未詳には新メンバーが就任し、でんでんが演じる市柳は映画『天』にも登場する。また、日本を陰で支配する御前会議とその計画する「シンプルプラン」が初めて登場する。主要なゲスト出演者は北村一輝、谷村美月、宅間孝行ほか。
SPEC〜翔〜 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿の感想
以下は2012年当時の感想なのだが、内容を忘れたので、右手の左手のと書いているのはなんのことか思い出せない。
「ケイゾク」も映画化はしないと予告して映画化されたのだが、今回も同じパターンである。しかし本編に比べてなんとわかりやすかったことか。サービスし過ぎではないかとさえ思える。
本作での戸田恵梨香のSPECは「いただきました。」とやるやつではなかった。お習字は右手で書き、右手で破いて撒くのだが、SPECは左手をめぐるものなのだった。
安田顕はそれを絆と呼び、それがライトモチーフになっていた。映画を前にケリをつけたという感じである。スペシャルの完成度が高かったので、映画はきっと期待を外すだろうと予想。
SPEC〜翔〜 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 見どころ
本作は、『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(2010年)の最終回後のエピローグであり、同時に劇場版『SPEC〜天〜』(2012年)への橋渡しという位置づけである。
そういうわけで、瀬文(加瀬亮)と当麻(戸田恵梨香)の絆、未詳メンバーの活躍、SPECホルダーとの攻防などの“日常”が描かれているが、劇場版への序章として、未詳メンバーが次第に“世界的なSPEC戦争”に巻き込まれていく予兆が随所に散りばめられている。
つまり「日常」と「異常」の狭間にある特異な作品になっており、シリーズの中でも最も“不穏な笑い”と“切なさ”が同居している。
本作の冒頭では、連ドラのコミカルなノリを受け継ぎ、未詳メンバーの日常が描かれる。当麻と瀬文の漫才のようなやりとり、餃子作りに全力を注ぐ野々村係長(竜雷太)、いつもの室内での「ギリギリ」な会話といったシークエンスは、ファンにとって“おかえり感”のあるものだ。しかしところどころに差し込まれる“SPECホルダーの影”や「謎の勢力」の気配が、日常の安心感を徐々に侵食していく。
「笑っていいのか怖がるべきか分からない」独特のトーンが充溢しており、木村ひさしお得意のギャグと不穏の同居が極まっている。
カメラが高速でパン・ズームする「SPECカメラ」、テロップギャグと脱力系小ネタ、急に入る劇画調演出(まるでマンガのコマ割りのようなカット)など、木村ひさし×堤幸彦のタッグは演出スタイルを加速させている。
後半では、物語は一気に緊張感を増す。
謎の男“スズカン”(鈴木勝大)が登場し、未詳メンバーに重大な警告を発する。当麻の身体の異変が本格化し、劇場版に向けて彼女の「命のタイムリミット」を予感させる。これらは、単なる後日談ではなく、“世界観のスケールアップ”のサインである。
『連ドラ』が国内のSPEC事件中心だったのに対し、『天』『結』では国家レベル、果ては人類存亡の危機へと拡大していく。その序章が『翔』なのだ。
いわば、“SPECシリーズが単なる刑事ものから神話的超能力SFへ進化する起点”であり、世界観のギアチェンジである。
本作では、また当麻の病状悪化を知る瀬文の“黙した優しさ”が際立つ。当麻の食生活や無茶な行動を以前より強く気にかけ、当麻もまた、自身の「余命」を悟りながらも平然と振る舞っている。シリーズの根幹である二人の絆が、「相棒」から「生死を賭けた戦友」へと変わる様子を描いている。
SPEC〜翔〜 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 あらすじ
目の療養で休職中だった瀬文(加瀬亮)が未詳に戻ると、そこには係長待遇に降格した野々村(竜雷太)に代わり、“ミショウ”の係長に任命された市柳(でんでん)と組織犯罪対策部から異動になった吉川(北村一輝)の姿が。その数日後、奇妙な殺人事件が起きたとの連絡が未詳に入る。白昼の街中でマシンガンによる殺人事件が起き、ただ一人生存した女子高生は、「犯人は全身黒づくめで、瞬間移動して逃げた」と証言している。撃ち合っていたらしき当事者の写真の中には、サトリ(真野恵里菜)の死体があった。
当麻(戸田恵梨香)は、“スペックホルダー”の奪い合いの抗争が、街中で白昼堂々と行われたと分析。早速、その生存者・久遠望(谷村美月)が入院する警察病院へ向かう。望は、事件当日のことをポツリポツリと語り始める。心の奥底に本音を隠し続けている当麻。その心の迷宮を知り、本来の当麻に戻そうとする瀬文。この事件を通じて、当麻と瀬文、二人の新たな絆が結ばれようとしていた…。
SPEC〜翔〜 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿を観るには?
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SPEC〜翔〜 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿 キャスト
瀬文 焚流〈36→37〉 – 加瀬亮
野々村 光太郎〈70→71〉 – 竜雷太
一 十一〈13〉 – 神木隆之介
志村 美鈴〈19→20〉 – 福田沙紀
地居 聖〈24〉 – 城田優
海野 亮太〈35〉 – 安田顕
冷泉 俊明〈年齢不詳〉 – 田中哲司
サトリ〈19〉 – 真野恵里菜
正汽 雅〈20→21〉 – 有村架純
津田 助広〈42〉 – 椎名桔平