映画版
感想
いつのまにかNetflixで見られるようになっていた。
Twitterでのキヨホーヘンがまだ記憶に新しい映画だが、どこがそんなに問題だったのかもはや定かではなく、やや拍子抜けな感がする。河村光庸というプロデューサーが焚きつけたものだったのではなかったか。
シム・ウンギョンが米倉涼子になるというドラマ版(これもNetflix)は嫌な予感しかしないのだが…
見どころ
- 国家権力の闇に切り込む社会派テーマ
政権がひた隠しにしようとする権力中枢の闇や、官僚機構の閉鎖性、そしてメディアと権力の関係といったデリケートで骨太な社会問題に真正面から切り込んだ。現実の出来事を想起させる描写が、観る者に強い衝撃と問いかけを与える。 - シム・ウンギョンと松坂桃李の熱演
シム・ウンギョンが、正義感に燃え、真実を追究する女性記者・吉岡を、日本語での難しいセリフ回しをこなしながら、内なる葛藤と強い意志を繊細に表現。松坂桃李は、理想と現実の狭間で苦悩し、権力の闇に気づきながらも組織の論理に縛られるエリート官僚・杉原を、その目つきや表情、瞬きの演技で巧みに表現し、高い評価を受けた。両者の演技のぶつかり合いが、ドラマにリアリティと緊迫感をもたらした。 - スタイリッシュな映像と緊迫感のある演出
藤井道人監督は、現代社会を舞台にしたスタイリッシュな映像と、登場人物たちの心理をえぐるような緊迫感あふれる演出で、物語の世界観を構築。陰影の強いライティングや、情報の断片が交錯するような映像表現が、作品全体にミステリアスで不穏な雰囲気を醸し出している。 - 「正義」と「真実」の問いかけ
権力側の「正義」と、メディアが追求する「真実」、そして個人が信じる「良心」が複雑に絡み合い、何が本当に正しいのか、誰が本当に真実を語っているのか、という普遍的な問いを投げかける。登場人物たちがそれぞれ下す選択が、観る者自身の倫理観にも深く響く。 - 情報社会におけるメディアの役割
フェイクニュースが蔓延し、情報が容易に操作され得る現代において、「新聞記者」という存在が果たすべき役割や、報道の自由と責任について改めて考えさせられる。
あらすじ
ジャーナリストだった父親が誤報で自殺した東都新聞社会部の若手女性記者・吉岡エリカは、首相記者会見で鋭い質問を繰り返すため、記者クラブの中で厄介者扱いされ、社内でも異端視されていた。
ある日、極秘情報が記された匿名のファックスが社会部に届き、吉岡は大学新設計画を調査することに。内閣府の神崎という人物が浮上した矢先、神崎は自殺。疑問を抱いた吉岡は、内閣情報調査室の若手エリート官僚・杉原拓海と巡り会う。現政権に不都合な情報をコントロールする立場でありながら、杉原も元上司の神崎の死に疑問を持っていた。立場の違いを超えて調査を進める2人は、内閣府が設置を進める医療系新設大学の真の設置目的が、軍事技術の開発であることを突き止め、吉岡の記事が一面スクープとして出る。
一方、杉原宅には神崎の遺書が届いており、新設大学の運営を首相の友人の民間企業が担い、税金が注ぎ込まれていること、その決済を神崎が行って罪をかぶったこと、心痛に耐えられず自死を選ぶ心境が記されていた。
週刊誌に、吉岡のスクープは誤報との記事が掲載され、吉岡は上司から続報の覚悟を問われるが、内閣情報調査室の上司で内閣参事官の多田智也から電話が入り、吉岡の父親の件は誤報ではなかったと告げられる。多田は吉岡に協力した杉原を呼び出し、すべてを忘れることを条件に、出向元の外務省に戻れるよう口利きをしてやると迫った。
杉原と連絡を取ろうと国会周辺を疾走する吉岡は、内閣情報調査室を後にした杉原と首相官邸前の交差点で向かい合う……。
映画版 新聞記者を観るには?
