『スネーク・アイズ』(原題: Snake Eyes)は、1997年にアメリカで製作されたサスペンス映画。
一万四千人の観衆が集まったアトランティックシティ(ニュージャージー)のバンクアトランティック・センター。そこで行われていたボクシングのヘビー級タイトルマッチの最中、VIP席にいたカークランド国防長官が暗殺された。現場にいた地元の汚職刑事リック・サントーロは犯人捜査を進めるうち、そこに巨大な陰謀が仕組まれていることに気付く。
なお、Snake eyesとは、米俗語でサイコロの「1のゾロ目」のことであり、クラップス賭博においては「振り手の負け」という出目であるため、そこから転じて「もう駄目、一巻の終わり」という意味もある。
見るのは二度目だが、嫌いではない映画だ。
舞台はハリケーン来襲中のアトランティックシティ、地元TV局のリポーターが中継する、ボクシングのヘビー級タイトルマッチを観覧しに来た国防長官をとらえた「映像が映るテレビ」のパンから始まり、現場スタジアムの中を縦横に動き回るニコラス刑事をステディカムで追い、ウォークウエーを通って1万4000人の観客がいるリングサイドで終わるかと思わせて、さらに主要人物全員の動きをおさめつつ、試合のヒートアップに乗じた国防長官の射殺まで続く長回しで映画は始まる。この間、ニコラス刑事は喋りっぱなしである。
この13分の長回し(実際には合成があり擬似的なもの)は、物語の中で主要人物の数だけ別角度から反芻されるという念の入ったものである(こっちの方がすごい)。そしてその後も、一人称キャメラによる長回し、スプリット、複数の部屋の俯瞰パン、すり抜け、監視カメラ映像など、デ・パルマ節の集大成が最後まで持続するのだが、これは「ミッション・インポシブル」のヒットで得た資金をすべて注ぎ込むことで実現したと言われる。中でも、一人称キャメラが鏡を介して三人称に切り替わるというあっと驚くシーンには唖然とさせられる。
ニコラス刑事とコンビを組むヒロインは金髪カツラ(!)を付けたイタリア系のかわい子ちゃんカーラ・グギノ (下着姿が色っぽい)で、これがまたいかにもデ・パルマ好みな感じなのがたまらない。
キャスト
リック・サントーロ:ニコラス・ケイジ
ケヴィン・ダン:ゲイリー・シニーズ
ギルバート・パウエル:ジョン・ハード
ジュリア・コステロ:カーラ・グギノ
リンカーン・タイラー:スタン・ショウ
ルー・ローガン:ケヴィン・ダン
ジミー・ジョージ:マイケル・リスポリ
チャールズ・カークランド国防長官:ジョエル・ファビアーニ
サイラス:ルイス・ガスマン
ネッド・キャンベル:デヴィッド・アンソニー・ヒギンズ
ウォルト・マクガーン:マイク・スター
アンシア:タマラ・チュニー
ミッキー・アルター:チップ・ジーン
CJ:マーク・カマチョ
セレナ:ジェイン・ハイトメイヤー
ゴードン・プリツカー刑事:ピーター・マクロビー
スタッフ
監督:ブライアン・デ・パルマ
製作:ブライアン・デ・パルマ
原案:ブライアン・デ・パルマ、デヴィッド・コープ
脚本:デヴィッド・コープ
撮影:スティーヴン・H・ブラム
音楽:坂本龍一