隠蔽捜査

青山倫子(隠蔽捜査)
青山倫子(隠蔽捜査)

今野敏の警察小説シリーズ(2005年から新潮社刊、既刊長編10作、短編集3作)を原作として、2007年にテレビ朝日にて、2014年にTBSにてテレビドラマ化。また、2011年に舞台化された。

隠蔽捜査の原作


本作で、吉川英治文学新人賞受賞! 第2作『果断隠蔽捜査2』 で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞!「隠蔽捜査」シリーズとして、吉川英治文庫賞を受賞!
竜崎伸也は、警察官僚である。現在は警察庁長官官房でマスコミ対策を担っている。原理原則を遵守するその朴念仁ぶりに、周囲は〈変人〉という称号を与えた。だが彼はこう考えていた。エリートは、国家を守るため、身命を捧げるべきだ。私はその信条に従って生きているにすぎない、と──。組織を揺るがす連続殺人事件に、竜崎は真正面から対決してゆく。警察小説の歴史を変えた、吉川英治文学新人賞受賞作。解説・北上次郎

隠蔽捜査の原作の感想

ドラマ 隠蔽捜査

あらすじ

竜崎伸也(杉本哲太)は警察庁のキャリア官僚で長官官房総務課長。政治家、国会との連絡調整からマスコミ対応など、まさに国家警察の中枢とも言える役割を担っている。ある日、暴力団組員が拳銃で殺害されたことを知った竜崎は、幼馴染で同期の警視庁刑事部長・伊丹俊太郎(古田新太)の元を訪れる。伊丹曰く、警察庁の刑事局には報告済みで、長官官房に連絡が行っていないのは警察庁内の縦割り的な縄張り争いが原因だという。「幼馴染だろ?」と肩を組む伊丹に、竜崎は「やめろ」と振りほどく。竜崎は伊丹にいじめられた過去があり、少しも友情を感じていない。竜崎は上司から事件の情報を集めるように命じられ、独自に行動を開始。そこにもう一人の出世頭の同期、上條貴仁(生瀬勝久)が現れ、勝手なことはするなと釘をさした。
一方、家庭では、妻・冴子(鈴木砂羽)が息子や娘の問題解決を迫るが、家庭のことは冴子に任せ、何よりも警察キャリアとしての使命に燃える竜崎だった。
同一犯と思われる事件が次々と起こり、過去の重大事件との繋がりも見えてきた。警察内部では警察不祥事の影を隠蔽しようという動きが始まる。正義の追求のためには、階級の上下関係や面子にこだわらない合理主義者の竜崎は、伊丹をも巻き込んで、一人立ち上がるが…。

シゴトと家庭が同じ重みをもつ面白さ(感想)

お勧めのドラマを聞かれたら、今季(2022年)は文句なしにこれを一番に推してきた。
最後は生瀬勝久が生き残るという終わり方だったので、ぜひ続編を作ってほしい。残念ながら全11話の中にエピソードを詰め込みすぎたので(「半沢直樹」のように前半で1話ぐらい使ってもよかった)、原作の残りがもうないのかもしれないが。

始まりの中年女性ナレーションからして、本作は「半沢直樹」の警察版と言える。「半沢」の上戸彩はサラリーマンの女房の鑑みたいに言われたが(しかし原作では半沢夫婦が互いにもつ感情はもう少し複雑らしい)、こちらの鈴木砂羽はそれ以上であり、もはや戦友である。
シゴトと家庭が同じ重みをもつのが本作独特の面白さで、毎度それに引き裂かれる杉本哲太は、シゴトでは古田新太、家庭では鈴木という強力な相棒によって難局を乗りきる、という基本的な構図である。
「すべての責任は俺がとる」という決め台詞は「倍返しだ」と同様にヤケクソとも思えるギリギリの賭けを表していて、各エピソードのクライマックスがそこに集約されているのが素晴らしい。

杉本哲太は当たり役だったといえる。あと、女っ気のない中にあって、青山倫子の色気が映えていた。

キャスト

 竜崎伸也(警察庁長官官房総務課 課長) – 杉本哲太(小学3年生:酒井天満〈第1話・第2話・最終話〉)
 伊丹俊太郎(警視庁刑事部 部長) – 古田新太(小学3年生:篠田涼也〈第1話・第2話・最終話〉)

竜崎家
 竜崎美紀(伸也・冴子の娘) – 三倉茉奈
 竜崎邦彦(伸也・冴子の息子) – 鈴木砂羽

大森北警察署
 戸高善信(大森北警察署 刑事課強行犯係 巡査部長) – 安田顕
 貝沼悦郎(大森北警察署 副署長) – 八十田勇一
 山田淳也(大森北警察署 地域課 巡査部長) – 春海四方(第1話・第2話)
 小松茂(大森北警察署 刑事課強行犯係 係長) – 渡辺憲吉(第6話)
 関本良治(大森北警察署 刑事課 課長) – 佐戸井けん太(第3話 – 第5話・第8話 – 最終話)

警察庁
 牛島陽介(警察庁長官官房審議官) – 神保悟志(第1話・第2話・第10話)
 谷岡香織(警察庁長官官房総務課 課長補佐) – 青山倫子(第1話・第2話・第4話 – 第7話・第10話・最終話)
 上條貴仁(警察庁長官官房総括審議官) – 生瀬勝久

警視庁
 野間崎正嗣(警視庁第二方面本部 管理官) – 古舘寛治
 下平栄介(警視庁刑事部 SIT第2係 係長) – 斎藤歩(第3話・第5話・第10話・最終話)
 川端守雄(警視庁刑事部捜査第一課 課長) – 久松信美(第5話 – 第7話)

その他
 福本多吉 – 中村育二

スタッフ

原作 – 今野敏
脚本 – 西村タカシ
監督 – 真船禎
技術協力 – テイクシステムズ、ケイ・デジタル・ネットワーク
美術協力 – テレビ朝日クリエイト
編集・MA – ザ・チューブ
殺陣 – 大道寺俊典
ガンエフェクト – 浅生マサヒロ(第1作)、BIGSHOT(第2作)
カースタント – DAREDEVIL DRIVERS
第2作特殊班監修 – 伊藤鋼一
プロデューサー – 稲垣健司(テレビ朝日)、照喜名隆(ザ・ワークス)、井上由紀(ザ・ワークス)
製作 – テレビ朝日、ザ・ワークス

ドラマ 隠蔽捜査の考察

  • 警察官僚の悲喜交々、警察と言う縦割り構造組織の問題点、そして警察官と言う職業の魂みたいなものを、しっかりと描きつつ、時に笑いや涙も踏まえて、骨太の本格的刑事(警察)ドラマになったと思う。
    ディレクターの目線blog

  • 世間では「ありふれた警察ドラマ」と思われているのか視聴率は芳しくないけど、コレは自信をもってオススメ!
    ぶっちゃけシネマ人生一直線!()

  • 警察の内情が結構でていて面白かったです♪ 神奈川県警と本庁にはそんなに因縁が?!とか、知らなかったし、警察庁と警視庁だとか、SITにSATに今回はSTS!
    りらっくママの日々

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