キャスト
杉原拓海:松坂桃李
杉原奈津美:本田翼
倉持大輔:岡山天音
関戸保:郭智博
河合真人:長田成哉
神崎千佳:宮野陽名
都築亮一:高橋努
神崎伸子:西田尚美
神崎俊尚:高橋和也
陣野和正:北村有起哉
多田智也:田中哲司
後藤さゆり:東加奈子
瀬戸:中村公隆
ジム:イアン・ムーア
白岩聡:金井良信
スタッフ
監督:藤井道人
脚本: 詩森ろば、高石明彦、藤井道人
音楽:岩代太郎
主題歌:OAU「Where have you gone」
企画・製作:河村光庸
エグゼクティヴ・プロデューサー: 河村光庸、岡本東郎
プロデューサー: 高石明彦、行実良、飯田雅裕、石山成人
撮影:今村圭佑
照明:平山達弥
録音:鈴木健太郎
美術:津留啓亮
編集:古川達馬
衣装:宮本まさ江
ヘアメイク:橋本申二
演出補:酒見顕守
ラインプロデューサー:平山高志
宣伝:KICCORIT
配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント
制作プロダクション:The icon
制作:スターサンズ
製作幹事:VAP
製作:『新聞記者』フィルムパートナーズ(VAP、スターサンズ、KADOKAWA、朝日新聞社、イオンエンターテイメント)
ドラマ版
小野花梨(新聞記者 Netflix)
感想
良くも悪くも話題のNetflix版。映画版と同じ質感の画面作りで、フィクションと前置きしつつ今度は森友問題を扱う。終盤はTOKYO 2020直前のコロナ禍を背景にしており、現実が食い込み奇妙な感覚なのだが、誰もマスクをしていない。
当事者が一人も出てこない脚本なのだが、私は籠池夫妻を登場させるべきだったと思う。
寺島しのぶがさすがなのと、小野花梨が熱演していた。あと肉体改造した綾野剛は凄すぎる(ドラマ「アバランチ」の監督は同じ藤井道人なのね)。
見どころ
- 米倉涼子が演じる新たな「新聞記者」像
米倉涼子が正義感が強くタフな女性記者・松田杏奈を熱演。どんな困難にも屈しない姿勢がドラマに力強い推進力をもたらしている。映画版の吉岡エリカとはまた異なる、より経験豊かで冷静な記者の姿。 - より深く、多角的に描かれる「権力の闇」
映画版で描かれたテーマをさらに掘り下げ、公文書改ざんだけでなく、医療問題、AI管理社会といった複数の現代的な社会問題をオムニバス形式で取り上げた。権力がいかに多様な形で人々の生活に影響を与えているかをより多角的に描いた。 - 横浜流星が演じる「杉原拓海」のその後
映画版で松坂桃李が演じた杉原拓海役を横浜流星さんが演じた。権力側の人間として苦悩しながら、真実と良心の間で葛藤する彼の視点も物語の重要な要素。 - Netflixだからこその「踏み込んだ描写」
地上波で難しい国家権力の内部描写、よりシビアな社会問題への切り込み方が、Netflixというプラットフォームだからこそ可能になっている。製作費の規模も大きく映画にも劣らないクオリティ。 - リアリティとサスペンスの融合
現実の出来事を想起させるようなリアルな描写、先の読めないサスペンスフルな展開が融合。誰が裏切り、誰が真実を語るのか。 - 「真実を追うこと」の意義と代償
命がけで真実を追求する記者、良心に逆らえない官僚の姿を通して、情報が操作されやすい現代社会において「真実を知ること」の重要性を問いかけた。
あらすじ
首相夫人が栄新学園の土地売買に関与していたとリークが入り、内閣府は資料の改竄を命じられる。正義感の強い新聞記者・松田杏奈は過去の因縁もあり、学園問題の闇を暴こうと奔走する。
ドラマ版新聞記者を観るには?
キャスト
村上真一 – 綾野剛
木下亮 – 横浜流星
鈴木和也 – 吉岡秀隆
鈴木真弓 – 寺島しのぶ
北村賢一 – 吹越満
黒崎正 – 田口トモロヲ
矢川良和 – 大倉孝二
多田智也 – 田中哲司
松田康平 – 萩原聖人
佐藤大樹 – 柄本時生
屋代晴海 – 土村芳
横川繭 – 小野花梨
入来デスク – 橋本じゅん
新田淳二 – でんでん
豊田進次郎 – ユースケ・サンタマリア
中川久志 – 佐野史郎
北野茂雄 – 岩松了
毛利義一 – 利重剛
木島順平 – 二ノ宮隆太郎
熊谷ますみ – ふせえり
村上由紀子 – 安藤聖
村上夏希 – 浅田芭路
村上隼人 – 有山実俊
土井知佳子 – 宍倉暁子
安達和宏 – 宇賀神亮介
小野雅人 – 加藤満
木下沙苗 – 須藤理彩
木俣大輝 – 森田甘路
佐々木哲史 – 野間口徹
石倉 – テイ龍進
仲野 – 冨田佳輔
官房長官 – 石丸謙二郎
官邸報道室長 – 安井順平
中村 – 菅原大吉
亜衣 – 高崎かなみ
真田 – 吉満寛人
内藤 – 国枝量平
井塚明 – 藤巻直哉
梨香子 – 手島優
スタッフ
脚本: 山田能龍、小寺和久、藤井道人
エグゼクティブプロデューサー: 坂本和隆、高橋信一
企画・プロデュース:河村光庸
プロデューサー: 佐藤順子、山本礼二
ラインプロデューサー:道上巧矢
音楽:岩代太郎
撮影:今村圭佑
照明:平山達弥
録音:根本飛鳥
キャスティング:おおずさわこ、杉山麻衣
美術:部谷京子
衣装:宮本まさ江
ヘアメイク:橋本申二
助監督:逢坂元
制作担当:櫻井紘史、多賀典彬
編集:古川達馬、前田径成
VFX:大澤宏二郎
ポスプロ:石田記理
スクリプター:永倉美香
タイトルバック:松井夢壮
音響効果:勝俣まさとし
ミュージックエディター:石井和之
サウンドデザイン:浜田洋輔
製作:Netflix
制作プロダクション:スターサンズ