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鬼畜

3.5
常盤貴子(鬼畜) ドラマ
常盤貴子(鬼畜)
鬼畜は、『ドラマスペシャル 松本清張 鬼畜』のタイトルで2017年12月24日21:00-23:18にテレビ朝日系列で放送。主演は玉木宏。

鬼畜(2017年版)の感想

大方の予想通り、常盤貴子岩下志麻の迫力に遠く及ばず、玉木宏緒形拳のような苦悩ぶりを表現できなかった(2002年版のビートたけしはよかったと思う)。

子供たちを棄てた木村多江は、映画の小川真由美の線を踏襲していたが、たけし版ではなんと室井滋が演じている。これは酷薄さの点でピカイチではないか(原作では子どもの父親は外交員の石田と匂わせている。つまり真の鬼畜はこの女なのだ)。

さて原作の舞台は「東京から急行で3時間かかる地方都市」なのだが、本作はなぜか京都と奈良で撮られており、どこだかよくわからない町になっている(冒頭で木村多江が子どもの手をひいているのは時代劇でお馴染みの京都木津川の流れ橋だ)。
その点、映画はロケハンが素晴らしく、埼玉県の男衾(寄居町)という、よく見つけてきたというような町がいいし、やはり長女を棄てる東京タワーがいい(原作では「銀座のデパートの屋上」、本作では生駒山上遊園地)。

本作で一番驚かされるのは、常盤貴子が発作的に青酸カリを飲んで死に、玉木宏が逮捕されて、5年後に出所して常盤の墓参りをするところまで話が続くところだ(どういう意図なのだろう?)。
原作は警察が印刷所を突き止めるところで終わる(清張独特のドライな下げ)。
映画は、父親を庇う長男が「知らない人」と強弁する泣かせどころをクライマックスにしたことでヒットした。
同じシーンは本作にもあるのだが、さらりと流されていて拍子抜けした。

鬼畜(2017年版)のあらすじ

昭和51年、東京の下町で小さな印刷会社を営む竹中宗吉(玉木宏)は、妻・梅子(常盤貴子)と順調な生活を送っていた。しかし、隣の食堂から出た火事により印刷所が全焼し、宗吉の秘密が明らかに。宗吉には愛人・山田菊代(木村多江)との間に3人の隠し子がおり、火事の際には菊代のもとにいたのだ。印刷所の再建後、経営難から菊代への仕送りが滞り、菊代は子供たちを連れて宗吉の家を訪れる。梅子の冷たい対応と宗吉の弱腰に怒った菊代は、子供たちを宗吉に預けて失踪する。
この出来事から宗吉の運命は暗転。次男・庄二は病死し、長女・良子は行方不明に。長男・利一(7歳)も危険にさらされる。追い詰められた宗吉は利一を毒殺しようとまでするが実行できず、利一は父を信じ続ける。警察の捜査が進む中、宗吉の心に“鬼畜”が生まれ、転落していく。

鬼畜(2017年版)を観るには?

鬼畜(2017年版) キャスト

竹中宗吉 – 玉木宏
竹中梅子 – 常盤貴子
山田菊代 – 木村多江
野田和子(東葛署の防犯課少年係) – 余貴美子
山田利一(菊代の長男で7歳) – 南岐佐
山田良子(菊代の長女で4歳) – 稲谷実恩
山田庄二(菊代の次男で2歳) – 今中陸人
中丸刑事(伊豆警察署) – 前田亜季
高橋刑事(伊豆警察署) – 近藤芳正
田口辰夫(竹中印刷の職人) – 羽場裕一
石田(印刷ブローカー) – 片桐竜次
龍村刑事(東葛署) – 河西健司
吉田刑事(伊豆警察署) – 萩原悠
里子(民宿 あけぼの荘の仲居) – 嘉門洋子
広瀬刑事課長(東葛署) – 平泉成
原田道夫(東葛署) – 柳葉敏郎
加藤医師 – 橋爪功

鬼畜(2017年版)スタッフ

原作 – 松本清張『傑作短編集5「張込み」』所収(新潮文庫)
ナレーター – 石坂浩二
脚本 – 竹山洋
監督 – 和泉聖治
音楽 – 吉川清之
石版印刷監修 – 出原司(京都市立芸術大学)
技斗 – 菅原俊夫
プロダクション協力 – 東映太秦映画村
チーフプロデューサー – 五十嵐文郎(テレビ朝日)
ゼネラルプロデューサー – 内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー – 藤本一彦(テレビ朝日)、河瀬光(東映)、中尾亜由子(東映)
制作 – テレビ朝日、東映

鬼畜の原作(松本清張)

『鬼畜』(きちく)は、松本清張の短編小説。『別册文藝春秋』1957年4月号に掲載され、1957年12月に短編集『詐者の舟板』収録の1作として、筑摩書房から刊行された。
本作は実話に基づいたフィクションである。検事の河井信太郎から聞いた話がベースになっており、著者による話のメモが残されている。
実際の事件は、骨董屋の男が妾に3人の子を産ませていたが、商売不振で仕送りができず、妾が子を連れて男の家に来るところから始まる。その後、本妻に子を片付けろと責められ、殺害および殺害未遂を経て、松崎町で逮捕された。男は在獄中に発狂死し、本妻は在監中であったという。

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