フリーライターの朝井麻由美によるエッセイ(2019年3月18日、大和書房刊)を原案として、2021年からテレビドラマ化(テレビ東京系列の深夜ドラマ枠「ドラマ25」)。主演は民放連続ドラマ初主演の江口のりこ。
原作は、積極的にひとり時間を楽しむことを意味する“ソロ活”についてSNSで発信していた情報をまとめており、群れることが好きではない著者の朝井が様々なアクティビティなどを1人でチャレンジした体験などが綴られている。
ドラマでは、出版社編集部の女性社員が退社後の“ソロ活”を邁進しながら、ラブホテル、水族館、プラネタリウムなどに赴いてひとりの時間を贅沢に楽しむ様子を描く。
偏屈な独身者という存在は往年のスクリューボールコメディの常連であり、その「ソロ活」は、恋愛に発展する前提で「おひとりさま」(2009)の観月ありさ、「結婚できない男」(2006)の阿部寛などが演じてきたドラマで好んで描かれる常道だった。
近年の傾向は恋愛要素が排除されて「偏屈さ」が前面化されていることで(もはやコメディではない)、その嚆矢はたぶん「孤独のグルメ」(2012)である。
かかるドラマはごく初期の段階で漫画原作とは別の道を歩み始めたが、松重豊が実際に料理を食べた後に、撮影した映像をチェックしながらロケバスの中で膨大な台詞を組み立て、アフレコを行っているのだという。そうした作り方で偏屈な独身者の内声が外部化されたことは画期的だったと思う。
本作もまた江口のりこ(松重豊に対称させようとしているのか?)の内声によってできているドラマだが、漫画原作の筋書きを守るものであり、プロモーション動画と変わらない。
キャスト
五月女恵 – 江口のりこ
黒田彩子 – 小林きな子
石岡洋平 – 渋谷謙人
青木遥 – 佐々木春香
スタッフ
原案 – 及川博則(株式会社ライス)
音楽協力 – テレビ東京ミュージック
オープニングテーマ – Sano ibuki「Genius」(EMI Records / UNIVERSAL MUSIC)
エンディングテーマ – Homecomings「Herge」(ポニーキャニオン / IRORI Records)
ナレーション – 大塚明夫
プロデューサー – 森田昇(テレビ東京)、村上浩美、永井清(株式会社ライス)
協力 – レッツエンジョイ東京
制作 – テレビ東京、株式会社ライス