フィッシュストーリー

多部未華子(フィッシュストーリー)
多部未華子(フィッシュストーリー)

伊坂幸太郎の短編(小説新潮2005年10月号初出)を原作として、2009年3月20日に公開。監督:中村義洋。配給:ショウゲート。『アヒルと鴨のコインロッカー』と同じ制作スタッフによって手がけられた。シンガーソングライターの斉藤和義が作中に登場するロックバンドの楽曲プロデュースおよびエンディングテーマを担当した。オリジナル・サウンドトラックとして、劇中に登場するロックバンドを演じた出演者の演奏・歌唱によるCDアルバム「FISH STORY」が「逆鱗×斉藤和義」名義でリリースされた。

フィッシュストーリーの原作

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」 (新潮文庫)

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」 (新潮文庫)

フィッシュストーリーの原作のあらすじ

<二十年前>
大学助手の「私」こと雅史は、愛読する小説『フィッシュストーリー』を元に作られた日本のロックバンドの曲があるという話を同僚から聞き、中古のLPレコードを手に入れる。曲をカセットテープにダビングし、自動車内で聞きながら峠道を走っていると、ある事件に遭遇する。
<現在>
システムエンジニアの「わたし」こと麻美は、小説『フィッシュストーリー』の愛読者。所用で乗り込んだ飛行機内で隣同士になった「正義の味方」を名乗る男から奇妙な身の上話を聞く。その直後、機内でハイジャック事件が発生する。
<三十数年前>
4人組のロックバンドのメンバー「俺」こと繁樹は、小説『フィッシュストーリー』をもとにした新曲の歌詞をマネージャーの岡崎に見せる。4人は解散を控え、最後のレコーディングに臨もうとしていた。
<十年後>
新聞記者の「僕」は、麻美をインタビュー取材する。麻美は世界規模のコンピュータネットワーク破壊の兆候を発見し、事件を未然に防いでいた。

