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上野樹里の表情がどんどん良くなっていくが最後は空中分解(アリスの棘の感想)
2013年の「夜行観覧車」から2014年の「Nのために」にかけて、宮部みゆきと湊かなえ原作のドラマを塚原あゆ子が怒涛のように演出した時期があった。本作はその時期に放映された復讐物で、27歳の上野樹里のダークヒロインぶりが印象に残った。原作はないが、「魔王」の脚本を書いた西田征史が構成を作っており、石井和之のサウンドデザインが冴えている。
中盤からはミステリー色が濃くなり、初見では、急に面白くなった記憶がある。上野の表情もどんどん良くなっていく。
しかしまあ、最終回まで見ると、この終わり方はないだろうという空中分解に誰もが唖然とするはずだ。クライマックスとのつながりが雑すぎるし、明かされた黒幕の行動はひどく矛盾していて到底納得できないし、無意味なミスリード(オダギリジョーや藤原紀香の描写)を最終回中にいくつも盛り込んでいるのがおかしいし、どう考えても結末は薄っぺらすぎる。そこまで見た時間を返してほしいという初回放映視聴時の落胆を思い出した。最終回はもはや次回の視聴率を気にする必要がないからね、という投げやりな自己満足を感じる。
上野は天才とも天然とも言われる人だが、その後結婚して和田家に入ってからはのほほんキャラになり(「のだめ」ともちちょっと違う)、「監察医 朝顔」など、なぜか父思いの娘キャラに収まっている。
アリスの棘 見どころ
幼い頃に医療ミスで父を亡くした主人公が、その復讐のために医師となり、病院内部の闇を暴いていく物語。
- 上野樹里のダークヒロイン演技
従来の明るいイメージから一転、無表情で冷酷、復讐に燃える主人公・明日美を上野樹里が演じる。彼女がターゲットを追い詰めていく際の、ゾクっとするような眼差しや、巧妙な罠を仕掛ける姿が圧巻。 - 医療サスペンスとしての緊張感
大学病院という閉鎖的な世界を舞台に、医療ミスや隠蔽、医師たちの権力争いが描かれ、常に緊迫した空気が漂う。明日美が仕掛ける復讐劇が、どのような方法で行われ、それが病院内にどのような波紋を広げていくのか、目が離せない。 - 豪華かつクセのある共演者たち
復讐のターゲットとなる医師たちには、中村蒼、田中直樹、藤原紀香、岩城滉一、國村隼、北大路欣也など、ベテランから若手まで豪華な俳優陣が揃う。それぞれが人間味あふれる、あるいは業の深いキャラクターを演じ、ドラマに厚みを与える。特に、明日美の復讐を止めようとするジャーナリスト役のオダギリジョーとの関係性も注目された。 - 「アリス」と「棘」の意味
「アリス」と「棘」には意味がある。少女漫画的な「アリス」と、復讐の象徴である「棘」のギャップがドラマのダークな世界観を一層引き立てる。 - 父の死の真相と復讐の果て
明日美の復讐が、単なる個人的な恨みで終わるのか、それとも本当に父の死の真相を解明し、病院の体質を正すことができるのか。そして、復讐を遂げた先に、明日美自身は何を得て、何を失うのか。結末まで目が離せない展開。
アリスの棘のあらすじ
14歳の時、医師だった父・小山内孝夫が医療ミスで死亡し、汚名を着せられた明日美は、水野和史の養女となり、水野明日美として父が勤めていた大学病院に医師として就職。父の無実を証明するため、手術看護記録を手がかりに、医療ミスに関わった関係者たちを次々と失脚させる。まず看護師長の蛭子雅人を転落させようとし、消化器外科講師の伊達理沙、准教授の千原淳一、弁護士の日向誠を失職させる。次に教授の磐台修一を狙い、その息子・悠真に接近するが、悠真は明日美を庇って死亡。磐台は移植外科教授の有馬毅の裏切りをリークした後、殺害される。明日美は有馬が15年前、娘・鈴の腎臓移植のため西門の妹を殺害し、峰岸健太の腎臓を狙っていることを突き止める。看護師の星野美羽の協力で有馬を追いつめるが、有馬は空港で殺害される。有馬の妻・春子から、有馬の一連の凶行が娘・美波の死に端を発し、鈴が養女だと知らされる。監視カメラの人物を突き止めるため、鈴を遊園地におびき出すと、現れたのは養父・水野だった。西門に襲われた明日美は、水野の遺書で真実を知る。西門は水野に復讐すると宣言し、明日美はすべてを終わらせる決意をする。
アリスの棘を観るには?
アリスの棘のキャスト
水野 明日美 / 小山内 明日美 – 上野樹里(14歳の明日美: 菊池和澄)
磐台 悠真(磐台の息子) – 中村蒼
千原 淳一(チェシャ猫 准教授) – 田中直樹
日向 誠(帽子屋 聖林大学付属病院顧問弁護士) – 尾美としのり
伊達 理沙(ハートの女王 消化器外科のエース) – 藤原紀香
蛭子 雅人(ハンプティ・ダンプティ 看護師長) – 六平直政
磐台 修一(アオムシ 教授) – 岩城滉一
星野 美羽(看護師) – 栗山千明
有馬 毅(白の王 移植外科教授) – 國村隼
岡村 圭吾 – 今井隆文
谷 宏之 – 白石朋也
矢吹 徹 – 上ノ原正義
高木 哲也 – 諒太郎
遠藤 由香 – 藤井武美
樋口 杏奈 – 福吉真璃奈
安達 さやか – 横地尚子
新田 早苗(オペ看護師器械出し) – 羽村純子
その他
小山内 孝夫(明日美の実父) – 眞島秀和
西門 優介(毎朝新聞医療部記者) – オダギリジョー(23歳: 安西慎太郎)
西門 結衣(優介の妹) – 庵原涼香
水野 和史(明日美の養父) – 中村梅雀
峰岸 健太(悠真の担当患者) – 竹場龍生
田崎 絢芽 – 霧島れいか
アリスの棘のスタッフ
脚本 – 髙橋麻紀、 池田奈津子
音楽 – 横山克
演出 – 塚原あゆ子、 渡瀬暁彦、 平野俊一
主題歌 – 高橋優「太陽と花」(ワーナーミュージック・ジャパン)
演出補 – 八木一介、長尾楽、佐久間晃嗣
サウンドデザイン – 石井和之
タイトル – 稲生諭
スタント – 大道寺俊典
特殊造形 – 松井祐一
医療監修 – 岩野歩三
医療指導 – 矢島和人、今井光穂、小林奈々
治験指導 – 吉川史恵
編成 – 時松隆吉
プロデューサー – 高橋正尚、 高成麻畝子
協力プロデューサー – 森嶋正也、都築歩
プロデューサー補 – 川口舞
製作著作 – TBS
「アリスの棘」は、復讐劇という重いテーマを扱いながらも、先の読めない展開と、上野樹里さんの熱演によって引き込まれるドラマです。医この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひ本編をチェックしてみてください。