星の子

涙が出そうになった（星の子の感想）

GWの気まぐれで秦野のエモい市街を散策したちょうどその夜にこの映画を見たら、昼に見たばかりの景色が広がっていて、なんだか縁を感じた。

映画は 芦田愛菜 の秀才ぶりがよくわかるもので、頭の良すぎる演技に唸らされる。
そしてラストシーンの、永瀬正敏 と 原田知世、芦田の3人が夜空を見つめるのを正面から捉えた長いカットが感動的で、涙が出そうになった。

星の子　見どころ

新興宗教の信者である両親のもとで育った少女ちひろの葛藤と成長を描いたドラマである。

1. 芦田愛菜の繊細な演技
   芦田愛菜さんが、両親から惜しみない愛情を注がれながらも、新興宗教という特殊な環境で育ち、世間とのズレを感じ始める中学3年生のちひろを繊細に演じた。両親を愛する気持ちと、自身の抱く違和感の間で揺れ動く心の機微が、表情や仕草から伝わる。
2. 「信じること」の問いかけ
   テーマは「信じること」。両親が盲目的に信じる宗教、そしてちひろが両親の愛情を信じること。さらに彼女自身が何を選択し、何を信じて生きていくのかが問われる。映画は宗教を肯定も否定もせず、中立的な視点で描かれる。
3. 家族のあり方
   奇妙な儀式や貧しい生活の中でも、ちひろの両親（永瀬正敏、原田知世）は娘に深い愛情を注ぐ。愛情ゆえに宗教を信じる両親と、そんな両親を愛しながらも、次第に外の世界に目を向けていくちひろの関係性が描かれる。
4. 豪華な実力派キャスト
   両親役の永瀬正敏、原田知世、ちひろが惹かれる新任教師役の岡田将生、家出した姉役の黒木華など、豪華な実力派俳優陣が登場。永瀬と原田演じる両親の純粋であるがゆえの危うさが印象的。
5. 人間の内面に迫る大森立嗣監督の世界観
   『日日是好日』『MOTHER マザー』など、人間の内面や家族の関係性を深く掘り下げる作品を手掛けた大森立嗣監督。登場人物たちの心の揺らぎや葛藤を丁寧に描き出す。

トリビア・撮影裏話

• 芦田愛菜は、ちひろという役について「自分の意見を持っていて、周りで起こっていることを受け止めて考えて意見が持てる子」と解釈、撮影前に髪をばっさりカット。
• 芦田愛菜は大森監督とのセッションについて、「監督と話していくうちにヒントをいただいていた感覚でした。すごく委ねてくださっている感じがしたというか、監督と2人でちひろを作り上げていく感覚が楽しかった」と述懐。
• ちひろが恋するイケメン先生が友人と一緒に家まで送ってくれた際、公園で緑のジャージを着て頭にタオルを載せている両親を目撃され、友人の男子が「俺、本物の河童かと思った。だって全身緑だし」というセリフを言うシーンが印象的。
• 大森監督は「この世の中には、分かろうとしたって分からないことはいっぱいある」と語り、ちひろがそれを考え続けていることがこの映画の核だと述べている。

星の子　あらすじ

ちひろ（芦田愛菜）の父（永瀬正敏）と母（原田知世）は娘にたくさんの愛情を注いで育てていたが、病弱だった幼少期のちひろを治した怪しい宗教を深く信仰していた。中学三年生になったちひろは、新任のイケメン先生に一目惚れする。しかし、夜の公園で奇妙な儀式をする両親の姿を先生に見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起こり……。

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星の子　キャスト

林ちひろ – 芦田愛菜
南先生 – 岡田将生
雄三おじさん – 大友康平
海路さん – 高良健吾
昇子さん – 黒木華
まーちゃん – 蒔田彩珠
林ちひろ（幼少期） – 粟野咲莉
なべちゃん – 新音
和歌子おばさん – 池谷のぶえ
落合さん – 池内万作
ツダさん – 宇野祥平
さなえ – 見上愛
春ちゃん – 赤澤巴菜乃
新村くん – 田村飛呂人
麻美先生 – 大谷麻衣
ちひろの父 – 永瀬正敏
ちひろの母 – 原田知世

星の子の人物相関図



星の子のスタッフ

原作：今村夏子『星の子』（朝日文庫 / 朝日新聞出版刊）
監督・脚本：大森立嗣

星の子の原作



今村夏子「星の子」（朝日文庫）


林ちひろは中学３年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。《巻末対談・小川洋子》