フィッシュストーリーの原作を読んだ人の感想

映画フィッシュストーリーのあらすじ

<2012年>
地球は巨大隕石衝突の危機にさらされており、隕石に宇宙船で近づき、内部に核ミサイルを撃ち込んで爆破する「アルマゲドン計画」が実行されようとしている。人けのなくなった商店街で営業を続けている中古レコード店を訪れた末期癌患者の谷口の絶望をよそに、店主は、早すぎたパンクバンド「逆鱗」が1975年に録音したアルバム「FISH STORY」を常連客に紹介する。爆発音が聞こえ、飛び出した店主たちは隕石が粉々に飛び散っていくのを目撃。その後のニュースで、日本人女性宇宙飛行士の活躍が称えられる。女性は宇宙飛行未経験の若き数学者で、高度な計算でミサイルの軌道を割り出し成功率0%に近い作戦を成功に導いたのだった。
<2009年>
進学校の理数科に通う女子高生の麻美は修学旅行中にフェリーを降りそびれて取り残される。フェリーのコックは彼女をなぐさめ、「自分は『正義の味方』になるべく父親に厳しく鍛えられた」という身の上話を始めた。そこに銃で武装した新興宗教団体「ノアの箱舟」が現れ、船の乗っ取りを宣言。「正義の味方」はその内通者だったが、一味が抵抗する乗客を傷つける様子を見て、得意の武術で一網打尽にする。
<1999年>
「ノアの箱舟」の教祖谷口は世界の滅亡を予言したが、何も起こらなかったので、信徒の健太郎は谷口を殴り飛ばす。幹部のスズキとタナカが「本当の滅亡は2009年です」と宣言し、谷口を追放。谷口は「違う。もし次に可能性があるとすれば2012年だ」と反論するが、聞く耳を持つ者はなかった。健太郎に誘われた友人の悟は黙ってその場を離れる。
<1982年~「正義の味方ができるまで」>
大学生の雅史は友人の悟と健太郎を自動車に乗せ、峠のレストランで開かれるコンパに向かっていた。レコードマニアの悟は「逆鱗」の「FISH STORY」をダビングしたカセットテープを持ち込み、同曲にまつわる都市伝説を紹介する。「FISH STORY」は間奏部分が約1分間突然無音になる楽曲だが、「女の幽霊の叫び声が録音されたために消された」といわれている。無音にしたはずの個所でたまに叫び声が聞こえることがあると悟は告げたため、気弱な雅史は震え上がる。
レストランにいた女子大生・晴子は予知ができると自称し、雅史に「やるじゃない」と謎めいた声をかける。健太郎は嫌がる晴子を無理やりモーテルに連れ込み、それをとめられなかった自身にいら立った雅史は帰路、大音量で「FISH STORY」をかけ、無音部分に差し掛かったところで女性の叫び声を聞いた。それは中年の男に襲われている若い女性のものだった。雅史は勇気を振り絞り、男を追い払う。雅史はその女性と結婚し、男児をもうけた。雅史は息子に勇気の大切さを説き、「正義の味方」とすべく厳しい武術の稽古を仕込み始める。「正義の味方」は幼くして複数の大人に勝つほどの腕前となる。
<1973年~1975年>
キャバレーでガレージロックを演奏して顰蹙を買っていたロックバンド「逆鱗」は、レコード会社「レモン」のマネージャー・岡崎にスカウトされるが、売れないまま2年契約が満了を迎え、3枚目のアルバムのレコーディング後バンドは解散する運びに。岡崎は新曲制作を手助けすべく、「逆鱗」のソングライター・繁樹に、自身の愛読書『フィッシュストーリー』を手渡す。『フィッシュストーリー』は岡崎の叔母が勤めていた出版社が出した海外小説だが、でたらめな訳文のまま印刷されて回収になった。叔母はこっそりその一冊を保管していた。
『フィッシュストーリー』を気に入った繁樹は、「僕の孤独が魚だとしたら」という書き出しを引用して歌詞を書き、新曲「FISH STORY」を完成させる。マスターテープの納品期限が迫り、バンドは一発録り・1テイクのみで行われたが、間奏中にヴォーカリストの五郎の声が入ったため、その部分だけ無音にすることになった。
「逆鱗」行きつけの居酒屋に、岡崎が息子を連れてやって来る。「逆鱗」と岡崎は「FISH STORY」=ほら話になぞらえ、「何十年後かに曲を聞いた男女が恋に落ち、その子供が世界を救うといいな」と笑い合う。岡崎の息子は成長後、中古レコード店を開業する。
<1953年>
ある出版社。「A Fish Story」の原文と出版権を手にしたものの、翻訳家がおらず困り果てていた出版社の社長は、英語の素養のない男を雇う。生活費を稼がなければならない男は原文を持ち帰って辞書を片手に「My own solitary fish story(私のとっておきのほら話)」を「僕の孤独が魚だとしたら……」と訳しはじめる。

映画フィッシュストーリーの感想

中村義洋による伊坂幸太郎の映画化シリーズで、今回も濱田岳が出ているが、伊藤淳史も出ていて、記憶の中でごっちゃになるw

別な小説から設定を引っ張ってくるということをやっているが、伊坂作品を知り抜いているこの監督ならではで、違和感がない。

1953年、1975年、1982年、1999年、2009年、そして現在(2012年)という6つの時代のエピソードを並行して描くという伊坂幸太郎節が炸裂するストーリーで、これらのつながりを最後にコマ落としで説明するという丁寧さもこの監督ならではであろう。

