(幻の女の感想)
アイリッシュの小説とは関係ない。
小樽の海沿いで「北ホテル」の支配人を務める古谷一行は元刑事で、誘拐事件の身代金受け子を射殺したことから辞職し、娘(垣内彩美)を連れて北海道にやってきた。東京には、バーを経営する別れた妻の増田惠子がいるが、これは後妻で、前妻(垣内の母親)は死んでいる。なんでそういうややこしい設定なのかはわからず、要は古谷をモテ男の設定にしたかったのか。増田の役割もよくわからないのである。
垣内彩美(幻の女)
増田惠子(幻の女)
ある日、なぜか前妻そっくりの有森也実がホテルに流れ着く。これが「幻の女」ということだが、有森はどうやら銀行強盗を手引きした信用金庫の職員で、さらに古谷が射殺した男の娘なのだった。復讐を誓って小樽にやってきたものの、流木で仏を彫る古谷の姿を見て復讐を諦めた有森である。
クライマックスは警察が現れて、銀行強盗犯と漁船で逃げる有森は小樽の海に消える(本当にどうなったのかわからない)。有森には病気で小樽の病院に入院している妹がいて、という話もあるのだが、不要なエピソードに思えた。
という雰囲気だけでメチャクチャな話なのだが、その雰囲気(過去の償いのために娘と北のホテルを経営している古谷一行)が好評だったのだろう、次作「北ホテル」以降3作も続くシリーズになっている。死んだはずの有森也実は、以降は診療所の医師として、しれっと残り続けた(ということから、本作はさすがに「シリーズ0作」と別格扱いなっている)。
幻の女の見どころ
- 古谷一行の元刑事役
古谷一行演じる沢地慎吾は元警視庁の刑事。現在は北海道小樽市忍路にある小さなホテル「北ホテル」の雇われ支配人。過去の事件が現在に影を落とすという設定が深みを与える。 - 過去の悲劇と償いの物語
沢地は刑事時代に起こったある事件で無関係な人物を射殺してしまい、それが原因で刑事を辞職し、小樽へ移住した。「償い」というテーマが根底にある。 - 「幻の女」の正体と人間ドラマ
物語は沢地のホテルに泊まりに来た女性・加世子(有森也実)が、東京で起きた銀行強盗事件の犯人だと気づくところから展開する。実は加世子は沢地が過去に射殺した男の娘で、妹の手術代のために銀行強盗に加わっていた。二人の関係性がサスペンスを超えた人間ドラマを生み出す。 - 有森也実の一人二役
有森也実が、事件の鍵を握る加世子と、沢地の亡き先妻・ミチヨの二役を演じている。これがタイトル「幻の女」のゆえん。 - 小樽の美しい風景
舞台は北海道小樽市。吹雪の小樽の風景などが映像美として描かれる。 - 安全地帯のエンディングテーマ
エンディングテーマは安全地帯の「出逢い」。
幻の女のあらすじ
沢地慎吾(古谷一行)は、かつて伝説の名刑事と呼ばれたが、営利誘拐事件の身代金引き渡しで無関係の入江徳市(酒井敏也)を誤って射殺した責任を感じ、北海道の海沿いの小さなホテルの管理人として娘・真実(垣内彩未)と暮らしている。真実の実母は早くに亡くなり、後妻の礼子(増田恵子)は不倫の末に失踪していた。ある日、ホテルに宿泊した一人旅の客・奥野加世子(有森也実)が、真実と仲良くなるが、沢地はかつての部下・吉村(塩見三省)から、彼女が実は銀行強盗事件の手引きをした容疑者・矢野和枝であることを知る。主犯格の相馬(李鐘浩)は仲間を殺して逃走中で、沢地は加世子の過去と事件の真相に迫ることになる。
幻の女を観るには?
幻の女のキャスト
沢地ミチヨ(沢地の先妻・故人) – 有森也実(二役)
島岡(刑事) – 中西良太
杉田敏江(北ホテルの手伝いをしている女性) – 石井トミコ
相馬健二(強盗事件の主犯格) – 李鐘浩
中尾武(強盗事件の共犯) – 林和義
コンノ(北海道警察 刑事) – 岸端正浩
入江の親族 – 森山米次
所轄刑事 – 宇納侑玖、首藤健祐
看護師 – 賀屋直子
加奈(スナックのホステス) – 飯田未
西村良人の母 – 渡辺朋子
釣り客 – ささげ敏夫
入江薫(入江の娘・和枝の年の離れた妹・心臓を患っている) – 中島妙子(幼年期:船橋かりす)
入江徳市(季節労働者・10年前に沢地に射殺される) – 酒井敏也
吉村(刑事・沢地の元部下) – 塩見三省
沢地礼子(新宿のスナックのママ・沢地の後妻) – 増田惠子