崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話~

山田優(崖っぷちのエリー~この世でいちばん大事な「カネ」の話)
山田優(崖っぷちのエリー~この世でいちばん大事な「カネ」の話)

西原理恵子の自伝エッセイ『この世でいちばん大事な「カネ」の話』(2008年理論社刊)を基にしたドラマで、『崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話〜』というタイトルで、2010年7月9日~9月3日にABC・テレビ朝日の共同制作でテレビ朝日系列にて毎週金曜日21:00-21:54に放送。主演は山田優。当初全10話が予定されていたが、視聴率が振るわなかったため、全9話に変更された。山田優は本作が連続ドラマ初主演。
西原自身の自身の思い出話(基本的に実話)がメインテーマの原作とは異なり、ドラマではフィクションとして時系列が一部変更され、人物設定も大幅に脚色されている。第5話以降は「西原理恵子の壮絶な半生をドラマ化した」とのアナウンスがより強調され、主な登場人物の名は各話の初登場シーンでクレジットされるようになった。

崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話~の感想

月曜ドラマランドかよ、というクオリティの脚本で、サイバラの話でなかったらとても見ていられないのだが、4話でようやく「恨ミシュラン」(ドラマでは「恨メシ屋」)の連載が開始するところまで来る。「恨メシ屋」の記事を書いているのは小泉孝太郎だが、実際には神足裕司で、大企業の御曹司でもなんでもない。ただ、世はバブル期なのである。
山田優(サイバラと違っておでこが狭いのに違和感がある)はキャバクラでバイトしているが(同僚にサトエリがおり、店長が仲本工事である)、そんなものは当時はなく、女子大生パブ(キャンパスクラブ)というものではないのか。
とにかく、サイバラはこの連載で名を売り、ビンボ暮らしを脱するので、同様にビンボ時代が長い「ゲゲゲの女房」のような楽しみ方があり得る。ただし、土下座によってビンボ人としての自我を強くしていく展開には納得感がない。サイバラの原作は(って、べつに読んだわけではないが…)「ギャンブル、為替、そして借金。<カネ> を失うことで見えてくるもの」について書いてあるそうで、ギャンブル時代までいかない本作とはズレてる気がする。
また、ドラマの冒頭に「これは極貧・不幸のどん底から大金持ちに這い上がった人気漫画家・西原理恵子さんの奇跡の物語。」というナレーションが入るのだが、サイバラを大金持ちというのは、なんだかなあという気がしつつ、もっとも、その後サイバラはギャンブル依存症になり、10年で5000万をつぎ込むのだが…

結局、9話で打ち切りになったのだが、最終回ではいきなり冒頭でサイバラが登場し、ジャージ姿でタイヤを引いてジョギング中で「あぶないじゃないのよ!」というシーンがあった。

最終回は、鴨田と梅本編集長が姿を消し、連載は打ち切り、版権契約も切られ、アパートも取り壊しが決まって、かあちゃんの差し歯までとれる、というマッチポンプな展開だった。
梅本は出版社ごと新雑誌を起こし、その名も「月刊 実録B級マガジン」。どゆセンスじゃ。
帰ってきた鴨田は山田優にプロポーズし、「こんな変態の出て来るようなところでプロポーズしやがって!」という山田の台詞がおかしかった。
そして、和洋ごちゃまぜのおかしな結婚式の場で、「貧乏ものがたり」が日本マンガ大賞をとったと知らされ、メジャー漫画家への道を歩むという筋書きである。

実際にサイバラが賞をとったのはデビュー後10年の文藝春秋漫画賞で(1997年、『ぼくんち』)、さらに文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞(『毎日かあさん(カニ母編)』)、手塚治虫文化賞短編賞(『毎日かあさん』『上京ものがたり』)をとったのは2005年のことで、結局、すでに十分メジャーであった。水木しげるが「悪魔くん」で講談社から賞をもらって一気にメジャーになったのとはだいぶ違う。
まあそもそも、このドラマではサイバラのバクチ人生が出てこないし、渡辺えり演じるかあちゃんなる人も、
実際には土佐で再婚しているわけなので、あくまでもドラマはドラマなんだが。

崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話~のキャスト

相原家
 相原 絵里子→鴨田 絵里子 – 山田優
 相原 正造 – 陣内孝則
 相原 光代 – 渡辺えり
『週刊秘宝』編集部
 鴨田 丈一 – 塚地武雅
 平林 正宗 – 小泉孝太郎
 梅本 勝男 – 大杉漣
 矢野 哲哉 – 八神蓮
 小湊 進 – 中原和宏
 竹内 雄太郎 – 桜観
 川田 すもも – 石井美絵子
桜華美術大学
 酒巻 謙策 – 升毅
 アミ – 井村空美
 ユカ – 中園友乃
キャバクラ「フェニックス」
 浅川 葉子 – 佐藤江梨子
 春日 太郎 – 仲本工事
その他
 石崎 ハマ – 五月晴子
 浅川 タケル – 濱田龍臣
 氷室 竜次 – 田中要次

崖っぷちのエリー〜この世でいちばん大事な「カネ」の話~のスタッフ

原作 – 西原理恵子「この世でいちばん大事な「カネ」の話」(理論社)
脚本 – 佐藤久美子山本あかり
音楽 – 仲西匡
演出 – 塚本連平白川士冨塚博司
主題歌 – AAA「負けない心」(avex trax)
技術協力 – ビデオフォーカス、サウンドライズ
美術協力 – KHKアート、山崎美術
照明協力 – ティ・エル・シー
音響効果 – アックス
協力 – 武蔵野美術大学
企画協力 – 森岡利行
チーフプロデューサー – 深沢義啓(ABC)
プロデューサー – 奈良井正巳(ABC)、川西琢(テレビ朝日)、井上竜太(ホリプロ)
制作 – ABC・テレビ朝日・ホリプロ

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