職業をめぐる二重底のファンタジー(地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子の感想)
“早口の毒舌”というコメディ定番を、石原さとみは絶妙にこなして、第三舞台出身の中谷まゆみの脚本の見込みにみごと応えた。ただし「お前はその苦労を一瞬にして踏みにじったんだ」という台詞は、それこそ校閲でひっかかるのではないか。
「お仕事ドラマ」として描かれるプロフェッショナルは、何であれ大抵がファンタジーなのだが、校閲者という珍しい職業が描かれると、ついそれを忘れて鵜呑みにする者が出やしないかと心配だ。
原作者はドラマ開始時に非難を恐れてブログで予防線を張っていたのだが、菅田将暉が作家として書いたのがまた職業をテーマにしたノンフィクションだというのは、はたして原作通りなのかどうか。
つまりこのドラマのテーマもまた、ファンタジーとしての職業そのものという二重構造になっているのだ。
地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子 あらすじ
オシャレ大好き河野悦子(石原さとみ)はファッション誌の編集者を夢見て、今年も出版社・景凡社の中途採用試験の面接に臨み、ファッション誌の魅力と編集部で働く熱意を訴えたが、配属されたのは、原稿の誤字脱字や内容の間違い、矛盾がないかを確認する超地味な「校閲部」。しかも憧れのファッション編集部には高校時代の後輩・森尾(本田翼)の姿が。
悦子は校閲部長の茸原(岸谷五朗)に猛抗議するが、茸原は「仕事ぶりが認められれば、希望の部署に移れるかもしれない」と言う。その気になった悦子はファッション編集部への異動を目標に、校閲の仕事を頑張ろうと決意。さっそく、ミステリー小説の校閲を任される。
しかし悦子の破天荒な校閲方法に担当編集者・貝塚(青木崇高)は大激怒。大御所作家の本郷大作(鹿賀丈史)から「この校閲をしたものを連れて来い」と呼び出しがかかる。
一方、森尾は上司から命じられたイケメンモデル探しをする中で、ちょっと変わった大学生・折原幸人(菅田将暉)を発掘。同じ頃、悦子もまた、偶然出会った幸人に一目惚れしてしまい…
地味にスゴイ!DX 校閲ガール・河野悦子の感想
本田翼(地味にスゴイ!DX 校閲ガール・河野悦子)
改めてこのスペシャルで見ると、石原さとみと本田翼というのは明らかにミスマッチで、接点がないように思う。
「わにとかげぎす」で好感度を上げている本田は、ここでもかわゆすな。
石原はオープニングのまくし立て台詞で存在感を見せたが(石原といえばやはりそれなのか)、ドラマとしては蛇足の一言につきる。
地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子を観るには?
地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子 キャスト
折原 幸人(大学生) – 菅田将暉
森尾 登代子(ファッション誌編集者) – 本田翼
貝塚 八郎(文芸編集部編集者) – 青木崇高
茸原 渚音(校閲部部長) – 岸谷五朗
藤岩 りおん(校閲部員) – 江口のりこ
米岡 光男(校閲部員) – 和田正人
尾田 大将(おでん屋の大将) – 田口浩正
今井 セシル(受付) – 足立梨花
佐藤 百合(受付) – 曽田茉莉江
正宗 信喜(印刷会社営業) – 杉野遥亮
青木 祥平(校閲部員) – 松川尚瑠輝
坂下 梢(校閲部員) – 麻生かほ里
目黒 真一郎(校閲部員) – 高橋修
東山(おでん屋常連客) – ミスターちん
西田(おでん屋常連客) – 長江英和
北川(おでん屋常連客) – 店長松本
亀井 さやか(ファッション誌編集長) – 芳本美代子
波多野 望(ファッション誌副編集長) – 伊勢佳世
スペシャル
二階堂 凛(「Lassy」の新編集長) – 木村佳乃
橘 花恋(是永是之の新しい担当編集者) – 佐野ひなこ
三枝 貢(亡くなった人気小説家) – 大高洋夫
地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子 スタッフ
脚本 – 中谷まゆみ(連続ドラマ、スペシャルドラマ)、川﨑いづみ(連続ドラマ)
演出 – 佐藤東弥(連続ドラマ、スペシャルドラマ)、小室直子(連続ドラマ)、森雅弘(連続ドラマ)
音楽 – 大間々昂
主題歌 – 栞菜智世「Heaven’s Door 〜陽のあたる場所〜」(ユニバーサルミュージック)
オープニング – chay「12月の雨」
音楽プロデュース – 志田博英
校閲監修 – 柳下恭平(鴎来堂)
ブレーン – アサダアツシ
チーフプロデューサー – 西憲彦
プロデューサー – 小田玲奈・森雅弘(日本テレビ)、岡田和則(光和インターナショナル)
制作協力 – 光和インターナショナル
製作著作 – 日本テレビ
地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子の原作
ファッション誌編集を目指す河野悦子(こうのえつこ)が配属されたのは校閲部。担当する原稿や周囲ではたびたび、ちょっとした事件が巻き起こり…。読んでスッキリ、元気になる! 最強のワーキングガールズエンタメ
【ダ・ヴィンチ電子ナビ連載2013年10月4日~12月6日、2014年3月14日KADOKAWA刊】