共犯者ってどんなドラマ?
過去に犯した強盗の罪と、手に入れた大金を元手に成功を収めた女。しかし、1枚の報道写真をきっかけに、かつての相棒への猜疑心に毟(むし)り取られ、自ら破滅の深淵へと転がり落ちていく。松本清張の傑作短編小説をベースに、主人公と共犯者を女性に置き換える大胆なアレンジを施し、脚本の西荻弓絵と監督の上川伸廣のタッグで現代の物語として甦らせた傑作推理サスペンス。
実業家として華々しい成功を収め、メディアにも注目される女性社長・内堀江梨子(賀来千香子)。順風満帆に見える彼女には、誰にも言えない恐ろしい過去があった。8年前、彼女は卸売市場の同僚だった町田夏海(とよた真帆)と共謀し、芦屋の豪邸から1億円を強奪。互いに詮索しない約束で大金を折半し、今の地位を築いたのだ。しかし、江梨子の成功が写真入りで全国に報道されたことで、彼女の心に「夏海が自分をゆすりに来るのではないか」という激しい不安が芽生え始める。
見どころは、目に見えない「過去の亡霊」と「自らの猜疑心」によって、完璧だったはずの日常が内側から崩壊していく緊迫の心理描写。恐怖に耐えかねた江梨子は、探偵に夏海の居所の調査を依頼。そこで夏海が詐欺に遭い、多額の借金を抱えて失踪したという事実を知り、江梨子の疑心暗鬼は狂気へと加速していく。江梨子の周囲で動く恋人や秘書、さらに謎の男の存在が、誰が夏海の息の根か、あるいは裏切り者なのかを惑わせ、迷宮を深めていく。
秘密を守るための選択、そして最も恐るべき「共犯者」の正体。人間が抱く底知れぬ孤独と猜疑心の恐ろしさを、張り詰めたサスペンス演出と実力派役者陣の濃厚な心理戦で描ききった、清張文学映像化の傑作だ。
あらすじ
高級化粧品会社「ローゼ・ジャポネ」を経営する内堀江梨子(賀来千香子)は、業界のカリスマとも言われる存在。しかし、彼女の成功の裏には、8年前に起こした重大な犯罪が隠されていた。かつて江梨子は、旧知の女性・町田夏海(とよた真帆)と共に、元勤務先の金庫から1億円を盗むという犯行を犯し、その金を元手に今の事業を築いたのだ。
しかしある日、週刊誌に「江梨子と町田夏海の親密デート写真」が掲載され、隠していた過去が暴かれようとしていた。江梨子は焦り、夏海との関係が世間に露見することを恐れる。そこで彼女は元私立探偵の若杉千香子(室井滋)に、夏海の行方を捜すよう依頼する。調査が進むにつれ、過去の共犯関係と裏切りが次第に明らかになっていく。そして、追い詰められる江梨子と、現れた夏海が対峙する。彼女たちの間にあった信頼はすでに壊れ、金と秘密をめぐる女同士の“崩壊の連鎖”が始まった――。
キャスト
若杉千香子 – 室井滋
町田夏海 – とよた真帆
松本健 – 小橋賢児
内堀佳代子 – 加藤治子
横山剛 – 細川茂樹
鈴木さやか – 浅見れいな
倭誠一 – 佐野史郎
お好み焼き屋のママ – あいはら友子
石田太郎
社長 – 山田明郷
守山耕一郎 – 前田昌明
老人 – 伊藤正博
警備員 – 茂木和範
アナウンサー – 堤信子
ペットショップのチーフ – 六角精児
井口玲子
ペットショップ店員 – 紀瀬美香
社員 – 宗清万里子
高橋 – 飯沼千恵子
社員 – 小川信行
ウェイター – 伊庭拓哉
ウェイター – 岡田幸樹
借金取り – 浜谷康幸
借金取り – 重松隆志
8年前の知人 – るり江
浅見 – 花悠子
店主 – 三矢家ゆうじ
見どころ
- 清張原作を女性視点へ大胆な転換
原作では男性が主人公だが、本作では賀来千香子演じる女性社長・内堀江梨子が主役。不正な手段で富を築いた女性の“暗部”を掘り下げるサスペンスに仕上がっている。 - 一攫千金から自己破滅への心理描写
8年前に1億円を盗んで成功した江梨子。しかし、マスコミに“親密デート”が報じられたことで共犯者・町田夏海(とよた真帆)の影が浮上。信頼していた関係が疑心暗鬼に変わり、徐々に精神が追い詰められていく。 - 探偵との対峙と女同士の緊張感
室井滋演じる元探偵・若杉千香子が江梨子の依頼を受け、共犯者の捜索を開始。2人の強烈な駆け引きは「激しい心理戦」というべき緊張感がある。
感想
本作は最新のドラマ化ではなく、西荻弓絵が脚本を共同執筆している2006年版。
原作の主人公を女性に変えたところがオリジナルで、賀来千香子が演じている。その後の2015年版ドラマでも観月ありさが演じているのだが、本作では共犯者もとよた真帆と女性。賀来との組み合わせは何やら妖しげだ。
賀来といえば、90年代に立て続けにサスペンスものを主演した後に「まかせてダーリン」(98年)だったかでセックスレスに悩む妻を演じて以来、何かズレた役が多くなった印象がある。ところが、それを裏返したような「激流〜私を憶えていますか?〜」ではクライマックスで凄みのある演技を見せたので、なかなか油断できない。

賀来千香子(共犯者)
とよた真帆の方は、実は青山真治夫人だから、これも油断ならないのである。
共犯者のスタッフ
監督:上川伸廣
助監督:柿沼竹生
技術協力:映広
プロデューサー:小泉守(トータルメディアコミュニケーション)、前田伸一郎(日本テレビ)、佐藤敦(日本テレビ)
ロケ協力:ホテルオークラ神戸、神戸長田丸五市場、神戸水産物卸協同組合、神戸フィルムオフィス、倉敷観光コンベンションビューロー、よこすか芸術劇場、リーガロイヤルホテル東京 ほか
企画協力:ナック、菊地実
音楽協力:日本テレビ音楽
企画制作:日本テレビ
製作著作:トータルメディアコミュニケーション
共犯者の原作(松本清張)
あいつを消さねば――。
完全犯罪をもくろんだ男のつまずきとは。スリリングな短篇10篇。
銀行を襲い、仲間と山わけにした金で商売をはじめた内堀彦介は、
事業に成功した今、真相露顕の恐怖から5年前に別れた共犯者の監視を開始するが……。
疑心暗鬼から自滅していく男を描く「共犯者」。
妻の病気、借金、愛人とのもめごと、仕事の失敗――
たび重なる欲求不満と緊張の連続が生み出す衝動的な殺意を捉えた「発作」。
ほかに、「恐喝者」「愛と空白の共謀」など全10編を収める。




