1999年に公開された日本映画。英題は「Taboo」。大島渚監督。原作は司馬遼太郎「前髪の惣三郎」「三条磧乱刃」(『新選組血風録』収録)が原作。幕末の京都を舞台に、新選組を男色の視点で描いた時代劇で、大島渚の13年ぶりの監督作品であり遺作となった。映画『戦場のメリークリスマス』以来となる監督・大島渚、主演・ビートたけし、音楽・坂本龍一のトリオ復活、松田優作の息子松田龍平の初出演などで話題となった。第9回淀川長治賞受賞。第1回文化庁優秀映画賞受賞。
御法度の原作
御法度の原作を読んだ人の感想
- 読書メーター
- 新選組血風録(時代小説を読む)
- 『新選組血風録』 司馬遼太郎 中公文庫(遊心逍遙記)
御法度のあらすじ
1865年京都。新選組の隊士募集に集まった志願者の中に一際異彩を放つ美少年、加納惣三郎がいた。彼は新選組きっての剣豪・沖田総司をも手こずらせるほどの剣の腕をもっており、加納と双璧をなす田代彪蔵の二人が認められる。伊藤は近藤と土方に「剣術だけで測るのは気にくわない」と言うが、土方は「新撰組は歯向かうものを斬るための集団」とねじ伏せて二人を入隊させた。二人の入隊で新選組内の空気は少しずつ変わっていく。田代は衆道(男色)の気があり、惣三郎を引きずり込もうとしていた。隊士の中にも惣三郎に言い寄る者が現れ、隊内の秩序を重んじる土方は悩むことに。しかし近藤はあまり気に留めず惣三郎を可愛がるような発言をした。
腑に落ちない土方が沖田に男衆騒動について尋ねると、沖田は「そういう風潮は嫌いだ」とキッパリと答える。土方は「血気盛んな男たちが集まって何日も国について空想を語るうちに、それが現実と区別出来なくなりおかしくなる」と愚痴をこぼすと、沖田は「狂人、狂人を知るというわけですか……土方さんは狂人の親玉だ」と笑うのだった。
御法度の感想
これも坂本龍一供養ということで、未見の録画を消化。相変わらず内面的としか言いようのないミステリアスな旋律が映画をよく表象している。
観客は、田口トモロヲを殺し浅野忠信に罪を着せようとしたのは誰なのか等々のミステリーとして本作を受け取る。それはもちろん15歳の松田龍平でしかないのだが、考えようによっては武田真治やビートたけし(この物語の語り手である)であってもいいと映画は仄めかす。そこで終幕でビートたけしが切る桜は崔洋一への想いに重なる。
なお、このシーンで桜の枝が落ちるのではなく、木が倒れることに誰もが驚くと思うが、武田真治が「雨月物語」を語るあたりから背景はまるでミゾグチ映画のようなセット撮影であった。
当時高校受験を控えていた松田龍平は、おそらくほとんど意味がわからず演技をしているように見え、それが大島渚の撮り方といえばそれまでだが、ビートたけしと崔洋一の演技を見れば、この映画を「それでもいい」と肯定してはいけないのではないか。
神田うのはさすがのモデルぶりだが、台詞を与えられなかったのは何よりであった。衣装はワダエミ。お馴染みの新撰組のハッピはもちろん採用されなかった。
御法度のキャスト
加納惣三郎 – 松田龍平
沖田総司 – 武田真治
田代彪蔵 – 浅野忠信
近藤勇 – 崔洋一
井上源三郎 – 坂上二郎
山崎烝 – トミーズ雅
菅野平兵衛 – 的場浩司
伊東甲子太郎 – 伊武雅刀
湯沢藤次郎 – 田口トモロヲ
錦木太夫 – 神田うの
輪違屋 – 桂ざこば
おまつ – 吉行和子
谷三十郎 – 飯島大介
吉村貫一郎 – 伊藤洋三郎
武田観柳斎 – 藤原喜明
篠原泰之進 – 菅田俊
密偵の小者 – 寺島進
不逞浪人 – 梅垣義明
武藤誠十郎 – 田中要次
「楓亭」の女 – 青山知可子
ほか – 浦田賢一、倉崎青児、大森嘉之、大島宇三郎、中村麻美、冨樫真
ナレーター – 佐藤慶
御法度のスタッフ
製作:大谷信義
プロデューサー:大島瑛子、中川滋弘、清水一夫
ラインプロデューサー:元持昌之
原作:司馬遼太郎
音楽:坂本龍一
衣装:ワダエミ
撮影監督:栗田豊通
キャメラオペレーター:柳田裕男
ステディカム:佐光朗
美術監督:西岡善信
監督補:成田裕介
助監督:中嶋竹彦、原田眞治、伊藤聡、山下智彦、林川一宏
殺陣:中瀬博文、橋本和博
武術指導:東郷秀信
特殊造型:原口智生、伊藤成昭
現像:IMAGICA
MA:アオイスタジオ
製作協力:映像京都、松竹京都映画
企画・製作:大島渚プロダクション
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