、戦争にも行ってもらわねばならないと語り、締めは「女性の財布は見せるだけ、ビタ一文払ってはいけません」というものだが、この場面とシンクロして、オリンピックの決勝会場で、寺島進が天海祐希の姿に闘志を奮い立たされた話が語られりするのだが、これも、基本的にはどうでも良い話だよなあ。
相手の出方を験す単なるブラフであったりすることが、後からの長澤まさみとの会話で明らかにされたりするので、これはつまり交渉術である。

反町隆史と「ジョージ」「ユーリ」と呼び合うのは恥ずかしすぎるのでやめてほしい。

そして、案の定、最終回はとても受け入れがたいものだった。
松坂桃李は前日までギプスをしていて練習もアップすらもしないのに日本新を出し、併せ馬扱いされた矢野聖人を抱く天海祐希は背が高すぎ、ついで寺島進をかき抱く場面もあるが、こっちはほとんど親子みたいだった。これだけガタイがいいのなら、自分がオリンピックに出てはどうか(中盤に、武井咲をプールサイドでビンタしつづける出色のシーンがあったが、身長のせいで、すごい迫力だった)。
天海は「若者たち」を歌い、子どもたちは「飛び出せ!青春」みたいに手を重ねる。ビーチャイとかいう以前に、これは…
賀来千香子が子どもを失うことを予言したりする話の意味もよくわからない。
長澤まさみは最後まで傍観者のまま。
楳図かずおの「おろち」のようなもの、というと褒めすぎになる。
単に、暗すぎる展開にコントふうの場面を入れることで印象をごまかしたかっただけであろう。

たかだか9週とか11週の間、1時間弱だけ見る者の感情を揺らすドラマというメディアは、基本的に、どうでもいいものの最たるものである。しかし本作は許しがたい。

GOLDのキャスト

早乙女家
 早乙女 悠里 – 天海祐希
 早乙女 修一 – 水上剣星
 早乙女 洸 – 松坂桃李
 早乙女 廉 – 矢野聖人
 早乙女 晶 – 武井咲
 早乙女 朋 – 大江駿輔
 早乙女 惣一 – 夏八木勲
YSコーポレーション
 新倉 リカ – 長澤まさみ
 相馬 幸恵 – 賀来千香子
 雨宮 千恵子 – 小林まり枝
 保坂 次郎 – 志賀廣太郎
 蓮見 丈治 – 反町隆史
丹羽家
 丹羽 聖子 – エド・はるみ
 丹羽 勝 – 水野真典
その他
 明石 辰也 – 寺島進
 宇津木 洋介 – 綾野剛
 館川 博 – 伊藤正之
 椎名 涼子 – 波瑠
 椎名 哲夫 – 平田満
 小池 哲也 ‐ 長谷川公彦
 洋介の母 – 天彩音のん
 神代 洋治 – 名高達男
 神代 沙織 – 佐藤めぐみ
 神代 麻衣子 – 南沢奈央
 大沢 – 小野武彦
 笹岡 みどり – 宮崎美子
 男 – 波岡一喜
 笠原 真理恵 – 倍賞美津子

GOLDのスタッフ

脚本 – 野島伸司
音楽 – 千住明、池頼広
演出 – 河毛俊作加藤裕将石井祐介
主題歌 – Superfly「Wildflower」(ワーナーミュージック・ジャパン)
挿入歌 – Superfly「Fooled Around and Fell in Love」(ワーナーミュージック・ジャパン)
プロデュース – 東康之
制作 – フジテレビドラマ制作センター

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