それにしても多部未華子のセーラー姿は最強である。

映画フィッシュストーリーのキャスト

繁樹(1975年:「逆鱗」のリーダー兼ベース) – 伊藤淳史
五郎(1975年:「逆鱗」のヴォーカル) – 高良健吾
麻美(2009年:シージャックに巻き込まれた女子高生 / 2012年:宇宙飛行士) – 多部未華子
雅史(1982年:気弱な大学生 / 199X年:「正義の味方」の父) – 濱田岳
正義の味方(2009年:フェリーのコック) – 森山未來
正義の味方(199X年:岩井進士郎” show=””](子役)
岡崎の息子(2012年:レコード屋店長) / 岡崎(1975年:レコード会社マネージャー) – 大森南朋(二役)
岡崎の息子(1975年) – 原正幸(子役)
出版社の社長(1953年) – 中村有志
岡崎の叔母(1953年:出版社社員) – 浅野麻衣子
ハーフじゃなかった男(1953年:偽翻訳家) – 岡田眞善
鉄矢(1975年:「逆鱗」のドラム) – 渋川清彦
亮二(1975年:「逆鱗」のギター) – 大川内利充(DRIVE FAR)
波子(1975年:繁樹の彼女) – 江口のりこ
キャバレーのマネージャー(1975年) – 山下敦弘
谷(1975年:レコードプロデューサー) – 眞島秀和
健太郎(1982年:雅史の友人 / 1999年:新興宗教信徒) – 山中崇
悟(1982年:雅史の友人 / 1999年:新興宗教信徒) – 波岡一喜
晴子(1982年:予知をする女子大生) – 高橋真唯
由紀(1982年:晴子の友人) – 加藤侑紀
綾(1982年:晴子の友人) – 井上佳子
強姦魔(1982年) – 滝藤賢一
運命の女性(1982年:のちの雅史の妻) – 大谷英子
谷口(1999年:新興宗教教祖 / 2012年:レコード屋の客) – 石丸謙二郎
スズキ(1999年:新興宗教幹部 / 2009年:シージャック犯) – 芦川誠
タナカ(1999年:新興宗教幹部 / 2009年:シージャック犯) – 野仲イサオ
老夫婦(2009年:フェリー乗客) – 上田耕一草村礼子
好青年(2009年:フェリー乗客) – 田村圭生
麻美の友人(2009年) – 大道彩香(クレジットなし)
レコード屋の客(2012年) – 恩田括
アナウンサー(2012年) – 金井淳郎

映画フィッシュストーリーのスタッフ

監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
プロデューサー:遠藤日登思宇田川寧
脚本:林民夫
撮影:小松高志(JSC)
照明:松岡泰彦
録音:高野泰雄
美術:仲前智治
装飾:天野竜哉
VE:鏡原圭吾
編集:大畑英亮
VFXスーパーバイザー:大萩真司(パイプライン)
音響効果:西村洋一(東洋音響)
助監督:平林克理
VFXプロデューサー:篠田学(パイプライン)
監督助手:岩渕崇、名倉良祐、石畠聖子
特殊造形:原口智生、森田誠
楽器・スタジオ機材監修:近藤祥昭
楽器演奏指導:田中拓人、重松啓
歌唱指導:富永TOMMY弘明(BLUFF)
アクションコーディネーター:吉田浩之(ユーデンフレームワークス)
ガンエフェクト:大宮敏明、早川光(パイロテック)
カースタント:海藤幸廣、大谷奈津江(アクティブ21)
音楽エディター:佐藤啓
音楽:菊池幸夫
音楽プロデューサー:佐々木次彦
テーマ曲:逆鱗「FISH STORY」
プロデュース:斉藤和義 作詞:斉藤和義・伊坂幸太郎 作曲・編曲:斉藤和義
エンディング曲:斉藤和義「Summer Days」(SPEEDSTAR RECORDS)
作詞・作曲・編曲:斉藤和義
オリジナルサウンドトラック:SPEEDSTAR RECORDS
映像提供:『秘密戦隊ゴレンジャー』(石森プロ・東映)
宣伝:ショウゲート、ミラクルヴォイス、アミューズソフトエンタテインメント
ロケーション協力:駿河湾フェリー、GOK SOUND
製作:松崎澄夫、安永義郎、橋荘一郎、キム・ジュソン、久松猛朗、山崎浩一、春名慶、喜多埜裕明
「フィッシュストーリー」製作委員会:アミューズソフトエンタテインメント、博報堂DYメディアパートナーズ、テレビ東京、CJエンタテインメント、衛星劇場、パルコ、ショウゲート、スモーク、Yahoo! JAPAN
配給:ショウゲート
制作プロダクション:ダブ

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