平日に1話ずつ観るのにちょうどいいドラマ(殺人者のパラドックスの感想)
平日に1話ずつ、週末に残りを鑑賞。ちょうどいい。
前半は、コンビニでバイトしているサエない大学生(「新感染」で野球部員、「パラサイト 半地下の家族」でギウを演じたチェ・ウシク)が、続けさまに追いつめられて相手を殺さざるを得なくなるという話から始まり、それがなぜか犯罪者限定の殺し屋になっていくという流れになり、屈託ぶりが色っぽい刑事(ソン・クック)に目をつけられるという展開になるが、後半は、同じく犯罪者を殺しまくるイ・ヒジュンに標的が変わり、3人の運命が交錯していく。
だんだん表情も殺し屋然としてくるチェ・ウシクには、犯罪者を見抜く能力のようなものがあり、さらにあらゆる証拠が自然に消えてしまうという幸運の持ち主である。暴力の権化のようなイ・ヒジュンはそれに羨望しながら、殺人者の覚悟が足りない、使命感がないとチェを責めるのだが、どちらにせよ、全体に「犯罪者は殺してもいいのでは?」というトーンがあり(そうは考えていないソン・クックの刑事は、クライマックスにいたり、憎しみに身を灼かれることになる)、なんとなくついていけない。良心と葛藤を託していると思われる「罪と罰」のコピー(なぜコピーなのか?)がキーアイテムになっているのだが、その意味もあまり積極的に説明されない。
チェ・ウシクが2人目に殺すサングラスの女を、チョン・イソという女優がエキセントリックに演じているのが良かった。
殺人者のパラドックス 見どころ
偶然殺人を犯してしまった平凡な大学生イ・タンが、自身に悪人を見分ける能力があると気づき、次々と殺人を重ねていく物語で、善悪の境界線や正義とは何かを問いかけるドラマ。ストーリー展開はサスペンスと倫理的ジレンマが交錯する。原作は『殺人おもちゃ』というWebコミックで、可愛らしい絵柄と衝撃的なストーリーのギャップが話題になった。
トリビアだが、チャン・ナンガム刑事の少年時代を演じた子役は、ソン・ソックの幼少期の写真を基にCG合成されたものである。
- 見どころ1. 「パラドックス」の意味
タイトルの「パラドックス」は、「殺人者=悪」という一般的な認識に対する逆説を示す。イ・タンが悪人を殺すことで「正義」を行っているように見える一方で、彼自身も殺人者であるという矛盾が物語の核心である。 - 見どころ2. 善悪の境界線はどこ?
イ・タンが殺す相手は、過去に凶悪な犯罪を犯した者たちなので、彼の行為は一種の自警行為(法を超えた私刑)である。「正義とは何か」という問いかけがそこにある。 - 見どころ3. 偶然と必然、表と裏のテーマ
偶然の出来事が連鎖し、イ・タンは殺人を重ねていく。登場人物たちの表と裏の顔が交錯する。
殺人者のパラドックスのあらすじ
兵役を終えた平凡な大学生イ・タンは無気力で退屈な毎日を送っていた。ワーキングホリデーでカナダにでも行こうかと考えたが、親に話しても真面目に取り合ってもらえない。
コンビニでのアルバイトしていると、タンは酔った老人に手を焼くが、帰り道でその老人が倒れているのを発見。連れの中年男がタンを殴り始めた。タンはコンビニで借りたハンマーを男の頭に振りおろす。おりしも、盲導犬に付き添われたサングラスの女が通りかかったが、女は気づかずに帰っていった。タンは罪悪感にさいなまれたが、彼が殺した男が指名手配中の連続殺人犯だったと知り、安堵する。
翌日、チャン・ナンガムという刑事が防犯カメラをチェックしに来て、その鋭い目つきに不安を覚えるタン。しかし彼がハンマーを取り出した瞬間はカメラにハエがとまっており、記録に残っていなかった。また犯行後のハンマーもなぜか発見されておらず、警察は男同士が喧嘩して死んだと結論した。
しかし、ある日、盲導犬と一緒にいた女が現れた。女は実は片方だけ目が見えるので犯行を全部見ていたと語り、凶器のハンマーも犬がくわえて持ち帰ったと言う。女の脅迫に従い、タンはコンビニの店長に前借りした金を持って、大きな家に一人で暮らしの女を訪ねるが、女が今後も毎月同額を払うよう要求したため、パニックになって、机の上にあったハンマーを女の頭に振り下ろした。
二人も殺してしまったタンは何も食べず、罪悪感と恐怖で震える。ところが今度の女もまた連続殺人犯だったことが判明。
犬がすべて舐めてしまったので、現場からは指紋が発見されず、証拠はすべて消えた。手がかりを掴めない警察は焦り始めるが、そんな矢先、新たな殺人事件が起こる……。
殺人者のパラドックスを観るには?
殺人者のパラドックスのキャスト
ソン・ソック – チャン・ナンガム(刑事)
イ・ヒジュン – ソン・チョン(連続殺人犯、元刑事)
ヒョン・ボンシク – パク・チュンジン(刑事)
クォン・ダハム – アン・ヨンジェ(刑事)
キム・ヨハン – ノ・ビン(タンの協力者、ハッカー)
ホ・ソンヘン – タンの父
オ・ミエ – タンの母
オ・ウリ – ミヨン(ギョンファンの恋人)
イ・ジュウォン – チャン・ガプス(ナンガムの父、元刑事)
ムン・ヨンドン – イ・グァンフン(殺人事件の被害者、タンのバイト先コンビニの客)
チョ・ヒョヌ – キム・ミョンジン(ヨ・ブイル)(殺人事件の被害者、タンのバイト先コンビニの客)
キム・グムスン – イ・グァンフンの妻
チョン・イソ – ソン・ヨオク(殺人事件の目撃者、視覚障害、愛犬はレックス)
ソ・ジェグォン – カン・ジェジュン(不良高校生)
ペク・ユソン – イ・ジンソン(不良高校生、カン・ジェジュンの仲間)
チャン・ソン – ジェスン(ソン・ヨオクの従姉妹)
イ・ソウォン – カン・ヨンソ(暴行事件の被害者)
イ・ジュンオク – カン・サンムク(カン・ヨンソの父)
ナム・ジンボク – チ検事(殺人事件の被害者)
オ・ヘウォン – イ・ユジョン(特別捜査チームプロファイラー)
イム・ジヒョン – チェ・ギョンア(チェ・インソン)(釜山のスーパーの従業員)
イ・ジュヨン – チェ・ギョンアの母
キム・ハンジョン – 釜山のスーパーの魚屋
ノ・ジェウォン – ハ・サンミン(チェ・ギョンアの同級生)
ハン・ユンジ – ヒョンジ(ハ・サンミンの婚約者)
チョン・ヘヨン – 動物保護センター職員
イ・ゴン – ムン・ミョンジュン(新任の刑事課長)
ハン・ジアン – ヒョン・ジス(美術学部の大学生)
スン・ウィヨル – ヒョン会長(ヒョン・ジスの祖父、建設会社会長)
チャン・ウィドン – ヒョン会長の部下