ソウ3を観るには?
話が行きつ戻りつしながら進んでいくので、途中脱落しにくい――ソウ4

ベッツィ・ラッセル(ソウ4)
本作からリー・ワネル、ジェームズ・ワンの名が消え、フランチャイズ映画となった(この用語を今知った)。監督は前作と同じ。
映画はトビン・ベルの死体の解剖シーンから始まるのだが、実は本作のストーリーが全部終わった後にこのシーンが来るという時系列で、全体が前作と並行していることが最後にわかる。だから前作ラストで予告されたジェフ刑事の娘の話は進展しない。その代わり、トビンの元妻と名乗るベッツィ・ラッセルが現れ、開発会社を経営していたトビンがジグソウになった経緯が描かれる。
メインのストーリーは前作同様のタスク型で、前作にも出ていたSWATの隊長が、正義への執着を捨てるゲームをさせられる話なのだが、FBIの捜査官が男女で出てきて、その男の方と、拉致されているホフマン刑事が紛らわしい。ホフマンが協力者だったというオチなのだったが、どうもピンと来なかった。
本シリーズは1話完結ではなく、行きつ戻りつしながら進んでいく形式なので、途中でやめにくい。まだ先は長いのだが、やはりこのまま最後まで見るしかないのか。
ソウ4のあらすじ
ジグソウの遺体の胃からロウで固められたカセットテープが発見された。ホフマン刑事が再生すると、ゲームはまだ終わっていないというジグソウのメッセージだった。
ホフマンとリグス指揮官率いるSWATはケリー刑事の遺体を発見。FBIからストラム捜査官とペレーズ捜査官も到着し、現場の様子からジグソウには協力者がいると考え、ジグソウの元妻ジルを尋問する。
リグスは拉致され、自宅のバスルームに横たわっていた。ドアを蹴破るとテレビ画面に映った人形がゲームの開始を告げた。リビングに進むと、少女売春を斡旋しているブレンダ、3度無罪になった連続レイプ犯アイヴァン、娘を虐待しているレックスとその妻モーガン、そしてジルの写真などがつるされており、奇怪な装置をセットされたブレンダが椅子に縛り付けられていた……
一方、失踪していたエリック刑事は吊るされ、ホフマンが何かに座らされている。壁の時計が90分をカウント・ダウンし始める。
ソウ4を観るには?
恒例の「ゲームオーバー」というセリフが消えた――ソウ5

ジュリー・ベンツ(ソウ5)
監督が「ソウ2」以降のプロダクションデザイナーだったデヴィッド・ハックルに代わるが、もはやフランチャイズムービーとして、独立した映画というよりは年に1度(公開はいつもハロウィンシーズンだ)のドラマシリーズというほうが近いので、あまり気にはならない。
物語は、前作で見分けがつきにくかったホフマン刑事とFBIのストラム捜査官の一騎打ちである(序盤で水責めのゲームに参加させられたストラムは、ボールペンで喉を刺して一命をとりとめたので、「絆創膏を貼っているのがストラム…」と思いながら見ていた)。
メインは、8人の死亡者を出した都市開発に関係する5人(ジュリー・ベンツの開発会社副社長、ヘラルドの記者、火災調査員、都市計画局職員、富豪の息子)が地獄めぐり的にタスクをこなしていくゲーム。しかし、いつのまにかゲームが「犠牲を払って生き延びるもの」になっている気がするな…(最初はそうでなかった気がする)。ゲームは5人が協力してクリアしていけば最小限の犠牲で済んだものだったが、足を引っ張りあったために最後のゲームに挑んだのが2人で文字通り無理ゲーになるというオチ。
このゲームを計画したのは死んだトビン・ベルなのか(たぶんそうなのだろうけど)、よくわからなかった。実行しているのはホフマンなのだが、哲学者を思わせるトビンのジグソウに比べると、ホフマンは「ただの悪いやつ」であり、ストラム捜査官は罠にかかってぺちゃんこになってしまう。「ゲームオーバー」という恒例のセリフがなかったが、もしかしたらガラスの箱に入ったホフマンがそう言っているのに聞こえなかった、ということなのではないか。
ソウ5のあらすじ
ジョンの殺害現場に居合わせたストラムは、豚の面をかぶった人物に襲われ、水死させられそうになるも無事生還。一方、ホフマン警部はストラムに濡れ衣を着せ殺害する計画を実行していた。喉を負傷したストラムはジョンの早期復帰し、協力者を探し出そうとするが、ペレーズ捜査官や部下を大量に失ったため上司に阻まれ、単独で捜査することに。同じ頃、ジョンの元妻ジルは弁護士から遺品を手にしていた。
ホフマンはセス・バクスターに妹を殺害されていた。バクスターはジグソウの拷問器で無残な死を遂げていたが、犠牲を差し出したにもかかわらず殺されていたこをとストラムは不審に感じる。証拠資料をFBI本部から拝借して捜査するストラムを、上司はジョンの協力者ではないかと勘繰り始めた。
新しいゲームを始めたホフマン。5人の男女が目覚めると、首には首輪と後部の巨大な刃に繋がれたひも、目前には鍵の入った箱が5つ。ジグソウのビデオが「協力し、いままでとは違う方法で生き残れ」と命じる。5人は疑心暗鬼の中、一人ずつ葬り去ることにした。一方、ストラムはホフマンとジョンに関連があると悟り、そのきっかけを探っていた。バクスターを殺害したのはホフマンで、妹を殺害された復讐にジグソウの存在を借りたのだった。それがばれたホフマンは、ジョンに仲間として引き入れられ、資料の横流しや証拠隠滅に手を借りていたのだった。
ストラムはホフマンとの一騎打ちに挑み、透明の箱に彼を追い詰めたが、部屋の壁が近づいてきて、壁に押しつぶされた。一方、FBIのエリクソンはストラムの携帯電話の位置情報からホフマンがゲームを始めた場所にたどり着き、生存者2名を救出。ホフマンの思惑通り、ストラム捜査官はこの世から消え、彼に濡れ衣を着せることに成功したのだった。



